マヌ・チャオ

Manu Chao

"レディオ・ベンバ・サウンド・システム"
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buttoncolumn : Radio Bomba Sound System : (07/04/1) : review by taiki



連載リレー・コラム - 第8回
これを聞かずに、死ねるか!


誰にだってあるだろう、宝物のような歌やアルバム。
そんな歌やアルバムのことを話してみよう。

 最近、ラディカルな主張を色濃く打ち出しているラテン圏のミクスチャーバンドが耳に熱い。フェルミン・ムグルザチェ・スダカトドス・トゥス・ムゥエルトス、もちろんバンダ・バソッティもそれに含まれる。これらは、レディオ・チャンゴというサイトと深い関わりを持ち、そしてクラッシュの遺志を受け継ぐ者達でもある。日本であまり知られてないこいつらは、一聴してみれば訳ワカラン、ごった煮というかごちゃ混ぜというか、世界の田舎音楽の渦に引き込んでは虜にしてしまう。しかも根底にあるのはパンク、D.I.Y.の精神だ。凝縮されたそれらの音は、もし自分が巷のチャートを賑やかすような音楽ばかりを聞いていたとしたらば、げっぷがでそうなほどに強烈な匂いと映るだろう。

 ミクスチャーの源流をたどればクラッシュで、ひとつのスタイルを確立したのがマノ・ネグラ。今となってはどっちもこの世にはないんだねぇ、と悔やむくらいならばと、マノ・ネグラのフロントマンであったマヌー・チャオとレディオ・ベンバ・サウンド・システムのライブ盤『レディオ・ベンバ・サウンド・システム』を買ったのはいつのことだか定かではないのだが「フジロック」のクレジットがはいっている以上は、2002年の夏よりも後のはずだ。とにかく、これを引っぱり出しては聞き、そして重すぎるタイトルの「これを聞かずに死ねるか!」をやる気にさせたのは、周りがこぞって騒いだコーチェラ'07のラインナップ最終日、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン…と共に名前が刻まれていたからだ。

 どうにもライブ盤てのは現場にいたい気持ちにさせて悔やしい、って思いがあってあまり好まないんだが、こればっかりはそんな気持ちを凌駕する圧倒的迫力の前に屈してしまう。マノ・ネグラの曲も、マヌー・チャオ名義のアコギ一本と申し訳程度の楽器でやっていたはずの曲も、サイレンやらパーカッションやらアフリカっぽいコーラスやらダブやらが"生で"加えられてテンポもノリもまるで違う曲に創り変えられている。"Bongo Bong"はもとはマノ・ネグラの"King Of Bongo"という3分半ほどの曲だが、1分ちょいにおさまり(!)その間にフランスとかスペインとかジャマイカとかキューバにブラジル他たくさんの国を通り抜けてるような…っていう気にさせる。大げさに言ったつもりが全ッ然、その通りだ。

 マノ・ネグラ時代から変わらない、バンド名を冠した曲(ここでは"Radio Benba")はセットの間に冒頭と中盤に必ず、時には数回差し込まれてお客さんの気分をスタートラインに戻す。そしてまたロケットスタートで飛び出していく。そんな爆発的なライブを立て続けに繰り広げ、ヘトヘトな抜け殻状態となったのはマノ・ネグラだったが、マヌーは円熟し攻略法を見つけた。オリジナル・アルバムでゆるりと漂って、やがてくるライブへの鋭気を蓄えているのだ。
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