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無作為な時間を過ごしている、明日は早いのに。なにげにCDをプレイする、ふと手を止めて、耳を傾けてしまう。なにかに追われているのに。それはたんなる逃避かもしれない。18の曲がたゆまなく流れ去り、そこにあるのは、なにも為されなかった時間の、過ぎる喪失感と、悠久の瞬間を手に入れたかもしれないという、幻影に似た充足。それが幻影なのは知ってる。ここが見えない壁に包まれていることも知ってる。なのに青年は、太陽の陽光について、恋愛に悩むときの気分について、無防備な欲望について、海の音について、歌う。なにかくだらない魔力のように思えてならないのは、それがあまりにもリアルなことを、知っているからだ。
ギターの不狂和音と口笛、それに絡みつく消え入りそうな声、爆発の後、カオスから世界は生まれた。牧歌的な歌。フォーキーでジャジーな曲調からまんまディスコまで。交錯する光は、モノトーンの陽光だったり、ミラーボールの反射だったり、ベッドルームの煤けた蛍光灯だったり。過ぎ去った過去と不確実な未来がコンパイルされて、ただそこにある。数々の音が、まるでどこかの冴えないベッドルームで鳴らされているように聞こえるのは、現在が、ユラユラした不定形なくせに、頭上に透明な壁を張り巡らしているからだ。そこを突き抜けていく方法を、だれしも漠然と考える。デジャヴの違和感や、熱病のように、だれかを想う気持ちに似ていなくもない。
それにベッドルームは、宿なしの自由意志が育まれた場所だから。
reviewed by ken.
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