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モノトーンの冷たいようで優しい色の画面に流れる、柔らかで透明なメロディ。映画の空気をそのままギュッと濃縮したような甘さとせつなさを感じる。
物語の舞台となっている架空の街に流れる、どこから響いて、どこに向かっていくのかわからない、不思議で無国籍感漂うLOVE PSYCHEDELICOの曲。これが、他の組み合わせは考えられないというくらいのベストマッチなのだ。個人的には、主人公が大切に思う少女を探しながら街を彷徨うシーンで流れる『These Days』が入っていないのが残念なのだが…。しかし、収録されている2曲だけでも、彼らの楽曲がこの映画にピリっとしたスパイスを利かせていることを十分証明してくれる。
ピアノとアコースティックギターがメインとなったインストは、乾いた身体に染み渡るミネラルウォーターのような心地よさ。聞きなれたはずの『世界にひとつだけの花』も新鮮かつ、イヤミにならないアレンジですぅっと耳に入ってくる。
このアルバム、ヘッドフォンで聴くのももちろんいいのだが、読書をしながら、料理をしながら、部屋をかたづけながら…、ながら聴きがまたいいのだ。何をする空間にも溶け込む、ジャマにならない快適さ。そんな流れが12曲すべてに感じられるからだろう。
映画のストーリーの方ももちろん◎。傷を持った人間達がある出来事をきっかけに、それぞれの傷みを乗り越えて成長していく単純な話。でも、単純が偉大だと思わせてくれる。そんな素敵なストーリーを支えているのは、やっぱりバックに流れる音楽。映画を観たら絶対欲しくなる1枚だ。
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