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たしか、もう3年か4年近くも前の話になる。その当時大阪に住んでいたオレは、その頃付き合っていた女と、ベイサイドジェニーだったかマザーホールだったかの、スカ系のイベントへ遊びに出かけた。缶ビール片手に、とあるスカバンドの演奏に合わせてスカダンスをかましていたら、スキンヘッドにツナギを着た小粋な兄ちゃんが近寄ってきて、負けじとめちゃくちゃルーディなダンスを、オレに見せ付けるように踊り出した。それからほんの20分ほど後で、そいつの正体を知ることになる。DOBERMAN のボーカル、スキンヘッドにツナギを着た吉田タカシその人が、メンバーを引き連れてステージ上に姿を見せたからだ。演奏を聴いて、やけに納得したというか、ワクワクして嬉しかったのをよく覚えている。あのダンスはダテじゃなかった、やっぱりこいつはホンモノだ、と。
そんなDOBERMANも、今年で結成5年になるという。その間に関西スカシーンを牽引するまでの存在に成長。'02には2toneスカの元祖SPECIALSの日本ツアーを共に回ったり、BAD MANNERSとのイギリスツアーを成功させるなど、今や日本を代表する2TONE バンド、と言っても過言ではない。'03、'04と2年連続でのイタリアのフェスにも参加し、現地のルーディを熱狂させた侍の雄姿は、マイチルマーチのPVからも窺い知ることができる。
彼らの、2枚目となる今回のアルバム「消えた狂犬とそれにまつわるウワサ」は、タダモノじゃなさが満載だ。前作「ザラザラテクスチャー」から1年のインターバルをへて解き放たれた本作は、インストありスロービートあり、もちろんこれぞネオスカ!というアップテンポなナンバーもありと、全11曲の中に、neo ska/2toneの要素とdobermanらしさが、カルピスの原液以上の濃さで濃縮されている。
個人的に、特にオススメしたいのが、7曲目の「クライマンホール」と11曲目の「マイチルマーチ」。2ndシングル「月」のC/Wとして入っている、彼らの最高傑作(だと個人的に思っている)「和曲」にも負けるとも劣らない、チンドン屋の雰囲気漂うDOBERMANらしい純和風2toneサウンドに仕上がっている。SPECIALSでもBAD MANNERSでもない、DOBERMANにしかできない痛快なジャパニーズ・ダンスナンバーだ。目を閉じれば、日本人のスキンヘッドがヱビスビール片手に暴れている、そんな光景が浮かぶ。
7月には、全国20箇所にも渡る彼らの全国ツアーも始まる。スカ好きなルーディたちの間では、これからますます9匹の狂犬たちのウワサが持ちきりとなるに違いない。
reviewd by imakaz
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