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最低.. でも、最高... って微妙な1発!
これを買ったのは今年の春にロンドンに出かけたとき。ヴァージン・メガストアにぽつんと置かれていたという感じで、たいしたプロモーションもされていない様子だったので、実は、最近のリリースだとは思っても見なかった。「あれ、こんあのあんだ」と、20年以上もグラストに通っていることもあって、資料としても欲しいなぁと思って購入したにすぎない。だから、時間のあるときにでもみようと思って、最近まで見てもいなかったのだ。
で、国内盤がでるという噂を耳にして見てみたら、これが、実に複雑だった。要するに、面白くないのだ。単純に94年からピラミッド型のメイン・ステージ、そして、サブとなるジ・アザー・ステージのヘッドライナーの1曲を並べただけで、第一印象は「つまんねぇ」って感じだった。こんなのでグラストの魅力なんて伝えられるわけないだろう? おそらく、あれを体験した人なら、この言葉の意味は十二分にわかるはずなんだが、どれほどメジャーであっても、こういった音楽が、なにもない田舎に突然、巨大な村が生まれるような規模のこのフェスティヴァルでは、ごくわずかな「一部分」でしかないからだ。それがまるでグラストの全てのように編集されているのが気に入らない。こんなものでフェスティヴァルの魅力はかけらも語れないのだ。
一方で、その1曲1曲の演奏のなかに、実は、グラストだからこそ生まれるんだろう、とてつもなく凝縮された「歓喜」の瞬間を、出演者の演奏に、そして、オーディエンスの反応に発見することができる。バンドの善し悪しに対する見方や好き嫌いは人によって違うし、ここにセレクトされているバンドがどれほど素晴らしいかも、あるいは、どれほど退屈かも人によってさまざまだろう。なんでこのバンドが入っていないんだとかって文句もでても当然だと思う。なにせ、毎回1000アーティスト以上が何らかの形でステージに立つのがグラスト。このフェスティヴァルで、そんな文句を言っても始まらない。それでも、彼らが演奏をするとき、そこには「ここでしかあり得ない」エネルギーの不思議な力を、どこかで共有することができる。ひょっとしたら、それだけでも充分に面白いDVDなのではないかとも思うのだ。ただ、「これ、絶対に見なきゃ!」ってすすめるほどのものでもないと思っていた。
で、今年のグラストに一緒に出かけていったひとりがシアター・ブルックのドラムス、沼澤さん。彼がこの作品を見ていて、「いや、実は、ボーナスがすごいんだよ。あれを見て、すげぇと思った」というので、もう一度じっくり見たら、これが面白い。主催者、マイケル・イーヴィス氏と奥さんのジーン(これは95年収録で、すでに奥さんは他界している)とのインタヴューに、やはり95年時に収録されたグリーン・フィールドの部分などが、実をいえば、フェスティヴァルがなにを目指しているのかを雄弁にかかりかけている。加えて、会場を空撮している画面もぶっ飛ぶ。おそらく、フジ・ロックが数10個すっぽり入ってしまう、その規模はこうしたものでしか理解できないだろう。これこそがもっと脚光をなければいけない部分なのだ。おそらく、そういった部分は、セックス・ピストルズを追いかけて作られた映画『The Great Rock'n' Roll Swindle』を監督したジュリアン・テンプルの手によって現在制作中の新しいドキュメンタリー映画で(公開は来年の予定)で、詳細に描かれているはずだ。楽しみにしておいてほしい。
が、なによりも面白いのは71年に開かれた時のドキュメンタリーの一部が収録されていることだろう。といっても、当時の映像をまとめてプロモ・ビデオ風に編集。そこに04年のポール・マッカートニーの演奏を背後に施したものに過ぎないのだが、撮影されたのが3枚組ライヴ・アルバムが発表されたグラストの第2回目。実は、これが大赤字となって、復活まで10年近くを費やすことになったのだが、その時の模様が収められているのが驚異なのだ。伝説的なミュージシャンのライヴを期待している向きには失望するしかないんだろうが、60年代終わりに始まったフラワー・ムーヴメントのドキュメントとして非常に貴重だと思うし、グラストンバリー(Glastonburyはグラストンベリーとは発音しない)のルーツがはっきりと見て取れる。なによりもこれを支えているのはあの時代に謳われたラヴ・アンド・ピースの精神性であり、生き方なのだ。現在もピラミッド型のステージが使われているのは、どこかでそれを象徴しているからなんだろうが、その原型をここに見ることができる。80年代のオリジナルは95年に消失して、現在のものは2代目だが、これまで写真でしか見たことがなかった、「手作りの」そのまたオリジナルが見られるのは感動的だ。
しかも、この時期にここに集まっていた人たちの表情と、今グラストに集まっている人たちとかなり重なる部分があるのも面白い。おそらく、グラストをグラストたらしめているのがここなんじゃないだろうか... と、そんなことを再確認させてくれるのもこの部分。グラストに惚れ込んだ人たちは、そんな意味でも、これを一度は見ることをおすすめする。
さらに加えて、ピールアウトの高橋君が、DVDに登場しているザ・レヴェラーズのライヴを見て泣いたらしいが... 確かに、その通り。「生き方なんてひとつだけ、それはおまえ自身のものだ」と歌われる「One Way」(『Levelling The Land』に収録)はここに収録されているものとしては最も古い94年のもの。グラストが今ほどはコマーシャルな存在ではなかった時代の、どこかで最も素晴らしいバランスを持っていたグラストのピークに、こういった文化を背景に生まれ育って大きくなっていったバンドの絶頂期が記録されているといった趣を感じた。。
話は変わるが、実は、今年もグラストに出演したのがレヴェラーズ。ここ数年、噂も聞かなくなってアンダーグランドな存在になったのかと思っていたら、ジャズ・ワールドのステージに収容しきれないほどのオーディエンスを集め、とんでもない熱狂を生み出していた。最新作『Truth & Lies』も傑作だし、いつかまた来日して欲しいと思う。また、未契約のバンドを集めたコンピレーション、"Glastonbury Unsigned 2005"がすでに発表されているのには驚かされた... しかも、安い!
reviewed by hanasan
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