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「CD買ってくれてありがとう、おまけに一枚CDあげるよ!」…そんな金髪美人の優しさに、「どーもっ!」とジャケ買いならぬジャケ貰い。そのデザインは規則的な線の羅列。直線はいつまでたっても直線で、角は鋭く尖って、丸は妥協無く丸い…と個々がまっとうに存在しているが、それらが容赦なく干渉している手前、どこか旧ソビエト連邦下、共産主義のポスターデザインを思わせる。例えていうなら、Franz FerdinandのジャケやPVに似ているが、あすこまでカッチリと理路整然としているわけでなく、チープなわら半紙に押した版画のようであり、色味すべてがくすんでいる。一体、こいつらSTROMBAとは何者なんだろうか?
その貪欲さから生まれる触手はありとあらゆる音楽をたぐり寄せ、STROMBAというトンネルを通り抜けた作品は、各曲ごとにヴィジョンを付着させていく。ヒップホップ畑の匂いを感じさせつつ、打ち込みの素養もあるが、最も鼻につくのは近未来的なダブの刺激。打楽器を重視したセレクターのスタイルで、フロアタムやら、不協和音、呻きや笑い声といった断片的なサウンドをバカスカ雑多に放り込むくせ、ホーンとベースだけにはメロディ作成を許すという、偏ったこだわりを見せている。"Tickle Me Dub"の冒頭一発、Rico Rodriguezばりの枯れた音、寂しさが漂うホーンの旋律がが飛び出た時にゃぁ、magライターtoddyと共に、思わず唸ったもんさ。あんなん、誰だってオリジナルスカのレジェンドだと思ってしまう。それに、"Giddy Up"なんてRAPTUREの"House Of Jerous Lovers"にルーディーの雰囲気と、アフロビートを加えたような、極上ダンスナンバーで文句の付けどころがない。おりを見てアンビエントを入れ込む芸達者ぶりも、カッコイイを通り越して、憎たらしい限りだ。
気持ちはまるで「お金を崩すためだけに宝くじを買ったら当たってしまった」とかいう、不可抗力で生まれた喜びでいっぱい。ただ、聞き込んだり、レビューとなるまで言葉を続けたりもしたが、俺は未だにこいつらのことをほとんど知らないのだ。
reviewed by taiki
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