アレクシス・コーナー

Alexis Korner

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 とある閑静な住宅街。壁にはアイアン・メイデン等のゴールド・ディスクやストロークスの最新アルバムのポスター。「ちょうどよかったね、昨日の午後に届いたばかりなんだよ。」と言って現れたのは、ようやく完成したアレクシス・コーナーのコンピレーション・アルバム『コーナーストーンド』を手に持った白髪の中年紳士。発売延期が重なり、半ば諦めかけて2年近く過ぎたのだが、実際に出来上がったばかりの実物を目にするとやはり嬉しいものである。

 公式に発売される作品としては約8年ぶり。年代順に並べられた全44曲が収録された2枚組アルバム。「ゴッド・ファーザー・オブ・ブリティッシュ・リズム・アンド・ブルース」と称され英国音楽史に名前を刻みながらも、その存在の重要性と同時にミュージシャンとしてのアレクシス・コーナーの魅力を余すことなく伝えることができるコンピレーション・アルバムはほとんど存在していなかったように思う。ブルース・ミュージシャンと評されていることが多いのだが、この2枚を通して聞いてもらえれば彼の幅広い音楽性に触れることができるのではないだろうか。ジャンルに囚われず自然な流れの中から生まれてきたもの。確かに時代と共に音楽も変化する。それは決して「流行のもの」というだけの話ではない。そんな時代の流れと同時に、心から音楽を愛する人々が進化発展させてきた音楽に対する敬意や、その根底にあるリズム・アンド・ブルースをはじめとしたルーツ・ミュージックに対する彼の敬意と深い造詣を感じとってもらうことができると思う。

 ディスク・ワンは1954年から1969年までの作品を収録。1曲目の”Midnight Special”はスキッフルと呼ばれる音楽。ケン・コリヤーというスキッフルの代表アーティストのバンドにアレクシスが在籍していた際のものである。ちなみにスキッフルと言えばロニー・ドネガン。ドネガンとコリヤーが競演したなんとも贅沢なライブがCD化されているので、スキッフルとは何ぞやと思われた方はお試しを。さらに、ロニー・ドネガンと言えば、ジョン・ピール。3年ほど前に彼の番組でケン・コリヤーの曲が流れていて非常に驚いたのを今でも覚えている。そんなジョンとアレクシスはBBC Radio Oneの同僚だった。いつの時代もどこかで誰かと繋がっているもので、マイ・スペースなど無くとも数珠繋ぎに聞いていくと興味深いものに出会えるかもしれない。

 ディスク・ワンには初CD化となる10インチや7インチレコードからの音源も収録されており、全てデジタル・リマスターされている。聞くところによると今回このアルバムを発売したサンクチュアリ・レコードには48トラックでのレコーディング・システムを採用した過去の作品(アーカイブス)専用のスタジオがあるのだそうだ。残念ながら専門知識は持ち合わせておらずその凄さは分りかねるのだが、デジタル・リマスターされたために無機質で冷たい音に聞こえるという印象は受けなかった。

 ブルース・インコーポレイテッドというバンド名義の曲ではシリル・デイヴィス、ロング・ジョン・ボルドリー、ハービー・ゴーインズといった素晴らしいボーカリストの歌声を聞くことができる。レッド・ツェッペリン加入前のロバート・プラントやフリー(今やクイーン)のポール・ロジャースが歌う曲も収められている。

 ディスク・ツーは1970年から1983年までの音源を収録。英国の音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」のテーマ曲に使われていたという”Whole Lotta Love”はC.C.S.というビッグ・バンド名義のもの。そのC.C.S.時代を含め、デンマーク人ミュージシャンのピーター・ソラップの存在はひとつのキー・ポイント。アレクシス本人も偉大なブルース・アーティストに負けないほど味のあるボーカリストではあるのだが、彼の周りにはいつでも不思議と素晴らしいボーカリストがいたのである。ピーターもそのうちのひとり。そしてスティーヴ・マリオットも。メイン・ボーカルではないものの”Get Off My Cloud”というザ・ローリング・ストーンズのカバー曲にギターとバック・コーラスで参加。この曲にはキース・リチャーズも参加している。そしてもうひとりのキー・パーソン、バックドアに在籍していたベーシスト、コリン・ホジキンソン。3年前にロング・ジョン・ボルドリーと共にステージに立つ姿を見たが、少し背中が曲がり気味でもその演奏は衰えを知らず鳥肌ものであった。

 しかしながら、ディスク・ツーのハイライトはやはりこのアルバムを締めくくる”Mean Fool”である。未発表のラジオ・セッションとのことだが、とても亡くなる数週間前のテイクだとは思えない。このアルバムを手にした翌日の移動中に初めて聞いたのだが、電車内にもかかわらず溢れ出る涙を堪えることはできなかった。

 「彼は西洋一のDJだったよ」と言ってくれたのは、幸運にもその数日後に初めて会わせてもらえたギャズ・メイオール。その「DJ」という言葉が持つ重みは、このアルバムを通して実感できるのではないだろうか。



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