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「うんっ、爽やか!」、と八千草薫もきっと満面の笑みで太鼓判を押してくれるであろう、ブライトン出身の4人組、ジ・アッパー・ルームのデビュー・アルバム、「アザー・ピープルズ・プロブレムズ」。これから訪れる夏にまさにぴったりな、瑞々しさと爽快さがこの上なく光っている。
1曲目の"オール・オーバー・ディス・タウン"、続く"ブラック・アンド・ホワイト"の両曲は、その爽快さの極み。テンポ良く、ちょっぴり切なくも明るいメロディに伸びやかな歌声が映えている。"ユア・ボディ"や、"ネヴァー・カム・バック"、"ポートレイト"に見られる流麗な曲展開は、ライアン・アダムスを思い起こさせるものがあり、シンプルで実直な音がダイレクトに心に染み渡るかのよう。
どの曲を通しても透明感があり、個々の楽器が程良いバランスで織り成すアンサンブルも、その美しいメロディを大事に包み込むかのように、丁寧に、品位を携えて奏でられ、ガシャガシャ、ギュインギュインとやかましく鳴り響くロックはちょっとね、という方にもすんなりと受け入れられるような普遍性があるのも魅力の一つだ。肩の力が抜けた優しいメロディという点では、米国のデス・キャブ・フォー・キューティや、英国ではエンブレイス、カナダになるとザ・スティルズあたりがお好きな人にはお薦めかと。
reviewed by kaori
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