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常々こう思っている。ドン・マツオという人は本当に枯れない人だと。その姿には全く守りの姿勢が感じられない。おいおい、もういい歳なのにと、こちらがいらぬ心配をしてしまうぐらいのエモーショナルをビンビンと振りまいている。20日間で17公演のカナダツアーみたいなスケジュールを、ただの虚勢をはっただけのバンドにこなせるのだろうか。実にパワフルで、落ち着きなんて言葉とは全く無縁に今日まで音楽を鳴らしてきた人だ。
この、"ベアーズ・バンケット(Bear's Banquet→ストーンズの文字り)"はそんなドン・マツオの率いるバンド、ズボンズが今年の3月に行ったカナダツアーの1ステージを収めたライブ盤である。ズボンズのライブ盤といえば、傑作"ボム・ユー・ライブ"を思い出す。あの作品もトロントのエル・モガンボ(ストーンズがライブアルバム"ラブ・ユー・ライブ"をレコーディングしたハコだ。)での収録。ハイなテンションと圧倒的なパワーで現地オーディエンス達を興奮の坩堝に包み込んで行く様は圧巻の一言だった。ズボンズの最大の魅力であるファンクやソウル、ヒップ・ホップなどジャンルレスな音を一つにまとめあげ、骨太なロックとして鳴らすダイナミックなグルーブは、この時一つのピークを聞かせていたと思う。
今作に関してもそんな演奏は、ドンのフロアの煽り方も込みで、変わらずダイナミックでエネルギッシュだ。ほとばしる汗や熱い空気の感触は全く変わらない。ほとんどブートのような音質だが、途中で入り込むノイズの音さえも、レッドゾーンに入り込んだ演奏の熱気をビンビンに感じさせる。"ボム・ユー・ライブ"と比べると、かなりシェイプアップされた音になっているが、決して勢いが失われたいう事ではない。面ではなく、点で音が鳴っているイメージだ。バンドとしての一体感、鳴らすべき音を鳴らしている強さ。とにかく、全てに迷いがない。ひたすら絞り込まれている。そんな一点突破なグルーブのうねりに、スピーカーのこちら側もグングンと巻き込まれていく。各パートの激しいぶつかり合いから生み出される半端のない熱量。まさしくディス・イズ・ズボンズと呼べる音を鳴らしている。ドンの個性に耳がいっていた"ボム・ユー・ライブ"から7年。ドン・マツオというパーソナリティがバンドをここまで導いたのだと思うと感慨も一入だ。
レコードが進むにつれ、熱気を帯びてくる観客の声はライブという場でしか誕生し得ない興奮や感動を見事にパッキングしている。作り込まれた、予定調和なエンターテイメントなんかに感動しているほど暇ではないあなた。まさに、今そこで生み出される興奮と感動。そんなダイレクト感がこの世界にあるのだとしたら、それは間違いなくズボンズの音だ。この一枚に込められたズボンズの音は、誰かをライブハウスまで連れて行ってしまいそうだ。それが、あなたであっても全然構わない。さあ、今すぐライブハウスまで突っ走ろう。
N.Z.B.G. TOUR 2007
12月2日(日) 福岡DECADANT DE LUX
OPEN : 18 :00 START :
12月4日(火) 岡山PEPPERLAND
OPEN : 18:30 START : 19:00
12月5日(水) 京都MOJO
OPEN : 17:00 START : 17:30
12月6日(木) 浜松LUCREZIA
OPEN : 19:00 START : 19:30
12月7日(金) 横浜CLUB LIZARD
OPEN : 18:30 START : 19:00
12月21日(金) 柏DRUNKER'S STADIUM
OPEN : 18:30 START : 19:00
12月22日(土) 下北沢BASEMENT BAR
ONE MAN !!!(しかも2ステージ!!)
★SPECIAL X'masPARTY!!!★
OPEN : 17:00 START : 18:00
reviewed by sakamoto
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