リコ・ロドリゲス with クール・ワイズ・メン

"Rico Rodriguez meets Cool Wise Men Japan Tour 2007" (国内盤)
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Rico Rodriguez
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"Wonderful World"
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"Man From Wareika" (国内盤)
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単なるライヴDVDというよりも、それを通してひとりのミュージシャンに迫ったドキュメンタリー、といったほうがいい。
もちろんメインに据えられているのは、'07年5月のツアーファイナル、上野不忍池水上音楽堂でのライヴではある。ただ、1曲目の"マン・フロム・ワレイカ"は、その1年前のツアーファイナル、10分近くにも及ぶ驚愕のソロで集まった全員の度肝を抜いた、渋谷エッグマンでのものだし、曲の合間には、自身の生い立ちから、スペシャルズやボブ・マーリーとの思い出、さらには彼が深く傾倒するラスタファリズムにまで及ぶ多くのコメントが、彼自身の言葉で語られている(おまけに、ライナーではそのインタビューがしっかり文字に起こされているのも、ファンとしては非常に嬉しい)。単なるライヴの記録としてだけでなく、リコ・ロドリゲスというミュージシャンがトロンボーンを携えて、何を思い、何を感じ、何を表現してきたのか、それらがこの1枚にしっかりと収められているのだ。
収録曲を見ても、マン・フロム・ワレイカにアフリカ、さらにはテイク・ファイヴにワンダフル・ワールド、オーバー・ザ・レインボウと、ルーツ・レゲエの大定番から珠玉の名カバーまで、言わずもがなの名曲揃い。中でも、ステージも客席も一体となった"リヴァーズ・オヴ・バビロン"の大合唱シーンは、客席の全員が両手を広げて頬を緩め、それの対峙するステージでは、照明に照らされた金管がキラキラと輝き、まさにその場こそラスタ達が目指した聖なる地“ザイオン”であるかのような、何ともいえないピースフルな雰囲気に満ちている。
リコを知らないファンにとっても、彼のトロンボーンから発せられるわびさびに満ちた音と、そこに居合わせた全員の幸せそうな表情は、きっとその心をつかむのに十分なものだろうし、リコを知るファンにとっては、ジャマイカを後にした頃の思いなんかも含め、40年以上にもわたるミュージシャンとしての生活を語る彼自身の言葉は、とても興味深いものに違いない。
リコ・ロドリゲスという孤高のトロンボーニストの、音楽と向き合う真摯な姿勢はもちろんのこと、ラスタファリへの敬愛や、そこに至った縁故までもが収められた、全90分。彼のことはもちろん、60年代のジャマイカン・ミュージックが置かれた背景も知ることのできる貴重な記録として(とは言い過ぎか?)、リコ・ファン、レゲエ・ファンはもちろん、多くのジャマイカン・ミュージック・ファンの手に取ってもらいたい。
reviewed by imakaz
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