South by Southwest Music Festival + Conference @ Austin, Texas (15th-19th Mar '06)
SXSW 2006 BULLETIN
"Gitane Cajun"
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小雨をぱらつかせる空をからかって、フロントマンは終始ご機嫌だ。演奏を始めると、言葉の通りに雨はあがり、中止の不安はとりあえずなくなった。湿気を含んだ風のなかで鳴り響くのは、ジャズの王道始めとし、ブルーグラスやカントリ−といった田舎のサウンドで、それらの影響を取り入れつつも、バンジョーやマンドリンといったメンバーを揃えることはしていない。卓越したテクニックで、いないはずのパートをカバーして、様々に形を変えるバンドだった。
(review by taiki and photo by sam)
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"Jackpot!"
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スペシャルアザースも使用しているドップラー効果を生む装置が目を引いた彼ら。とあるカメラマンは追っかけで、buckbeatこそが最高のバンドだとしきりに言ってくる。見ればなるほど、ホーンがあって、ウオッシュボードでカチャカチャとアクセントを挟んで、休む暇をあたえない。ニューオーリンズという土地柄、ジャズをベースにしているが、「あと二分しかないから…」とメンバーが言えば、「10分だ」とオーディエンスが返すといった具合だった。ラストナンバーはレゲエで、ジャズとジャマイカンミュージックを同率に扱えるバンドなのだ。
(review by taiki and photo by sam)
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"The Cuban Cowboys"
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まずはチョーキングを効かせたサルサで掴んで、格好良いのが恥ずかしいのか、不敵な笑い声と呪文のような叫びが挿入され、それがかえって絶妙なアクセントとなって、盛り上がりに拍車をかける。ラテンの軸はぶれないが、曲ごとに違う表情があり、それぞれ受ける印象はパワーポップだったりアンビエントの曲もあれば、オルタナでカオスを振りまくこともあった。そういえばベースの女の子はThe 5,6,7,8'sとの繋がりがある…らしい。
(review by taiki and photo by sam)
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"deSoL"
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長髪を振り乱すメンバーが多く、一見するとどこのメタルバンドかと思ってしまう出で立ち(ギタリストはブラック・サバスT着用)だが、この日出演したバンドから、しきりに名前があがるほど、ラテン音楽世界地図の中では、勢力を伸ばしているようで、最もオーディエンスが溢れたのがコイツらだった。スタンダードなラインからはみ出すことはないけれど、一極集中の馬力は凄まじく、自然とグイグイと引っぱり上げられてしまったのだ。
(review by taiki and photo by sam)
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"Cuts Across the Landl"
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女の子がフロントなのでかわいらしい音を想像していたら、意外にもけっこうハードだった。フォーキーでダークなベルベット・アンダーグラウンドというか、オーガニックなクリニックって感じ。ボーカルの子はちょっとビョークに似てて、ハスキーな声なんかもビョークを思わせるところがある。けっこうミュージシャンの中にもファンが多いらしく、見てたらBrakesのボーカルに遭遇。「グレイト!」と絶賛していた。
(review by taeko and photo by keco)
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"Live in New Orleans"
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昨晩から降り続いた雨と雨雲を突き破るように、ホーンから音が飛び出してくる。「パッパーパー」とラッパが鳴れば祭りの始まりだ。昨年の度重なるハリケーンによる被害は計り知れないニューオリンズ。そこで生まれた音楽は、元気すぎる程に元気だった。ニューオーリンズ・スタイル・ジャズの元祖といってもいいDirty Dozen Brass Band。そうだ、"セカンド・ライン"も悲しい気持ちを明るくするための音楽。今のニューオーリンズに必要な要素が全部入っているじゃないか。
「踊り狂う」オーディエンスに交じって体を揺らせば、日常のしがらみやら何やらもどこかへ吹き飛び、ベビーカーから白髪の世代までの全ての人たちが笑顔になる。自然と動いた体はそのまま音にまかせていればそれでいい。上を向いて歩いて(踊って)いこう。
(review by taisuke and photo by ryota)
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"Movimiento Popular"
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スネアにカウベルがついたセットを中心に、ホーンやエレキが回りを固めている。deSoLの熱を引きずったオーディエンスにサウンドが落ちてくると、底上げされている体温が再び上昇し、ペアになってダンスを踊りだす。カラカラなショットと瑞々しいホーンの対比がいじらしく、また絶妙な切り返しや装飾を入れ込むやらしさもある。それぞれがカードを繰り出して追っかけたり、被せたりという展開の妙をまた体験したいものだ。
(review by taiki and photo by ryota)
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"Talk About Love"
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日本から参加バンドのみが出演する「Japan Nite」の会場にできた人の列、列、列。中に入るとむせ返るような熱気。SXSWでは確実に目玉イベントの枠に入るだろう。今年のトリを務めるのは3年連続出場となるThe Emeralds。大盛況だった昨年のステージより数段上の力を付けた彼らはもう「顔」といっていい。
サムライ・ロックンロール・トリオとしてオースチンでの人気は得ているし、アメリカ各地でもその愛称が広がりつつあるようだ。今までのマシンガン・ロックに音の厚さと鋭さを、そして実力に基づく自信を手に入れた彼らの勢いは止まる事をしらない。汗だくでモッシュするオーディエンスを更に煽るように新曲を立て続けに披露。早くもシンガロングが起きる。キラーチューン"Talk about Love"は間違いなく殺傷能力アリだ。
(review by taisuke and photo by ryota)
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"Lords Have Mercy"
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正直、昼間でお腹いっぱいだった。しかし・・・。
手前勝手な話で申し訳ないのだが、僕の根っこにあるロックンロールやパンクというものがまた疼いた。ロサンゼルスからやってきた「典型的」なパンク・ロッカーズ、Lords of Altamont。やってくれたよ。
Ramones直系の血にスピードとキーボードが加わったと言えば、そこら辺りが好きな人にはおおよその想像がつくかと思う。それぐらいにやっている事がシンプルなクセに、いや、シンプルなだけにいいのか。ギターウルフもやっている事は直球のロッケンロールど真ん中。このバンドも反骨ロックンロールのど真ん中。現在のロックンロールなのに、時折見せるルーズな一面が特にいい。現在の「電撃バップ」を炸裂させてくれた。
(comment and photo by taisuke)
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"Knife Skills"
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ナイフスキルズが音を奏でれば、そこはジャングルの中。地面を叩き付けるスコールのような声と、そこを這う獰猛な動物の足音みたいな音が響くステージの上には、期待とは裏腹に暴れまわる素振りを一つも見せない3人の姿がある。おとなしい顔してこんな変態な音出すなんて反則技だし、美化されちゃった野性をむきだしに感じるこのバンドを、このまま野放しにはできないだろう。
(photo and comment by sam)
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The New Orleans Social Club (New Orleans/LA)
The official site : unknown
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"Sing Me Back Home"
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今日は一体何なのだろう。1日がこんなに楽しかったことなんて今まであっただろうか。今日程贅沢に疲れたのは初めてだ。昼過ぎから始まった「Louisiana at Town Lake」にずっといたらそう思ってしまった。だって、そこで踊るだけでニューオーリンズの音楽がほとんど体感できてしまうんだもの。
The New Orleans Social Clubがそれを体現してくれた。毛穴から染み込んでいくかのようにジャズをファンクをソウルを教えてくれた。バンド・メンバーが何度も入れ替わりそういた音を出していく様は、まるで学校のようだ。教科ごとに講師が違う。それを1つ1つ身体に取り込んだ頃、ステージ上を見ればほぼミーターズ(!)という無知な僕に贅沢す過ぎる(最高な)ひと時だった。
(photo and comment by taisuke)
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The Pretenders (London/UK)
The official site : unknown
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Sam Moore (Scottsdale/AZ)
The official site : unknown
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"Plenty Good Lovin' "
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ノコギリ・ギターの伝説にサム・ムーアてのがいたと思うんだ。しかし、思い違いの奇跡って素敵だなって、これ同時に思うわけで。ノコギリなぞ出やせず、変わりに尖ってたのはタウンレイク・ステージに現れたソウル・マンその存在であった。パフォーマンスのキレからコーラス女性との芝居めいた寸劇に及ぶまで、そのぬかること無きエンターテイナーぶりが遺憾なく発揮され、同時に体揺らすサウンドの都市ライクな部分が意外にも気持ち良かった。電子オルガンが気持ちよかったという意見も汲みつつ、このひとの歌声が増々枯れゆくのに期待したし。素敵なライヴだった。
(review by toddy and photo by ryota)
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Vasallo Crab 75 (Tokyo/JAPAN)
The official site : www.vc75.com
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"breathe"
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心地よい音に包まれて、ゆったりとしたリズムで幕を開けたステージ。6人編成の大所帯バンドは、厚みのあるソリッドな音でジャパンナイトに集まったお客さんを迎える。緩急バランスよく構成されたセットは、ひとときも退屈させられることがない。ファンキーな曲になるとお客さんもヒートアップし、メロウな曲では落ち着いてじっくり聴いている。
柔よく剛を制すとはまさにこのこと。パワーだけで勝負しないことで、うまく観客の心をとらえたライブだった。
(review by taeko and photo by keco)
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SXSW 2006 (06/03/15-19 @ Austin, Texas) : report by ryota,sam,keco,toddy,taisuke,taeko,taiki,hanasan
SXSW 2005 (05/03/16-20 @ Austin, Texas) : report by ryota,sam,toddy,taisuke
SXSW 2004 (04/03/17-21 @ Austin, Texas) : report by ryota
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