前日までの嵐がウソのように、さんさんと朝霧を照らしていた日が傾きはじめたころ。ゆるりとしたいかにも朝霧JAMSらしい空気が流れるムーン・シャイン・ステージにぞろぞろと人々が集まってきた。太陽からもらえる恩恵が少なくなり、冷えてきた体をスペシャル・アザーズが鳴らす音で内側から暖めようという人たちだ。後方にいてはステージが見えないくらいだ。その思いに迎えられ、意気揚々とステージに登場したメンバー。１発目からいやが応にも体が動いてしまうナンバーで集まったオーディエンスの期待に応えていく。全員が半円を作るようにステージに並び、創り上げられていくサウンドは日常から頭の中を切り離すのに十分だった。澄んだ空気の中響いていく電子鍵盤と、血を沸き立たせるような原始的なリズム。ゆったりと流れる曲では音楽と草の匂いに身をゆだね、アップテンポに展開されれば、地面を揺らすように飛び跳ねる。大自然の中が本当に似合うバンドだ。10月11日にはシングルを（タワーレコード限定）、11月には初のフルアルバムをリリースするという彼ら。それを聴けば、気持ちは今日の朝霧に戻れるのだろう。

　初めて出演したステージを、たくさんのお客さんと共にたっぷり楽しんでいたスペシャル・アザーズ。その姿はまだ青い空に見えた4つの星のようだった。ライヴが終わるころに見えた、山の向こうに消えていく太陽の最後の一筋。一日の中で一番輝いて見えるこの光のように、キラキラした演奏を見せてくれた。

wacchy's works

2006