グラストンバリー・フェスティヴァル @ ワージー・ファーム、ピルトン、サマーセット (22nd - 24th Jun. '07)
ゴーゴル・ボールデーロ @ ピラミッド・ステージ (22nd Jun. '07)
フェスを渡り歩くジプシー・パンクス
SXSW'06(@イモウズ)で見つけた自称ジプシーパンクス、ゴーゴル・ボーデロは、フロッギング・モリーにリヴィング・エンドといった日本でも数千人を集めるバンドを前座に追いやって、堂々のトリをつとめたバンドだった。そのライブはとんでもないもので、音がどうとかいう前にまず振動あり。様々な文化と主張が詰まったバンドの力に飲み込まれ、パスポートと全財産を持ったままダイブしてしまった。今でも、体の痛みからホテルへと帰る道すがらに感じた虚脱にいたるまでしっかりと覚えている。無理くり誘ったカメラマンにしても「こんなの見たら他のバンド撮れない…ふぁあ」と気の抜けた息を吐いていた。
だんだんと暖かくなってくる時期に彼らのスケジュールを見れば、世界各国のありとあらゆるフェスティバルの名前がズラリと並んでいる。おそらくその裏には、バンドというファミリーを率いてツアーという放浪を続けなければ「ジプシー」の名前を冠にできない、との思いもあるはずだ。思えば、マヌ・チャオ目当てで立ち寄った、グラスト一週間前のボナルー・フェスティヴァルにも出演していた。ひと時も隙を見せない圧倒的テンションでたたみかけたライブは見る者にストンプをさせて、足元から立ちのぼる土埃はレッド・マーキーほどの巨大テントをまっ黄色に染めていた。引く手あまたのフェスティヴァル・バンドである彼らは、ボナルーの後も休みなくライブと移動を繰り返していた。そんな話を小耳に挟めば自然と浮かんでくるのが、疲れは抜けているのだろうか……という思い。しかし、流浪のバンドはそんな心配を軽やかなステップで蹴散らしてくれた。グラストンバリーのピラミッド・ステージにただれた絶叫をともなって現れたのだ。
とあるデザイナーがプロデュースしている奇抜な衣装は、過去/現在/未来、ヨーロッパからアジア、民族的な色から三本線のスポーツブランドまでがごちゃ混ぜになっていて、あらゆる文化を吸収してきたジプシーの代表、ゴーゴル・ボーデロの世界をうまく投影している。ステージ上では老若男女が血流で赤く染まった体で飛び跳ね、受け手に有無を言わさず「感じさせて」しまうバンドであるからこそ、まんま、と言い切れる衣装ができ上がったのだろう。
しかし、ゴーゴル・ボーデロの真骨頂は見た目の鮮やかさではなく、訛りっ放しでろれつのまわらない叫びだ。訛りはアコーディオンとフィドルが奏でるメロディラインという道であり、もちろんチェルノブイリ難民としてウクライナからニューヨークへ渡った過去を持つユージン・ハッツ(Vo.)が使う言葉そのものでもある。流浪の民としての生き方が投影されたバンドであるために、連日連夜ライブに移動にと戦い続けているのだ。
フィドル弾きのじいさん、セルゲイはきっかけをみつけてはステージのきわまで飛び出て、額に血管を浮かべながら腕を震わせ、パメラとエリザベスの二人はステージを縦横無尽に走り回り、ウオッシュボードにダンスにコーラスにと手をかえ品をかえオイタする。やがてエリザベスがマーチングバンドで使うような大太鼓に勢いよくマレットを振り下ろし、相方のパメラはシンバルをガシガシ打ち鳴らす。挟まれたハッツはマイクスタンドに火消し用の「FIRE」と書かれたバケツを被せて乱打する。たしか、昔はカウベルを叩いていたはずだ。ありきたりでちんまりしたカウベルでは敵わないと思ったかは定かでないけれど、三つ巴に絡まる粗雑な衝突音をぶつけて強烈な縦揺れを生み出していた。
いつもならばオーディエンスの上に大太鼓、そのまた上にハッツが鎮座するというとんでもない光景が広がるはずだった。しかし、ピラミッドステージはフォトピットがあまりにも広く、残念ながら実現していない。それでもゴーゴル・ボーデロという海のものとも山のものともつかない旅一座は、飾るつけられた幌馬車から爆音を垂れ流し、五万を越えるネオ・ヒッピーを狂喜乱舞させていたのだ。
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report by taiki and photos by keco
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フェスを渡り歩くジプシー・パンクス : (07/06/22 @ Glastonbury Festival, Pilton) : review by taiki, photos by keco
photo report : (07/06/22 @ Glastonbury Festival, Pilton) : photos by keco
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photo report (06/03/16 @ Emo's Main Room) : photo by sam
SXSW 2006 Bulletin (06/03/16 @ Emo's Main Room) : review by taiki and photo by sam
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