buttonザ・グリーンマン・フェスティヴァル
@ グラヌスク・パーク、クリックホウウェル、
ブレコン・ビーコンズ国立公園、ウェールズ
(15th-17th August '08)

キング・クレオソート
日本では見えない音楽、ここにあり

King Creosote

 んもうっ、ホンマに! と思わずあきれてしまったのは、いい大人がそろいに揃って、カツラ姿でニタニタしながら登場したからだった。と、同時に、ピクティッシュ・トレイルと肩を組んでスキップしながら出てきたもう1人は誰? と頭のなかにはクエスチョンマークだらけに。その人はケニーの隣にあった小さなハコに腰かけた。そのハコとはカホーンであり、その人とは、ケニー・アンダーソンの弟であるイイン・アンダーソンだったのだ! チンとあっさり解決できてしまうと、唐突に起こりすぎた嬉しいハプニングに発狂せずにはいられなかった。それにしてもカツラ姿のケニーはもう1人の弟、ゴードン・アンダーソンそのままであるのだから、3兄弟をまとめて見たようなお得な気分も少々。しかし、全員、本当にブサイクだ。

King Creosote  紳士的なステージを期待していた私をあっさり裏切ったこの面々、空の明るさをスーッと取って夜空を導くような重厚なアコーディオンの音色もどこか滑稽なものに思えてくる。ライヴではお決まりのピクティッシュ・トレイルのアカペラから始まる"ツイン・タブ・ツイン"ではホット・チップの"オーヴァー・アンド・オーヴァー"のフレーズから、"レディ・フォー・ザ・フロア"に変わっていて、これはこれでしっくりくる。アコーディオンのみで始まるライヴはこの曲あたりから、バンド・スタイルへと移行していき、イインもカホーンからスティール・ペダルへと場所を移していくのだった。

 キング・クレオソートは、決してケニー・アンダーソンのためのバンドではない。それを痛感させてくれるのが、フェンサーと呼ばれるフリークたちの存在なのである。ギターのピクティッシュ・トレイルやドラムのオン・ザ・フライ、そしてイインとフェンス・レコーズのなかでも重要人物となるメンバーが同じステージに立ち、ケニーと同等か、あるいはピクティッシュ・トレイルのちょっと不器用なキャラクターにはそれ以上の野次がフェンサーから飛び交い、メンバーは律儀に思えるほどジョークを交えて返すのだ。段差はあれど、ステージをかぶりつきで見られるこのグリーン・マンの距離感が、こんな大きなスペースでのライヴではなく、本当に小さなパブにでもいるような、密着間を感じさせてくれるのだ。そして、もうひとつ。これまでケニーはグリーン・マンのステージでも、インタビューでも、ロンドンのライヴでもオフィシャルのブログでも、あらゆるところで、グリーン・マン・フェスティヴァルは本当に素晴らしい、と言っている。この日も、あらためてグリーン・マンの素晴らしさを語っていた。後ろを振り返れば、いつの間にかとんでもない数の人が集まり、笑っている。キング・クレオソートの音楽やそれを取り巻くしっかりとした土台が目の前に広がっているのに、そういう空気感どころか、存在すら認知されていない日本との差が寂しくも感じた。フォークというと、暗くて大人しくてかしこまったとかいう概念を持っている人にこそ、観てほしいライヴだった。

King Creosote  ラストは、あれはイギリス(もしくはスコットランド)の人なら誰もが知っている童謡のような歌なのか……しかもそれをグリーン・マンにかけてジョークを交えながら歌詞を変えて歌っていく姿に、オーディエンスからは笑いの渦が起こっていた。ステージを去る前に、ケニーがひと言、"明日5時にリタラチャー・テントでピクティッシュ・トレイルが演るから"と言い残して行った。またもうひとつ、グリーン・マンでの嬉しいハプニングが起こりそうだ。



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The Green Man Festival 2008 (intro)



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buttonジェットコースターに乗ってゴスペルを:ポリフォニック・スプリー (2nd Sept. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
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