ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット (Geoff Muldaur & Amos Garrett) @ 横浜サムズアップ 2010.09.24

達人を囲んで繰り広げられた演奏は、一生で一度の宝物
フォト・レポート @ 横浜サムズアップ 2010.09.24

Geoff Muldaur & Amos Garrett
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 ジェフ・マルダーとエイモス・ギャレットがタッグを組んで日本をツアーするのはなんと31年ぶりなんだとか。ということは、前回、彼らが日本をツアーしたとき、この日バックをつとめた若手(?)ミュージシャンのなかにはまだ生まれていなかったり、あるいは、よちよち歩きだった人もいるのではないかと察する。調べてみると、この日ゲストで登場した中村まりは、あの当時、まだ2歳で、高田漣は幼稚園児ぐらい… そう考えると、その間にとてつもない時間が過ぎていることがわかる。

 一方で、そんな時間を飛び越えてどこかでだれもがつながっているようにも思える。この日、主催者の麻田浩氏が『前回のライヴに来たことある人います?』とオーディエンスに尋ねると、「イエス」と応えた人がちらほら。実に羨ましい。一生に一度でも体験していれば、それだけでも自慢できるような達人デュオを「生」で、しかも、30年の時を経て再び体験できるなんて… と、彼らに羨望のまなざしを送ってしまうのだ。それでも、けっして失われることのない歌やメロディに楽器の響きが、世代も年月も飛び越えてみんなを簡単に飲み込んでしまったというのがこの日のライヴではなかっただろうか。

Kenny & Moony この日、ちょっと早めに会場に出かけてみると、ちょうど細野晴臣氏がステージで歌っているところに遭遇。噂では渋谷公演に彼が姿を見せると聞いていたんだが、彼のゲスト出演はこの日だったというので、驚喜したのはいうまでもない。しかも、会場にはケニー&ムーニーの姿が目に入る。結局、彼らのほんわかしたデュオでライヴが幕開けとなり、昨年彼らが発表した、ホーギー・カーマイケルへのトリビュート作、『ホーギーズ・バック』を中心にいい感じでジェフ&エイモスへつないでくれるのだ。

Geoff Muldaur & Amos Garrett 当然のように… というべきか、いきなり流れ出てきたのは、この二人が78年に発表した名作、『ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット』からのセレクション。この日、ゲストで登場した細野晴臣氏の名盤、『トロピカル・ダンディ』同様、イラストレーター、八木康夫氏が手がけた「幸せそうな」表情の二人が、それに輪をかけたような夢見心地の世界に我々を誘ってくれる。もちろん、あれから30余年の年輪は二人の表情にも体型にも現れてはいる。(失敬)が、同様に、達人の域を突き抜けた二人の演奏が抗えないほどに心地よいのだ。そう、すぅっと吸い込まれていく感じ? しかも、会場の雰囲気はというと、なにやらアットホーム。ジェフがムーニーに「そうだ、カズーを買ってきたんだけど… 」演奏の合間に受け渡しをするなどといった一幕もあった。

 ゲストとしてハリー・ホソノ(細野晴臣)が登場して、名曲、「スモール・タウン・トーク」が聞こえてくる。そして、彼のヴォーカルで『クラウン・イヤーズ1974-1977』に入っていた中華街ライヴの映像が頭をかすめた「香港ブルース」へと流れていくんだが、演奏が終わったときににっこりと笑みを浮かべたエイモスとハリーが手を握り合った一瞬が印象的だった。その光景を見られただけでも、ここにいて良かったと思ってしまうのだ。

 この日は休憩を挟んで2部構成となっていて、前半の終わり近くに飛び出したのはエイモスのギターがとてつもない表情を見せてくれる「スリープウォーク」。息をのむほどに圧倒的な神業ギターにため息が漏れる。さて、この美しいギターをどう描けばいいんだろう。その瞬間から、いい言葉はないかなぁと頭の中で言葉が駆けめぐる。まるでシルクのように心のひだをくすぐって、カシミヤのように包み込んでくれる… と、そんな言葉が浮かぶんだが、どんな言葉にも太刀打ちできないだろう。ケニーは熱いまなざしを送りながらその様子を見つめ、ソウル・フラワー・ユニオンの高木克氏と魔法のようなあのギターの話で暮れたのが休憩時間だった。

Bobby Charles 2部で涙腺がゆるんでしまったのはボビー・チャールズの名曲、「テネシー・ブルース」を歌ったときだろうか。実は、今回の来日の話が始まったとき、麻田浩氏がボビー・チャールズにも声をかけていたというのだ。が、その時点ですでに体調が良くなかったらしく、「体調が戻れば..」という話になっていたらしい。が、みなさん、ご存知だろう、残念ながら、彼は今年1月14日に他界。「スモールタウン・トーク」ではなく、こちらに身体が反応してしまったのは曲調だけではなく、エイモスがボビーの名前を出したことからかもしれないが、いずれにせよ、もし、ここにボビーがいたら… と想わざるを得なかった。

Maria Muldaur ちらちらとバック・ヴォーカルで姿を見せていた中村まりがリード・ヴォーカルをとった名曲、「真夜中のオアシス」も圧巻だった。帰宅してから本家、マリア・マルダーのヴァージョンを引っ張り出して聞いてみたんだが、まるであの場所に若かりし頃のマリアがいたかのように聞こえていたのが信じられない。おそらく、演奏していたジェフ&エイモス、両者が感嘆の声を上げたのも、それが理由だろう。前回、エイモスの単独ツアーの時にも同じような光景が見られたんだが、今回はそれに輪をかけて素晴らしかった。いうまでもなく、今回はジェフ&エイモスがそろい踏みしていたからだろう。

 さて、この日を初日に、日本中を旅するご両人が各地でどんなライヴを見せてくれるのか… 実に楽しみだ。酸いも甘いも知り尽くしたご両人が各地のゲストと絡みながら、ライヴの場でしか味わうことのできない奇跡のような瞬間を提供してくれるに違いない。おそらく、この二人が一緒にツアーすることももうないだろう。特に、日本にまで足を伸ばして演奏することはないと、本人達も口にしている様子。そんなチャンスを逃さないでほしいと切に思う。

今後のツアー予定

9月29日(水)広島 クラブクアトロ
9月30日(木)熊本 フェリシア
10月1日(金)福岡 ROOMS
10月4日(月)山口 CAFE DE DADA
10月5日(火)岡山 MO:GLA
10月6日(水)京都 磔磔
10月8日(金)渋谷クラブクアトロ
10月9日(土)仙台 サテンドール2000
10月10日(日)札幌 ターミナルプラザことにPATOS
10月11日(月)北海道鶴居村 ヒッコリーウィンド

詳しくはこちらでご確認ください。なお、東京渋谷でのライヴには、なんとホーン・セクション、ブラック・ボトム・ブラス・バンドが姿を見せるとか。
 

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