デトロイト7 @ リキッドルーム恵比寿 2011.03.04

その先の10年へ
テキスト・レポート「その先の10年へ 」 @ リキッドルーム恵比寿 2011.03.04

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 今まで挑発し続けてきたロックンロールのムーブメントに、観客に「熱」を伝えた瞬間。そしてこれからの未来。彼らの「10年」とは、きっとそういった時間の事を指すのだろう。デトロイト7は今年活動10周年を迎える。10周年を記念して自身が主催するイベント「デトロイト・ロック・シティ」が今年の2月からツアーの形で実施され、ファイナルとなったこの日、ゲストに招かれた数々のバンドが、彼らを祝うためリキッドルーム恵比寿のステージに集まっていた。

detroit7 お祝いの宴は、キング・オブ・ノイズ!と言わんばかりの大音響のギターの歪みで幕を開ける。最初に登場したのはHiGE(髭)。去年、彼らのプロデューサーでもあったアイゴンこと會田茂一を新たにメンバーとして迎え、大きな新陳代謝を図った…はずのこのバンド、かわるがわる演奏担当が入れかわるツインドラムの一翼を担うフィリポと、ボーカルの須藤が一緒になってサンタクロースばりの白いヒゲを付けて現われた。そのままジージー・トップ(ZZ TOP)状態のまま観客を煽っている。その後の演奏も変幻自在。最年長メンバーとなったギターのアイゴンは、当初バンドをまとめる大人役として期待されていたらしいのだが、蓋を開ければ一番やんちゃに見える。緊張感を保ちつつ長期間バンド活動を続けていくのは並大抵の事ではないが、結果、彼らのライヴは依然として予測不能の危うさと楽しさがステージから溢れていた。

detroit7 次に登場するバンドを待っていると、フロアに脱力必至の(いや、活力が沸く方もおられるか?)少○隊の”仮面舞踏会”が流れ、なんだなんだと思っているうちにヒント(HINTO)のメンバーが現われた。元スパルタ・ローカルズのボーカル&ギターの安部コウセイとギターの伊東真一らが結成したこのバンドは、すぐそこにありそうな日常の匂いを歌詞にして、それをそのまま強烈なファンクのビートに乗せている。かなりの力技なはずなのだが、不思議と身体が揺れてしまうし、実際フロアでは観客が踊っている。時折マイクを通さず観客に話しかける安部の語りは朴訥としており、「いやー燃えるなー」のつぶやきが、生声にも関わらず存在感を放っていた。
 
detroit7 サウンドチェック中に艶やかなピアノの音が聞こえてくれば、次に登場するのはソイル・アンド・ピンプ・セッションズ。トランペットのわななきに色気を放つサックスの音色、ストイックなウッドベースとドラム。酸素吸入が必要なほど激しい伊達男達のハードボイルドな演奏に、彼らが「デス・ジャズ」と名乗るのにも思わず納得。「共につきあいの長い仲で、日本だけじゃなく国境を越えて音を出してきた仲間として、最大限のリスペクトを贈ります。音楽に国境は関係ない。どこに居たって音楽と共に盛り上がれる空気はある!」絶え間なく観客を煽るアジテーターの社長が、デトロイト7をこう言って祝った。

detroit7 ステージのバックドロップには「SINCE 2001」と書かれたロゴ入りフラッグが掲げられている。最後の登場はもちろん、今夜の主役のデトロイト7だ。「ロックンロールは好きですか!そんなみんなに!」とボーカル&ギターの菜花がギターをかき鳴らして歌う様子は、まさに魔女オーラ全開(すみません)。”レイズ・ハイ!(Raise High!)”"コールド・ヒート(COLD HEAT)”と立て続けにガレージ・サウンドを疾走させた後、今夜のゲスト・バンドのメンバーを招き入れてのスペシャル・セッションが始まった。

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 「お邪魔します!」と言いながら最初に登場したのは安部コウセイ。「泣くの早くない?泣いちゃダメだよ~。」とツッコむ阿部に「泣いてないよー!」と返す菜花。和やかな雰囲気の中、デトロイト7と安部コウセイとのコラボレーション曲”サンデーボウイ”が演奏される。そして次のゲストとして揉み手をしながら現われたのが、2003年にデトロイト7がオープニング・アクトを務めたという、奥田民生。ステージ上でのトレード・マークと言ってもいい菜花の素足を見ながら「10周年ですからね。そろそろ靴買って貰ったら?」とツッコみ、観客の笑いをとり「いやいやいや~」的まったりオーラ全開の奥田だが、セッション曲の”月を超えろ”を歌い始めた途端、フロアの空気をビシリと変化させた。返すデトロイト7の”カム・オン(COME ON)”では、菜花と共に奥田もボーカルをとる。

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 奥田民生は去年、この日のゲスト・バンドの一つ、HiGE(髭)のプロデュースも行っている。奥田が数百万単位の楽器しか置いていないような楽器屋に須藤を連れて行ったり、それを須藤がのらりくらりとかわしたり、と今も交流があるらしい。デトロイト7と奥田民生に加わるように須藤が登場すると、問答無用なギターの厚みが圧巻の”ルイ・ルイ(LOUIE LOUIE)”。ドラムの山口のスタミナもただただ凄い。

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 新曲も披露されたこの日のライヴは、さらに白熱のアンコールと突入する。ベースの古田島は両手を挙げてファイティングポーズ、ドラムの山口は観客にタオルを振って見せた。そんなアンコールの一発目でステージに走りこんで来たのは、ソイル・アンド・ピンプ・セッションズのサックスの元晴。元晴とのコラボレーション曲”ピーナッツ・バター・ボム(PEANUTS BUTTER BOMB)”の演奏で文字通り元晴もデトロイト7も大爆発といった感じ。そしてこの日の夜は、興奮もそのままに”ビューティフル・ソング(Beautiful Song)”で幕を閉じた。そういえば、ソイル・アンド・ピンプ・セッションズの社長はこうもアジテートしていた。それは、彼らだけでなく私にとっても、そしてこの文章を読んで下さっているそこの貴方にも、等しく流れ続けている「10年」の事なのだと思う。

 「デトロイト7、10周年おめでとう!しっかりとこの熱を、10年先にも伝えていこうぜ!このあとの10年に、その先の10年に!」

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Text:
Yoko "jet-girl" Oda
jet-girl@smashingmag.net

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