東日本大震災「みんなが動けなきゃ俺が行くだけ!」@ 札幌カウンターアクション

おやつ満載車が行く
インタビュー 札幌カウンターアクション2011.4.3

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 東北地方太平洋沖地震に対するさまざまな復興支援が始まっている。ここ、札幌ではライブハウス、カウンターアクション(KLUB COUNTER ACTION)がいち早く行動開始。震災直後から被災地などへ帰れなくなった人の受け入れを始め、翌週には支援物資の受付。さらに22日にはオーナーで、北海道のハードコア・シーンを牽引して来たスラング(SLANG)のヴォーカル、こお(KO)がメンバーと2人支援物資を現地へと運んだ。
 
—–かなり早い動きだったけれど、直接行こうと思ったのはどうして?

こお:東北には友達の親兄弟とか、知り合いがたくさんいるんだよね。3日目ぐらいから連絡がとれだして、知り合い関係はみんな市街地に住んでるから大丈夫だったんだけど、電気はないわ、燃料は無いわって感じで全然動ける状態じゃないとわかった。募金準備を始めてたんだけど、カウンターアクションは会社だし、スラングの機材車(大型バン)は貨物登録なので、すぐ緊急通行車両確認証明書が取れるのがわかった。ネットやテレビがある分、停電中のみんなより俺の方が情報集まってるから、動くしか無いでしょって。理由はそれだけ。

 すぐに知り合いを通じて被災者からの要望を聞き出し、粉ミルクやベビーフード、風邪薬、お菓子などを集めた。機材車に積みきれないほどの物資を持ち、3月23日の早朝、新潟に到着。すぐに福島を目指した。
 
—–実際に観た被災地はどうだったの?

こお:ぞっとした。景色を見て、あんなに衝撃を受けたのは初めてだったね。原爆後の広島の写真を思い出して、まじめに引き返したくなった。かなり強い精神力の持ち主でもやられると思う。

 そこからは、ほとんど道路もなく、橋は落ち、がれきの山の間を北上。万が一、パンクでもしたら自分たちも被災者になって迷惑をかけるので、慎重に、暗くならないうちに移動を終えるように必死だったという。結局、仙台市、南三陸町、気仙沼市、宮古市周辺などを回り、3月26日早朝に帰札した。
 
—–ガソリン不足が報道されていたけれど、問題はなかった?

こお:証明書があるので、ガソリンも優先的に入れられたし、現地の人たちが「自分たちは被災していて動きがとれないから使ってくれ」とガソリンを用意してくれた。みんな、自分たちのことよりも「あそこの方がひどいから行ってあげて」と教えてくれて。

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—–何カ所くらいを回ったの?

こお:南三陸町や気仙沼市など被害の大きかった沿岸部でブログやツイッターなどの呼びかけに応じてくれた避難所や在宅被災者、10数カ所かな。慌ただしく移動したので、確実な数は自分でも覚えていないんだ。一カ所に長くいて話し込む雰囲気でもないし、いきなり髪を真っ赤に染めた黒づくめの男が来ても、むこうは「なんだ?」って感じでしょ。現場を見てしまうと、被災のことを軽くは聞けないし、こちらも聞く気持ちにはなれなかった。

—–情報収集でツイッターは役立ったの?

こお:知らない人がツイッターを見て連絡をくれた。アメリカから「ここに行って欲しい」と連絡をしてきた人もいたよ。

 実際に回ってみると、大きな町の避難所は物資が届いていたが、在宅避難の人たちは物資支給も簡単に受けられず、店がないので物が買えない。買いに行きたくても車のガソリンがないと、困難な状態だったという。だが、大人数で避難している大きな場所は、暖房があったとしても十分に暖まらず、家のような暖かさはまったくない。数カ所に上がらせてもらったが、すぐ足から底冷えして震え上がる感じがしたそうだ。
 
—–メディアが伝えていたこととは違った?

こお:自分が回ったところに関しては、まあまあ正しい情報が伝わっていたと思う。でも、あまりにも広範囲なことと、被害がひどすぎたから伝えきれないというのが本当なんじゃないかな。自主規制も含めて、規制もあっただろうけど、もっと現地の状況をはっきり映したほうがいいと思った。

 現場で話を聞き、「若者には若者の、年寄りには年寄りの、地域ごと、個人ごとに必要な物があると実感した」という。帰札後すぐに、出合った人たちから希望物資リストを募り、協力を呼びかけた。下着、靴下、メガネ、歯ブラシ…、さまざまなものが集まってくる中で力を入れたのが「お菓子」だ。
slang—–なんで、お菓子なの?
 
こお:コンパクトで栄養価がある。自分もよくライブ前にチョコレート・バーを食べてエネルギーを補給するから、運びやすくていいなと思って。それに子どもたちが喜ぶ。「お菓子持って来たぞー」っていうと子どもがわーっと寄って来て、笑顔になる。一瞬だけど避難所の雰囲気が和らぐんだよ。自分も親だからわかるけど、親はみんな、自分のご飯我慢しても子どもに食べさせたいと思うくらい子どもが大切。その笑顔が見られるのは本当にいいものなんだ。

 4月4日夕方、こおは前日のライブを終え、再び東北へ向かった。今度は2トントラックを借り、3日がかりで荷台に物資を満載した。赤ちゃんのお尻ふきやベビーフード、ペットフードなどなど要望に合わせたものだ。もちろん、多くの音楽仲間が持って来たチョコレートやグミなどお菓子も山積み。子供たちの前でパッと開けてわけられるように、大きなビニール袋に詰めて配り歩く、題して「お菓子の国作戦」を実行している。
 
—–いつまで支援をするつもりか?

こお:宅配便も復活してきているので、移動経費分を物資に変えることも考えているから今後は送るかもしれないが、自分を頼っている人がいる限り支援は続ける。メールが苦手なおばあちゃんとかが「申し訳ないですが、これが欲しいです」と時間をかけて文字を打って連絡をしてくる以上、自分たちでできることはやるつもり。

slang カウンターアクションには物資を持って来る人、仕分け作業やトラックの積み込みを手伝う人など、音楽仲間を中心にした支援の輪が広まっている。ここには「自分たちのできるベストな行動を模索し、実行に移します」という頼もしき男がいるのだ。
 
 活動内容や今後の支援に関する情報は、こおのブログ(http://ameblo.jp/slang1988/)をチェックしてほしい。

text by ヤシマミホ

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