サケロック @ 日比谷野外音楽堂 2011.09.03

奇跡的な好天で迎えたサケロック初の野音
テキスト・レポート @ 日比谷野外音楽堂 2011.09.03

 台風の影響で各地でイベントの中止が相次ぐ中、奇跡的に開催されたサケロック初の野音ワンマン。天候によって遠方から来られなかった人もいただろうが、それにしても開場前に並ぶ長い列は、揺るぎない彼らの人気っぷりを物語っていた。中に入ってもまた行列。物販コーナーはチラ見もできないほどに人だかりが凄い。

 少し今年を振り返ってみると、映画「婚前旅行」に始まり、「笑っていいとも」、「グータンヌーボー」といったバラエティ番組への出演。そして今日(2011年9月8日)に至っては某新聞社の夕刊にインタビューされているハマケン(トロンボーン)の姿。タレント的露出が増えたハマケンを筆頭に、メンバーの個々の活動が目立っている。サケロック以外の場でメンバーの活躍が見られる嬉しさと「この先サケロックどこいっちゃうの〜?」というさみしい不安が入り交じった気分で臨む野音だった。

 人だかりを抜けると、サケロックのアートワークを手がける大原大次郎によるポップな装飾で彩られていた。1曲目は「KAGAYAKI(カガヤキ)」。昨年発売されたアルバム『MUDA』からの流れで、演奏が始まった安堵とともに緩やかにスタートした。本作からエレキギターが多用されパキパキっとした音やジャキっとした音が目立っている。普通のロックバンドなら当たり前に聴こえるような音が、このバンドにとっては珍しい。

 今年のフジロック、ホワイトステージでの演奏が顕著だったように思えるが、それぞれ個々の活動で巡り巡って着地したホームでの音が少しずつ進化していて、30代に突入した彼らの印象は、『ぐうぜんのきろく』(2005年に発売されたオフシーン満載の笑えるライブ映像が入っているDVD)のときより遥かに大人になっている。抗えない時間の流れなのだろうか。

 しかしながら、野音はやってくれた。名曲「穴を掘る」からやしきたかじんの「やっぱすきやねん」へと突然変異する数年前にサケロックの中で流行っていたバージョンが突然演奏された。意外な展開に歓喜する声、この曲で一気に会場のあらゆる距離感が縮まったように思える。「Green Land(グリーンランド)」や昨年したまちコメディ映画祭のライブで印象的だった「七七日」など懐かしい曲が披露されると、サポートにキーボード横山裕章を迎えハマケン作曲の「最北端」。YMOの原曲と「妖怪道中記」というファミコン時代のゲーム音を合わせた「千のナイフと妖怪道中記」は昭和生まれが誇らしくなる名曲だ。

 更に、キセルの辻村豪文を迎え新曲「エメラルドミュージック」を披露。アンコールにはメンバー揃いの白スーツで登場し、テーマ曲とも言える「インストバンド」。そして長らくカバーし続けているクレージーキャッツの「スーダラ節」。”KAGAYAKI”に”エメラルド”が足され、眩いほどの光を放つサケロックだが、どこへ行ってもホームに戻ることを忘れさせない唯一無二のバンドである。入学、進学、就職、結婚・・・と人は進化はするけど、ずっと変わらない家族や友達との関係のように、20年、30年と一緒に歳をとりたいバンドである。

Share on Facebook

Information

Text:
Hiromi Chibahara
tammy@smashingmag.net

Hiromi Chibahara's Works

Write a comment