ボリス(Boris) & エンヴィ(envy) & モノ(Mono) in リーヴ・ゼム・オール・ビハインド @ 京大西部講堂 2011.09.23

三者の共鳴よ、再び
テキスト・レポート「三者の共鳴よ、再び」 @ 京大西部講堂 2011.09.23

 “leave them all behind(リーヴ・ゼム・オール・ビハインド)”の名の元に集いし、Boris(ボリス)、envy(エンヴィ)、MONO(モノ)の3組が再び対峙。先に行われた今月4日の東京公演においても濃密な時を刻んだ彼等が、今度は京都を舞台に三者三様の音楽を打ち鳴らす。場所は京都大学西部講堂。関西音楽シーンの聖地とも呼ばれ、かつてはフランク・ザッパやポリスなどもプレイしたというこの歴史ある場所で、どんなライヴを見せてくれるのか?という大きな期待を胸に東京公演に続いて足を運んだ。

 威厳のあるステージ、講堂奥にある巨大なオブジェを見ると不思議な緊張感が伝わる・・・と同時に気持ちが昂ぶってくる。ここを初めて訪れた自分は、気圧される何かを講堂内では感じた。そんな中、東京公演と同じくこの日もトップバッターを務めたのはボリスで、名刺代わりの一発と呼ぶべき名曲「決別 -Farewell」でのそびえたつ様な巨大な音塊が、このリーヴ・ゼム・オール・ビハインドの開演を告げた。栗原ミチオ氏を加えたお馴染みの4人体制から放つその轟音に圧倒されてしまった人は多いだろう。空間を妖しく重く塗り替え侵食していく。

 しかし、ここからギアチェンジして「Attention Please(アテンション・プリーズ)」と「フレア」の連打で雰囲気は一変。ジャンルという境界線すらないボリスの多様性が露わになっていく。轟音ロックンロールを叩きつければ、妖しくサイケデリックな魔境が拡がり、アニソン的な立ち位置の曲にアンビエントな曲に至るまで、焚かれるスモークが視界を遮る中で自由自在に料理して振る舞っている。途中に「京都で初めて演奏します。最後まで楽しんでいってください」と語った後(個人的に彼等のライヴでMCを初めて聴いて驚いた)に披露した「Missing Pieces(ミッシング・ピーシィズ)」は哀愁ある歌ものからサイケ・ドローンへの転換はただただ凄まじかった。この大きな振れ幅はやはりボリスの醍醐味。その後は「Riot Sugar(ライオット・シュガー)」~「Pink(ピンク)」までを一気に駆け抜け、10分超にも及ぶ「Aileron」の大轟音によるエンディング。久々の関西公演でその雄姿を見せつけたのであった。

 続いてのMONO(モノ)は重い美しさを湛えた世界へと集まった全ての者を誘う。冷えた静寂の中で儚く叙情的な旋律が折り重なり、音圧を増しながら、あらゆる感情が結晶化されていくあの轟音を体験した時の至福は本日も格別であった。セットリスト自体は先の東京公演と全く同じ。だが、「Burial At Sea(ブリアル・アット・シー)」における曲の中盤からの険しい人生に勇ましく立ち向かっていく様な展開が、いつも以上に感情的な演奏で胸を打たれたし、慈愛に満ちた旋律から荒れ狂うノイズの奔流へと至る「Pure As Snow(ピュア・アズ・スノウ)」は、ただただ彼等の紡ぎあげる物語の重さ・深さを胸の奥の奥にまで伝えてきた。結成して間もなく海外へと居場所を求め、困難に立ち向かって道を切り拓いていった彼等。その音楽は絶望の底から希望を見出していく様なイメージが強く、美しく荘厳な音像が魂を激しく震わせ全身に光を差す。前回も書いたが、心の芯に強く響くのだ。関西ではかなり久々に演奏した「Halo(ヘイロー)」~「Moonlight(ムーンライト)」のドラマティックな流れに涙した人も多いはず。演奏後、静かにお辞儀をして去っていく姿に会場からは万雷の拍手が送られた。

 ボリス~モノと行き渡ったバトンを受け取ったenvy(エンヴィ)がこの日も大トリ。ライヴももちろんそれにふさわしい内容で、全身から絞り出すような叫びと激情を投影した演奏で会場を凄まじい熱気の渦へと叩きこむ。序盤から叙情的でリリカルなメロディ、情熱の塊と化した轟音の交錯が生み出すスケールで圧倒。その中でも不器用だが想いがストレートに伝わるMCから披露された復興支援曲「安らぎが君の名を呼ぶように」では緊張感あるマーチング・ドラムの先導から炸裂する轟音が痛切に胸を打ち、「擦り切れた踵と繋いだ手」~「終わり行く夢」の連打はいつも通りに激しく会場を揺らしていた。イベント自体が通してじっくりと体感する趣が強いだけに、アグレッシヴな曲での解放されたかのような暴れ具合は見ていて微笑ましいほど。このようにハードコアの醍醐味をしっかりと感じさせてくれる点も彼等が支持される要因といえるだろう。そして、安らぎすら感じさせる「灯と孤独」を挟んでライヴはいよいよクライマックスへ。哀しみの底から胸を掻き毟る様なドラマティックな展開と生命を燃やしながらの絶叫が肝の「狂い記せ」は本日も圧倒的な存在感を放ち、そこから「暖かい部屋」への鉄板の流れで本イベントは壮大に幕を閉じた。

 関東・関西と2公演に渡って繰り広げられた第2回のleave them all behind(リーヴ・ゼム・オール・ビハインド)は、これにて終幕。この3バンドが集まればと思いを馳せていた人は多々いると思うが、流石のパフォーマンで刻まれた音の深さ・重さは計り知れない。来月からボリスもエンヴィもモノも再び海外の地で戦いを挑むのだが、そこで鍛錬を重ね、進化/深化した雄姿を改めて拝見したいところだ。そして次、”リーヴ・ゼム・オール・ビハインド”という冠のもとにどんなアーティストが名を刻むのか。あるかどうかはわからない。けれどもとても楽しみにしながら、開催を待ちたい。きっと次も素晴らしいアーティストが集まることは間違いないから。

Boris -set list-
決別 -Farewell- / Attention Please / フレア / Party Boy / Statement / Missing Pieces / Riot Sugar / 1970 / Pink / Aileron

MONO -set list-
Ashes In The Snow / Follow The Map / Burial At Sea / Pure As Snow / Sabbath / Halo / Moonlight

envy -set list-
歪んだ先に / 千の痕 / 左手 / 安らぎが君の名を呼ぶように / 風景 / 擦り切れた踵と繋いだ手 / 終わり行く夢 / 灯と孤独 / 狂い記せ / 暖かい部屋

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Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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