花田裕之 with 井上富雄「流れ」@ 六本木音楽実験室 新世界 2011.10.01

 
テキスト・レポート@ 代官山ユニット 2011.10.01.

 花田裕之のソロ・プロジェクト「流れ」に今回はベーシストの井上富雄が参加するとあって、久々に六本木にある「音楽実験室・新世界」へと足を運んだ。この会場は、元々は「自由劇場」として「上海バンスキング」など数々の名作を生み出した空間で、ステージと客席との間には一段下がった空間があり、キャパシティは100人ほど。六本木通りに面した入り口から階段を下りた時には19時半をすぎており、会場は既に50人ほどで埋まっていた。ステージに向かって右側には花田のGuild(ギルド)サンバースト、左には井上のシルバーのFender(フェンダー)ジャズ・ベースがセットされており、オーディエンスの期待を否が応でも煽る。気がつくと開演の5分前で、会場はほぼ満員になっていた。

 BGMとして大江慎也時代のRoostersが流れる中、8時きっかりにライトが落ち、白いシャツのラフな格好で現れた二人は、無言のまま「Walking the dog(ウォーキング・ザ・ドッグ)」の演奏へと突入。「流れ」の花田裕之を一言で表現すると、「アーシーでブルージーなロック」だが、今日も一曲目からその雰囲気が十二分に漂っていた。花田のぶっきらぼうなギターとヴォーカルで、オーディエンスのテンションはゆっくりと確実に高まって行く。

「バブル時代には事務所が近くにあったので、六本木界隈ではよく飲んだ」という逸話で会場の笑いを誘った後、2曲を立て続けに演奏。そのあとの「Case of Insanity」では、イントロと間奏での花田のむせび泣くようなブルースハーブが秀逸で染みる。演奏中、曲間ともに二人がかわす言葉はほぼ皆無だが、お互いの意識は常に共鳴し振動しているのを感じることができる。

「Hey Girl(ヘイ・ガール)」「Last Train(ラスト・トレイン)」「Honest I Do(オネスト・アイ・ドゥ)」をブルージーに演奏した後、「花田の休憩」として、井上が2曲のヴォーカルをとる。その中でも特に2曲目に演奏したJJ Caleの「Cajun Moon(ケイジャン・ムーン)」では、井上のベースのドライブ感がすごく、花田のギターの間隙を隙間なく埋めて行く。さらに、アンコール前の最後の曲、「Do the Boogie(ドゥ・ザ・ブギー)」では、花田のギターとベースが絡みつつ昇ってゆき、オーディエンスの興奮が最高潮に達したところで一旦ステージを後にする。

 アンコールでは、初期ルースターズも演奏した、ローリングストーンズの「Under my thumb(アンダー・マイ・サム)」と花田のソロ名義アルバム「Nothing On(ナッシング・オン)」から「明日への橋」を演奏し、特に「明日への橋」は井上とのコーラスの絡みが最も光る演奏だった。2度目のアンコールで「愛と風のように」が終わったときには、21時30分を回っていた。

 花田一人の「流れ」の時とはひと味違い、特に井上のベースラインの上を何時もより少しだけラフな花田のギターが重なり、強烈なグルーヴ感へと昇華するところは相変わらず見応えがあった。2度のアンコールまで含めて14曲、アーシーでブルージーなロックを十分に堪能できた夜だった。

– set list –

Walking the Dog / Unknown / ひとつ / Case of Insanity / Hey Girl / Last Train / Honest I do / Unknown(ヴォーカル 井上) / Cajun moon(ヴォーカル 井上) / Back Seat / Do the Boogie

— encore1 –
Under my thumb / 明日への橋

— encore2 –
ケンとメリー〜愛と風のように

text by 田中隆一

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Text:
Ryuichi Tanaka
ryuichi@smashingmag.net
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