モグワイ (Mogwai) @ ゼップ東京 2011.11.25

熟成されたノイズ
テキスト・レポート「熟成されたノイズ」@ ゼップ東京 2011.11.25

Mogwai

 モグワイの出す音源というのは、ワインのように基本的には同じながらも、作られた年によって細かな違いがあるようなものだ。「今年は少し渋みが……」とか「今年は甘さがあり……」というように、その差異を試飲して味わう感じがある。CDなどで聴ける音はあくまでもお試し。そして、ライヴの場においては本格的に飲んで酔うようなものなのだ。やはり、モグワイの音楽はライヴで体験しないといけないと思う。ヘッドホンや小さいスピーカーで耳だけで聴くのと、ライヴの場で全身を震わせる轟音を浴びるのは別の体験なのだ。

Mogwai 新しいアルバム『ハードコア・ウイル・ネヴァー・ダイ、バット・ユー・ウイル』をリリースし、今年2月に来日。さらにフジロックにも登場して素晴らしいライヴをみせてくれた。初のグリーン・ステージでの演奏は、大きな野外ステージで音が拡散してしまう不安も杞憂に終わり、彼らの轟音がいかなる環境にも通用することを証明したのだった。しかし、彼らの本領を発揮できる場は密室性の高いところである。
 
 19時11分ころ会場が暗転し、「ホワイト・ノイズ」で始まったライヴは、2曲目の「Ithica 27 Φ 9(イチカ27ファイ9、と読むのでしょうか。邦題はありません)」でいきなり轟音ノイズに包まれ、ステージが見えないくらいのありったけの眩い光が放射された。以降、定番曲と新譜からの曲を織り交ぜながら、静寂と轟音の波が繰り返し訪れ、ライヴ後半の頂点に向かっていく。

Mogwai それは何度もライヴを観ている人ならわかるように、大きな路線変更もなく、意表を突くようなカヴァー曲もなく、長いMCもなく、ステージを駆けずり回ってお客さんを煽ることもなく、ただ、コツコツをライヴを重ねていって自分たちの楽曲と演奏を熟成していったのだ。今回、ヴァイオリンやヴォーカルとしてサポートメンバーを加えたことが今までないことであり、新鮮さをもたらしたものではあるのだけれども、やはり大きな印象としては、いつもと同じような味わいなのである。その味わいをゼップ東京のフロアを埋めたお客さんは待っているのである。

Mogwai「マスター、いつもの」という感じで出される「モグワイ・フィア・サタン」で、頭が真っ白になるようなくらいの轟音の洪水、呼応するように限界まで明るくなった攻撃的な照明と共にお客さんたちの高揚感も最大に振り切れる。人間が知覚できる限界に挑戦したかのような音と光は強烈な力で意識を別世界に連れていくのだ。「メキシカン・グランプリ」でサポートのルーク・サザーランドがヴォーカルをとり本編が終了。アンコールは、歪んだギター・ノイズが炸裂する「ラノ・パノ」、美しいピアノ音に導かれて始まる「オート・ロック」、攻撃的なギターがうねり狂う「バットキャット」の3曲。期待を裏切らずに、徐々にアップデートしてマンネリに陥らない。このようなインパクト勝負の音楽でありながら、飽きられないのは職人的な積み重ねがあるからだろう。

— set list —
 

White Noise / Ithica 27 – 9 / Friend of the Night / Cody / Xmas Steps / I’m Jim Morrison, I’m Dead / How to Be a Werewolf / San Pedro / You’re Lionel Richie / Hunted by a Freak / Mogwai Fear Satan / Mexican Grand Prix
 
— encore —
 
Rano Pano / Auto Rock / Batcat

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Nobuyuki "Nob" Ikeda
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