パラモア (Paramore) @ 名古屋ダイアモンドホール 2010.02.16

フレッシュな勢いそのままに
テキスト・レポート「フレッシュな勢いそのままに」 @ 名古屋ダイアモンドホール 2010.02.16

 2月10日の大阪公演を皮切りに、13、14日という2日の東京公演を終え、日本ツアー最終公演の地・名古屋に降り立ったパラモア。同世代の若い人たち(女性の方が男性よりも弱冠多かったように思う)を中心にたくさんのオーディエンスが詰め掛ける中、女姓のハートも男性のハートをもガッチリと掴んだ、若さ弾けるパフォーマンスは僕の胸をも、熱くさせてくれた。

 定刻の19時にまず、大阪公演と同じオープニング・アクトのPop Disaster(ポップ・ディザスター)が登場。大阪を中心に活動する4人組のメロディック・ポップ・パンクバンドである。グリーン・デイ等に影響を受けたそうだが、ドラムが女性で、フロントの弦楽器隊3人が男性というちょっと異色の組み合わせがおもしろい。ライブはその女性ドラマーのソロからスタートし、ノリの良いキャッチーさとパンキッシュなエッジが立った曲を続けて披露し、会場の熱をしっかりと温めていく。それもやはり楽曲の持つ軽快な疾走感と心地よいメロディ、透明感がある伸びやかなヴォーカルで集まった人たちを魅了していたからのように思う。myspace(マイスペース)でライブ前に少し聴いた時は、音の抜けの良さを心地よく感じていたものの、ライブでは観客との一体感を掴みながら、しっかりと盛り上げてくれている。

 そのせいか、1曲終わるごとの歓声の大きさといい、ダイブやモッシュが次々と敢行される光景といい、予想以上の盛り上がりで観客に迎えられていたので、個人的には非常にびっくりしてしまった。まさかここまで盛り上がってしまうとはといえるレベル。MCでは、パラモア・ジャパン・ツアーでオープニング・アクトを務めることができた感謝を嬉々として語り、『ヘイリーに惚れてまうやろー(by Wエンジン)』といった、本音をぶちまける場面もあり、パラモアファンにも友好的な目で見つめられていた。そんな全5曲・約20分間のステージ。感謝の念を存分に込めた全力の演奏で駆け抜け、彼等のアピールは確かに成功したのだ。

 ここからパラモアの開演まで約25分の転換時間を挟むのだが、サウンドチェックをしているだけなのに何度か大きな歓声が上がり、待ちきれないファンからは『パ・ラ・モ・ア』コールまでも飛び出す始末。始まる前から既にリミッターが外れるぐらいの熱に会場は包まれているようだった。そんな大きな期待を背負い、満を持してパラモアの5人がステージに登場する。バックドロップの”PARAMORE”の凛とした文字が徐々にスライドしていく中、新作でも特に昂揚感と爆発力を伴ったエモーショナル・チューンの”イグノランス”で口火を切り、紅き喧騒の炎を生み出していた。

 新世代のロック・プリンセスとして名乗りをあげたヘイリーは、小さくて細見の体に関わらずパワフルで真っ直ぐな歌声で楽曲を席巻。白のノースリーブにヒョウ柄のパンツという装いもそうだが、艶やかなオレンジ色の髪を存分に振り乱しながら歌ったり、クネクネと柔らかく体を動かしたりして会場の視線を奪い、バンドの核としての存在感を見事に発揮。その華やかなスポットライトが当たっているヘイリーの裏で、ヘヴィな演奏で安定感をもたらしていた男性4人の演奏陣も確かな実力を示していた。楽曲の持つキャッチーなノリの良さを一切押し殺すことなく、ライブならではの重量感をしっかりと演出。これまで積み上げたバンドの経験値が垣間見れる。特に一際ダイナミックな演奏で迫力を加味していたドラマーのザック・ファッロのプレイには、個人的には目を見張るものがあった。

 ライヴは当然ながら、パラモアのフレッシュな勢いを反映したセットリストで進んでいく。これまでの2作品よりも豊かな彩りと表情を見せてバンドの成長を示した3rdアルバム『ブランド・ニュー・アイズ』が軸になっているのはもちろんだけど、1st、2ndからもアップテンポな曲を中心に並べたセットリストで、会場の熱いテンションと興奮を最後まで持続。だからこそ、アコギの音色と共にしっとりと聴かせるスロウな「ジ・オンリー・エクセプション」も引き立ってくる。優しく歌いあげるヘイリーの歌声、そして楽器陣と織り成す柔和で美しいハーモニーには思わずうっとりと酔いしれてしまうほどであった。

 その後は、若さ弾ける疾走エモ・モードに切り替わり、再加速。かなり前のめりな勢いを見せる「プレジャー」からの3連発では観客もステージのメンバーに負けじとこの場にいる楽しさを満喫していた。しかしながら、テンションが最高潮に達しそうな中、本編ラストは映画、『トワイライト~初恋~』の主題歌にもなったミドルチューンの「ディコード」。祈りにも似た切ない情感が灯った歌声とメロディで、優しくも悲痛に感情を巻き上げ、天へと昇華していくこの曲を最後に持ってきた辺り、バンドの新たな決意のようなものが感じ取れた。

 アンコールで披露した「ミステリー・ビジネス」では、パラモアと一緒に歌いたいという手紙を送った外国人女性をステージにあげて一緒に歌うという粋なサービスもあり。そんな微笑ましいステージを見て、さらなる一体感を増したラストの”ブリック・バイ・ボーリング・ブリック”では、本日一番の熱さを記録。ヘイリーの『ナゴヤ サイコー』という言葉が何度も木霊し、『リメンバー・ディス・ナイト』という言葉が強く胸に刻まれた、激動の日本ツアー最終日の名古屋は、パラモアの蒼き炎と情熱に覆われた夜だったのだ。

–set list–

Intro / Ignorance / Crush Crush Crush / That’s What You Get / Looking Up / Careful / Let The Flames Begin / The Only Exception / Never Let This Go / Pressure / For A Pessimist, I’m Pretty Optimistic / Where The Lines Overlap / Decode

–encore–

Misery Business / Brick By Boring Brick

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Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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