ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ (Rodrigo Y Gabriela) @ 名古屋ダイアモンドホール 2010.01.15

二本のギターが紡ぐ狂騒と情熱
テキスト・レポート「二本のギターが紡ぐ狂騒と情熱」 @ 名古屋ダイアモンドホール 2010.01.15

Rodrigo Y Gabriela
 昨年9月に発表されたニューアルバム、『格闘弦(11:11)』を引っさげて、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラは待望の4度目の来日を果たした。二本のアコースティックギターを武器に、世界中の人々を熱狂の渦に巻き込みんできた彼等。ここ日本でも08年のフジロックを始めとして、眼も心も釘付けにする超絶技巧がもたらす衝撃のライブで、数多の人を魅了してきたのは周知の通り。しかしながら、名古屋に来るのはこの4回目にして意外にも初めてである。2008年の来日ツアーでは見事にぶっ飛ばされたので、2010年になってようやくあの2人と初対面できることとなった。彼等を一目見ようと集まったお客さんの数も上々(8割ぐらいは埋まっていたのではないか)で、多くのファンがここ名古屋でも心待ちにしていたのが伝わってくる。

 そして、ついに味わうことのできたロドリーゴ・イ・ガブリエーラのライブ。これが噂を軽く超える素晴らしいものだった。目の前で起こる形容しがたい2人のパフォーマンス、ただのロックでは収まりきらない衝撃の大きさに、完全に度肝を抜かれた。

Rodrigo Y Gabriela それだけロドリーゴとガブリエーラが二本のアコースティック・ギターを使って奏でた魔法は規格外だったといえるだろう。アコギとは思えないほどの勇壮でエキゾチックなメロディを振りまいて脳髄を揺さぶれば、ギターのボディを叩いて奏でるラテン系の情熱的なリズムが激しく昂揚感を掻き立てる。その磐石のコンビネーションを軸にした、歌心溢れるインストゥルメンタルで大熱波をフロアに終始届けてくれていた。CDを聴いた時の印象でも、「アコギ2本でここまで豊潤な音がっ!」というぐらい様々な表情と色合いを持った音が、火花を放ちながら連なっていく様にたまげたものだけど、ライブだと音符ひとつひとつの熱の放出量が半端ではないため、全身の血が燃え滾る感覚を味わえる。フロアの熱気にしても、トゥールの「ザ・ポット」をSEに幕を開け、最初の「ハヌマン」が演奏されたときから、既に異常なレベルに達していたのを体でよく覚えている。渇望していた分、盛り上がりも一段と凄いわけだ。

Rodrigo Y Gabriela もちろん、この尋常じゃない熱気は何もその超絶技巧だけで成り立っているわけではない。観客との絶妙な距離感、またそこに歩み寄っていく姿勢が見事なのだ。用意されている椅子にもあまり座ることは無く、ステージの前の方で観客の反応をじっくりと観察しながら演奏。時にはアドリブをかましたり、名曲のフレーズを差し込んだり、音やリズムの強弱を巧みにつけたりと、噂通りの仕掛けの多さで鼓動を高鳴らせてくれる。あの情熱的な音世界を支える2人のあうんの呼吸もさることながら、観客ともここまで距離感を縮め、気持ちいいまでの一体感を生んでくれるとは、驚きだ。噂以上である。

 それにステージの絵もおもしろい。スラッシュメタル時代に培った速弾きなどのテクを用いて、曲をリードしていくロドリーゴの佇まいはいかにも真面目で少し苦労が滲み出ているように映る。一方でギター演奏もさることながら、リズムにおいての貢献度の高いガブリエーラは、髪を振り乱しながら激しく演奏したり、こちらまで幸せを分けてくれるような笑顔をみせたりと顔に表情がしっかりと出ていて、さらに愛嬌があってとてもかわいらしい。たどたどしい日本語で精一杯に MCをしてくれる姿なんて見てるととっても応援したくなっちゃうのだ。『ガブリエーラ、アイ・ラーヴ・ユ~~!!』という女性の大きな歓声に代表されるように、ガブリエラに対する歓声は多く、人々を魅了する力を彼女は持っているといえる。

Rodrigo Y Gabriela 終始盛り上がりっぱなしの熱すぎる本日のライブの中で、個人的に一番心に残っているのはメタリカのカヴァー曲の「オライオン」。初代ベーシストの故クリフ・バートンが冬の空をを見上げなら書き上げたというこの曲が、ラテン色に彩られたことでエキゾチックな刺激を増して、ゾクゾクと胸のうちに迫ってきていたのが印象的であった。メタリカを愛する私(高校生だった6年前、このライブを見に行ってる)としては、今日はこれを見れただけでも十分に満足できてしまう。ロドリーゴとガブリエーラがそれぞれソロを披露していた時には、ロドリーゴがエフェクターを踏みながら「バッテリー」のイントロで激しい興奮を誘ってくれたのも嬉しい。アンコールでは「となりのトトロ」のさわり部分を演奏してくれるサービスもあって、非常に楽しい一夜となった。熱気もさることながら、この底抜けの楽しさもクセになってしまう要因の一つのように思う。また、最後の「ディアブロ・ロホ」では、最高に刺激的でこの日の締めくくりに相応しい熱と感動をもたらしていた。

 ちなみに2人はライブ終了後、物販の購入者を対象にサイン会も行ったようだ(ライブ中のMCでも語っていたが、物販の売り上げの一部を赤十字を通じてハイチの震災被害者へ寄付するそうだ)。あの熱すぎるライブのみならず、場外戦(サイン会)まで戦い抜いた2人には、本当にお疲れ様といいたい。こういったひたむきな姿勢、本当に素晴らしいと思う。だからこそ、僕らも2人に惹かれていくんだろう。

Rodrigo Y Gabriela
*なお、写真は1月16日の大阪公演のものを使用しています。

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Text:
Takuya Ito
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