ミューズ (Muse) @ 愛知県体育館 2010.01.11

極上の感動と興奮を届けるミューズ劇場
テキスト・レポート「極上の感動と興奮を届けるミューズ劇場」@ 愛知県体育館 2010.01.11

Muse
 UKの無敵のロック・トリオ、ミューズの名古屋公演に足を運んできた。というのも、先日のhiroshiが伝えてくれた韓国のフォトレポート、それに2日前に行われた大阪公演の評判の数々をネット上で発見して触発されてしまったのがその要因。これはもう行くしかない! と、いってもたってもいられなくなってしまって、前日にチケットを購入して、急遽行ってみることに。ちなみに彼等を見るのは今回が初めて。

Muse 今回の名古屋公演の場所は愛知県体育館。日本ガイシホール(旧・名古屋レインボーホール)と比べるとやや小さいものの、東海地区では有数の広さの会場のひとつといってもいいだろう。それでもスタンディングブロック指定のアリーナ席は完売しており、ここ名古屋でもその人気の高さを見せ付けている。当然ながら、前日にチケットを買った僕は2階のスタンド・指定席(南側の席で右斜めにステージを見渡せる場所だった)となったが、ステージもアリーナの様子もじっくり見渡せることができた。直前に獲ったとは思えない、まともな場所。体をぶつけながらの熱気と興奮は味わえないけれども、落ち着いて彼等のステージを堪能できたのは、結果的に良かったように思う。

 大阪公演では開演が1時間遅れるというハプニングに見舞われたものの(ミューズがホテルでのんびりしていたそうな)、名古屋公演では開演時間を10分ほど過ぎた辺りで、無事に? 暗転。それからは、どでかい歓声が耳を劈き、熱気がグンと高まる。渇望されまくっていたミューズの3人が姿を現すとその歓声はさらに大きなものへと変貌。それを自らの力へと還元するかのように、新作『ザ・レジスタンス』の1曲目「アップライジング」で力強くスタートする。クラシックの要素がこの上なく過剰に表現されていた新作の中では、異質ともいえるゴシック・グラムロック風の楽曲であるのだが、妖しいうねりをあげるギターが会場の熱気を確かなものにし、自分達の放つ華々しいオーラを誇示していた。

Muse ただ、本当に心を奪われたのは次の「マップ・オブ・ザ・プロブレマティック」から。流麗にワルツを踊るかのようなピアノが、僕の胸のど真ん中を貫いた瞬間に、光と闇が劇的に交錯するミューズ・ワールドに完全に引き込まれてしまった。音のひとつひとつが繊細に、激情的に重ねられ、構築される密度の濃いスペクタクル抒情詩。とてつもなく美しいそのサウンドスケープに吸い寄せられ、魅了されてしまうのも無理は無いだろう。押し引きの美学に長けたギター、思った以上に低い重心と的確なリズムで支えるベース&ドラム、ドラマティックに空間を彩色するピアノ、豊かな表情と溢れんばかりの情熱で楽曲に命を吹き込むヴォーカル。どれもが壮絶なぶつかり合いを演じながら、必然の名の下に圧倒的な物語を創り上げている。その世界に足を踏み入れることができた悦びは、本当に格別だ。

 鮮やかに彩られた照明も噂通りに豪華。変化に富んだスクリーンの映像の役割も大きく、ライブにおける視覚から入ってくる興奮を何倍にも高めていた。アンコールにおいては、巨大な風船が数個、客席を飛び交うといった光景も目撃。演出も思った以上に凝っていて、まさかここまでやるとは! って感じるぐらいに予想の上をいっていた。

Muse それも含めて、感動的だった。鼓膜を震わせ、胸の奥底を貫く楽曲が次々と襲ってくる、しかも過剰なまでのドラマ性とダイナミズムを伴って。生だからこそのエモーショナルの迸りは、より激しく心を突き動かしてくれた。個人的にだが、気品高いメロディとクイーンばりの壮大な歌唱が合致する「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ユーラシア」は、特に強く胸を打たれたし、陽性のメロディと共に昇天していく「スターライト」で至福の昂揚感を味わい、ラストにぶちかました「ナイツ・オブ・サイドニア」で凄まじい興奮に包まれた。デビューアルバム『ショウビズ』に収録されている「ケイヴ」という曲がピアノバージョンで披露されるなどのサプライズもあって、コアなファンにも納得の名古屋公演だったのではないかと思う。

 約100分ぐらいのライブであったが、十分すぎるぐらいに満足。この大らかな包容力、あの狂熱を生む爆発力、とてつもなく華々しいオーラ、それらを持っているミューズの3人は予想以上に凄かった。2010年の初ライブに彼等のようなビッグバンドを目撃できたことに感謝である。

— set list —

Intro / 01. Uprising / 02. Map of The Problematique / 03. Supermassive Blackhole / 04. New Born / 05. Hysteria / 06. Citizen Erased / 07. MK Ultra / 08. Nishe / 09. United States of Eurashia / 10. Cave / 11. Drum & Bass Jam / 12. Resistance / 13. Starlight / 14. Time Is Running Out / 15. Unnatural Selection

— encore —

16. Plug In Baby / 17. Knights of Cydonia

Muse
*なお、写真は1月7日のソウル公演のものを使用しています。

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Text:
Takuya Ito
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