ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ (Noel Gallagher’s High Flying Birds) @ 日本武道館 2012.05.23.

帰ってきたノエル
テキスト・レポート「帰ってきたノエル」 @ 日本武道館 2012.05.23.

Noel Gallagher's High Flying Birds

「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」の歌詞にある「Step outside the summertime’s in bloom」を「新緑の輝く初夏」と訳すサイトと「夏の盛り」と訳すサイトがある。どうやら「夏の盛り」と訳すほうが原文に近いようだけども、「新緑の輝く初夏」であるならば、前日の冷たい雨から一転して晴れて気温が上がり、木々の葉が緑に輝く、まさに歌詞にふさわしい日であった。

 そんな日にノエル・ギャラガーが日本に戻ってきた。今年の1月にライヴをおこなったばかりなので、長年待望のというわけではない。けれども、オアシスでライヴをおこなった1998年以来、14年ぶりの日本武道館であるし、今回は名古屋や大阪でもやるのでショーケース的な前回とは違う。ノエルとそのバンドは、1月以降、オーストラリア、ヨーロッパ、北米、中南米を廻りながらずっとライヴをおこなって、ライヴ・バンドとしての経験も高めてきた。

Noel Gallagher's High Flying Birds 日本武道館は、当日券が出たものの、ステージの後ろや、サイドビュー席まで開放したため、ステージを360度お客さんが囲むようになっていた。会社帰りの年配のサラリーマンから学校帰りの女子高生まで、まさに老若男女、外国人もいて、お客さんのバラエティは幅広かった。やっぱり大きなステージに立つバンドはこうした多様な人たちを集めるのだ。始まる前は、PAブースの後ろにいるDJがCDJを使ってポール・マッカートニーの「メイビー・アイム・アメイズド」やマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「スーン」のリミックスなどを流している。

 ステージの両脇上方にスクリーンがあり、照明はそれなりに豪華だけれど、シンプルな印象を与えるステージセットだ。19時15~20分ころ、場内が暗くなり、ノエルをはじめバンドが登場する。まずは、オアシス時代の曲「(イッツ・グッド)トゥ・ビー・フリー」はら始まる。ノエルはイントロを弾いたあとすぐにギターを取り替える。その際にアンプのボリュームを落としてなかったので、シールドを抜き差しした「ボン!」というノイズが入ってしまった。苦笑いするノエル。次の曲もオアシスの「マッキー・フィンガーズ」。そして、ソロの「エヴリバディズ・オン・ザ・ラン」「ドリーム・オン」「イフ・アイ・ハッド・ア・ガン」と続く。基本的には1月のセットリストと数曲違うだけで同じ流れだった。ただ、ホールからアリーナへ変わり、4ヶ月間ずっとライヴを重ねてきたおかげで、1万2000人を相手にする強度を得たのである。アルバムに未収録の「フリーキー・ティース」のヘヴィなドラムを基に他の楽器が重ねられたところは、堂々と会場に響くものとして印象を新たにした。

Noel Gallagher's High Flying Birds アコースティック・セットで演奏された「スーパーソニック」や染み入る「トーク・トゥナイト」、ハンドクラップが決まった「ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ」とオアシス時代の曲も素晴らしかったけど、熟成されてスケールが大きくなった「 (アイ・ウォナ・リヴ・イン・ア・ドリーム・イン・マイ)レコード・マシーン」や昔のボクシングやクラシックカー・レース、映画の引用などがスクリーンに映し出された「AKA…ホワット・ア・ライフ!」、リズムがうねってダンサブルな「 (ストランディッド・オン) ザ・ロング・ビーチ」などのソロの曲も、昔からの印象を裏切らないノエル印の曲であるけれども、オアシスよりも表現の領域を広げて、オアシスでない世界に踏み入れようとしている。まあ、あっさりとオアシスが再結成されるかも知れず、そしたら、こうした試みが今後も生きるかどうかわからないけれども。

 そして、本編が終了し、すぐに大きな拍手が沸き起こる。そんなに間を置かずにバンドが再び現れる。まずは「レット・ザ・ロード・シャイン・ア・ライト」。そして、まず「ホワットエヴァー」会場から歓声が沸き起こる。さらに「リトル・バイ・リトル」とオアシスの曲を連発。アリーナのお客さんは両手を掲げてサビを歌い、クライマックスへの期待に気持ちを高める。そして、開始して90分が経ったころ、最後に演奏されたのは当然「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」だった。イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティが優勝を決めた試合も90分を過ぎアディショナルタイム5分でクライマックスが待っていたわけで、この日も残り5分の大合唱のために一歩一歩階段を上がるようにバンドとお客さんが気持ちを高めていったライヴだったといえる。ノエルはサビを歌わずに1万2000人の合唱に任せる。会場が一体となって武道館の中を人々の声で満たした。やっぱりこの瞬間を何度も味わいたくて、オアシスの、そしてノエルのライヴに足を運ぶのだ。

— set list —
 
(It’s Good) To Be Free/ Mucky Fingers/ Everybody’s on the Run/ Dream On/ If I Had a Gun/ The Good Rebel/The Death of You and Me/ Freaky Teeth/ Supersonic/ Record Machine/ What a Life/ Talk Tonight/ Soldier Boys & Jesus Freaks/ Broken Arrow/ Half the World Away/ Stranded on the Wrong Beach
 

— encore —
 
Let the Lord Shine a Light/ Whatever/ Little by Little/ Don’t Look Back in Anger

Share on Facebook

Information

Photos:
Julen Esteban-Pretel
julen@smashingmag.net
Web Site / Facebook / twitter
Julen Esteban-Pretel's Works

Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
nob@smashingmag.com
Facebook
Nobuyuki "Nob" Ikeda's Works

Write a comment