サケロック @ 赤坂ブリッツ 2012.06.01

進化するサケロックの変化
テキスト・レポート「進化するサケロックの変化」@ 赤坂ブリッツ 2012.06.01

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 バンド結成当初から、楽曲制作やリズム隊としても屋台骨として大きな存在であったベーシスト、田中馨が惜しくも脱退し、半年ぶりにステージ登ったサケロック。ライブ前日にツイッターからは、新体制の発表があった。そのメンバーたるや、ベース吉田一郎(ザゼン・ボーイズ)、キーボードに池田貴史(レキシ)、ギター辻村豪文(キセル)。そして3人のストリングスも加わり、非の打ちどころのない強力なサポート陣だった。

 開場の少し前に赤坂ブリッツに到着すると、平日にも関わらず、待ち構える人の多さに圧倒した。電光掲示板から流れるイベント・タイトルを辿っていると、カクバリズムというレーベルに出会った2007年末の5周年イベントを思い出した。カクバリズム10周年を期して行われた『BOYS IN THE CITY (ボーイズ・イン・ザ・シティ)』では、多才なパフォーマンスで会場を魅了するタッカー (TUCKER)や、フジロックの出演が決まっているセロが出演し、イベントを盛り上げた。
 
 セロの演奏が終わると、お客さんの流れが前へ前へと激しくなった。「なんだろうこの一変ぶり」と感じながら、幕の閉じられたステージを前に開演を待つ。SEで流れる細野晴臣の「終わりの季節」を聞きながら、焦れったさを抱きつつ待つ。

 ライブの出だしは、定番の「慰安旅行」。ストリングスのアレンジがオリエンタルな雰囲気で、のっけからこれまでのサケロックのライブとの違いをにおわす。「ただいま、サケロックです!」演奏後に発したバンドリーダー星野の言葉に、歓喜が湧く。なんとなくではあるが、客層に新鮮みを感じる。

sakerock 2008年にリリースされたアルバム『ホニャララ』から、「会社員」へ続く。9人という構成からか、星野のポジションが以前までの上手からフロントへとシフトしている。彼の叩くマリンバが冴え渡ると、一層の盛り上がりを見せた。自称「人の庭ではしゃぐ」のを楽しんでいるキーボード池田の存在感は印象的で、サポート陣営ながらも曲の勢いをリードし、しゃきしゃきっとした印象で曲を際立てた。

 以降は、YMO絡みで「Fire cracker(ファイヤー・クリッカー)」、「千のナイフと妖怪道中記」。流暢に叩く星野の疾走するマリンバに、会場は釘付けとなった。続くこれまたライブの定番曲「老夫婦」には、これまでハマケンのトロンボーンが担うソロパートが、別パートにシフトし、「これが変化か?」と若干の驚きを感じる。

sakerock 星野は「モッシュのできる曲を」と語り、ハマケンに「モッシュを」と無茶ぶりをする。ハマケンなりのモッシュを披露するものの、いまいち振るわず。おいおいどうしたんだ、ハマケンよ!という気持ちを拭いされないまま「サケロックのテーマ」へ。この曲が収録されている『慰安旅行』のシークレット・トラックのハマケンのスキャットを聞いていると、実に寂しい結末だ。「これが新生サケロック?」と思ってしまった私は、まだ進化の過程について行けていないのかもしれない。

 モッシュのできる「MUDA(ムダ)」を披露し、レーベル角張社長のあいさつを挟む。昨年9月の日比谷野音でも披露された新曲「エメラルドミュージック」をアンコールに終盤へ向かう。パンクバンドのライブのように、激しいモッシュとまではいかないまでも、これまでのサケロックのライブより少し激しめのリアクションが会場から伺えた。

sakerock 映画『婚前特急』やドラマ『モテキ』の出演からテレビなどへの露出の増えたハマケン、大手化粧品メーカーのタイアップの楽曲「夢の外へ」のリリースをはじめソロ活動にも邁進する星野、昨年からTONE(トーン)に所属し細野晴臣、高田蓮らとの共演が盛んな伊藤大地。それぞれが個々の活動に躍進する中、いかにサケロックという集合体が動いていくのか、今回ライブだけでは計り知れない。3人になったサケロックが、今後どのように変化し、新たな楽曲を生み出していくのかは、注目の寄るところだ。

【最新のリリース情報】
 田中脱退前の4人の活動として映像作品『ぐうぜんのきろく ファイナル』が5月にリリースされている。台風の中、奇跡的に開催された昨年の日比谷野音のワンマンや、2009年アルバム『MUDA(ムダ)』リリース時のツアー、そして昨年末の渋谷アックスでのライブの模様がディスク2枚に渡って納められており、長らくファンである人にとっては涙もの。新たにサケロックに出会った人には、彼らのライブがもっと見たくなるような内容の詰まった作品になっている。

–>カメラマン近澤幸司によるフォト・レポート

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Text:
Hiromi Chibahara
tammy@smashingmag.net

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