リーヴ・ゼム・オール・ビハインド(leave them all behind 2012) DAY.2 @ 代官山ユニット 2012.11.04

地獄から天国までもを貫く轟音の祭典
テキスト・レポート「地獄から天国までもを貫く轟音の祭典」@ 代官山ユニット 2012.11.04

Godflesh

 信じられないような夢の来日が実現した2日目の開演である。ミニストリーやナイン・インチ・ネイルズと並ぶインダストリアル・メタルの始祖として名高い孤高の存在、ゴッドフレッシュ(Godflesh)が20年以上の時を経て日本についに降臨。そして、日本の激情系ハードコアの雄、エンヴィ(envy)が2001年に発表した名盤『君の靴と未来』を全曲演奏するなど昨日に引き続いて、本日も話題に事欠かない。また、ハードコア/ブラックメタルの新鋭のデフヘヴン(Deafheaven)、国産グラインドコア・バンドのモータライズド(MOTALIZED)も彩りを添える。ちなみに2日続けて前売り券と当日券は、完売。超満員である。

 この日も定刻から遅れることなく、トップバッターの演奏がスタート。まずは、京都のグラインドコアの重鎮、モータライズド(MOTALIZED)が火をつける。激しいギター・リフの応酬とブラスト・ビートを多用したドラム、そしてヴォーカルが狂気に満ち満ちた絶叫で混沌とした状況をつくりあげていく。思わぬドラマティックな旋律が挟まれることもあるが、激速のグラインドコアが怒涛のごとく鼓膜になだれ込んでくる。ベースレスのトリオ編成ながら、速さと重みに富む迫力のサウンドはあらゆるものを叩きのめす破壊力があり、その激音に煽られて巻き起こるモッシュは、フロアの熱気をよく表していたと思う。約30分ほどのステージはあっという間に過ぎ去り、国産グラインドコアとしての存在感を大いにみせつけた。

Deafheaven 続くは、サンフランシスコ出身の若手ハードコア/ブラック・メタル・バンドのデフヘヴンである。ポストロックやシューゲイザーの要素を交えた、いわゆるポスト・ブラック・メタルとよばれるスタイルが特徴に挙げられるが、美しい旋律を重ねながらスケールを広げ、大爆発する様はモグワイからの影響を感じさせる。その上で炸裂するブラック・メタル風のトレモロ・リフとブラスト・ビート、ハードコア寄りの絶叫は威力十分。さらには背が高く、セクシーな男の雰囲気を湛えたヴォーカル、ジョージの存在感もかなりのもの。その奇妙な仕草や動きは会場の視線を集めていた。

 ライヴは、10分を超える「ヴァイオレット」から美しさと激しさを備えたサウンドで会場を煽り、「ランゲージ・ゲームズ」「アンリクワイテッド」と1stアルバム『ローズ・トゥ・ユダ』からの曲を立て続けに披露。そして、今月末に発売のBosse-de-Nagというバンドとのスプリットに収録されているモグワイのカバー曲「コーディ」を最後に演奏し、怒涛のごとく押し寄せる轟音と光で会場を包み込んでいった。個人的に、彼らのことは翌々日の名古屋での単独公演も拝見したが、これからを期待させる好パフォーマンスで数少ないお客さんを唸らせていた。

Envy

 3番手には、前日のボリス(Boris)と同じく第1回から3回連続皆勤出場のエンヴィ(envy)。が登場。既にここまでの2組の熱演で気持ちも体も随分と高揚していたのだが、ここにきてのエンヴィのライヴは、やはり格別だった。SEの「ゼロ」から必殺の「さよなら言葉」へと繋がり、人でごった返すフロアの熱気は早くも尋常ではないレベルへ。順番はわかっているとはいえ、「静寂の解放と嘘」「左手」と現在でもライヴで活躍する楽曲が続けざまに披露されれば、熱くならない者はいない。激情と悲哀が交錯する唯一無二のハードコアは、魂をも震わせる。

 トリを飾るゴッドフレッシュよりも、今日の特別なエンヴィをお目当てにしていた人も多いことだろう。それはフロアの熱狂ぶりを見ればよくわかる。なにせ、日本のハードコア界の屈指の名作『君の靴と未来』を全曲演奏する最初で最後の機会なのだから。MCで語っていたが、普段はあまり練習をしないとのことだが、今日の特別なライヴにむけてはかなりの練習をこなしてきて、(本作品をリリースした当時の)20代後半のピチピチだったころの情熱を燃えたぎらせてライヴに臨んでいるという。また、ヴォーカルの深川も当時着ていて、凄く影響を受けたというカナダのハードコア・バンド、ウラナス(Uranus)のTシャツを着用する徹底ぶりだ。

 全11曲がハイライトになりえるぐらいのエネルギーを感じるほどだったが、特に音と感情が溢れ出した「足跡の光」から「君の靴と未来」というラストが、本当に圧巻だった。今から11年前の作品となるが、様々な経験を経てきた今のエンヴィの強さやスケールが加わった『君の靴と未来』の完全再現は、圧倒的な説得力を持つものとなっていたと思う。最後の最後、アウトロの美しい旋律に合わせて会場が一体となった拍手で包み、皆で感動をわかち合うことができたのも素晴らしかった。もう二度とないだろう体験に心から感謝したい。

Godflesh

 この2日間のフェスの最後を飾るのは、ついに初来日を果たしたゴッドフレッシュ(Godflesh)。20年以上の時を経て、日本でようやく実現した出来事に夢でも見ているかのようだ。現在はイェスー(Jesu)を中心に、数多くのプロジェクトを動かすジャスティン.K.ブロードリック、そしてベーシストのG.C.グリーンの2人がステージ上に姿を表しただけで、なんとも言い表せない感情が湧き上がってくる。

 そんな神の一撃はまず「ライク・ラッツ」から始まる。名盤の1stアルバム『ストリートクリーナー』でも幕開けを飾るこの曲から、ゴッドフレッシュの凄さを思い知らされた。ジャスティンが放つ超重量級のギター・リフと咆哮、地響きを巻き起こすG.C.グリーンのベース、そして特徴のひとつである冷徹無比なドラム・マシーンによるインダストリアル・サウンドは迫力満点。続く「クリスベイト・ライジング」「ストリートクリーナー」でも鬼神のごときパフォーマンスで圧倒する。反復する激重リフと冷徹なビートが、えも知れぬ快感を呼び、異様な盛り上がりと熱気で会場全体が包まれていく。ステージ後方のスクリーンでは、『ストリートクリーナー』のジャケットを動かしたものや絵画などが延々と視覚を刺激していた。

 その後も初期の楽曲を中心に演奏は続き、ゴッドフレッシュは時代に左右されない重みと凄みを増していく。後半では、2ndアルバム『ピュア』から「スピット」「モスラ」「ピュア」を畳み掛けるように演奏し、3rdアルバムの『セルフレス』に収録されている「クラッシュ・マイ・ソウル」で奈落の底を見て、本編は終了。演奏後には、律儀に何度もお辞儀をして感謝を示すジャスティン。そんな彼からは誠実さも大いに伝わってきた。ほどなく始まったアンコールでは、現在のイェスーにも通ずるような繊細さと浮遊感が伝わる「スレートマン」を披露し、約75分に及んだ初の日本公演は幕を閉じた。個人的には、5年前にイェスーを見た時を上回る衝撃的なライヴであり、しばらく言葉が出てこないぐらいに彼等に打ちのめされていた。

 夢のような2日間は、伝説の目撃。そして、貴重な体験の連続。やはり耳や体へのダメージは大きいものだが、心は大きく満たされている。こうして、全8組がそれぞれ濃密な時を刻んだ第3回リーヴ・ゼム・オール・ビハインド(leave them all behind)は、大成功を収めたのであった。

——setlist——

-Deafheaven-
Violet / Language Games / Unrequited / Cody(Mogwai Cover)

-envy-
perfoming “君の靴と未来”

-Godflesh-
Like Rats / Christbait Rising / Streetcleaner / Life Is Easy / Tiny Tears / Avalanche Master Song / Dead Head / Spite / Mothra / Pure / Crush My Soul / en.Slateman
Godflesh
photo by
Deafheaven : Teppei
envy : Miki Matsushima
Godflesh : Teppei & Miki Matsushima

–>leave them all behind 2012 DAY1

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Photos:
Official Photographer


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Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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