デデ・マウス(De De Mouse) @ 赤坂ブリッツ 2012.12.06

郊外へ感傷旅行
テキスト・レポート「郊外へ感傷旅行」@ 赤坂ブリッツ 2012.12.06

 19時30分開演予定の会場には、童謡、アニメソング、クリスマスソング(ただし日本語)やアイドルソングが流れていた。西城秀樹の「走れ正直者」も流れていたくらい。15分くらい押してデデ・マウスこと遠藤大介が登場する。最初はドラマーが一人、のちにもう一人が参加して激しいビートを叩きつけるようなライヴを繰り広げる。今年のフジロックでもこうした編成で、最終日のレッドマーキーを湧かせていたけど、それよりもクレイジーなものだった。そして、マイクを手にしたデデ・マウスは、まず感謝を述べ、それから脱力系というか、自虐系というか、グダグダな内容だけど、お客さんを笑わせながら、ちょっと長く喋る。

 そして新たにアコースティック・ギター、サックス、クラリネット、ベース、ドラマーが現れ、郊外の光景を撮影した映像をスクリーンに映しながら、新譜『sky was dark(スカイ・ワズ・ダーク)』の世界を作りだす。その郊外の映像には自分が子供のころに行ってたショッピングセンターパルテノン多摩という文化施設や祖父が息を引き取った病院などが出てきて、自分はまさにこういうところで生まれ育ったのだ、と感じた。

 郊外のニュータウンというのは、住んでいる人にとっては馴染み深いし、場所によっては高台から富士山がみえたりと美しい光景に出会うことはあるけれども、だからといって、関係ない人がわざわざ観光で訪れることはない(香港には郊外に行って、普通の人の生活を観る、というツアーがあったようだが)。だけどこのライヴには、郊外に住んでいて近所を散歩するような、夜にニュータウン内をあてどもなくドライブする、郊外で旅行するような感覚があった。人はたくさんいるはずなのに無機質な感じ、現実そのものなのに浮遊している感じがある。

 第二部終了という感じで、それまでのメンバーが引き上げ、先のツインドラムにキーボード、サックスという編成で第三部。「予定調和が好きなんだろ⁈」という挑発的な言葉から、みなが聴きたいデデ・マウスの曲を演奏するパートへ。卓の上に立ちキーボードを持ち上げての熱演は、次の曲のイントロがうまく出ないという事態を招いたりして、何度もやり直した挙句に、しょーもない下ネタをかましたけど、演奏が始まってしまえば、フロアを埋めたお客さんたちが一斉に手を挙げて踊り、笑顔にあふれたのだ。アンコール前にはこの日参加したミュージシャン全員で記念撮影をしたりした。その様子が一体感というわけでもなく、アットホーム感というわけでもなく、ちょっと距離はあるものの、でも親しい感じが、まさに郊外的な人間関係のような気がした。

Share on Facebook

Information

Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
nob@smashingmag.com
Facebook
Nobuyuki "Nob" Ikeda's Works

Write a comment