田我流 @ 渋谷クラブクアトロ 2013.03.02

夢は逃げない。彼は掴み取った。
フォト・レポート @ 渋谷クラブクアトロ 2013.03.02

田我流
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–>イースタンユース

 極東最前線18余年の歴史の中でも、ガチのラッパーの出演は初めてのはず。山梨県一宮町を拠点に活動するMC、田我流。彼がどのような道を経て今に至ったかは、『ヒップホップの詩人たち』(都築 響一・著/新潮社・刊)にロング・インタビューが載っているので、ぜひ参照してみてほしい。東京ではなく山梨で、ヒップホップを武器に問題提起し、自己の内面を突きつめる彼の輪郭が浮かび上がってくる。

 1998年の自身の出来事がモチーフになっている曲「バック・イン・ダ・デイ」の途中、「ちょうどこの頃に俺はイースタンユース聴いてハマっちゃったんだぜ! 高校の頃だ!」と彼は叫んだ。イースタンユースの音楽との出会いを「魔法」と呼び、「その魔法のせいで、ずーっと夢見ることを始めちゃって、気がついたら15年経ってここに立っているんですよ」とも。だからこそ、「坂」での「夢は逃げないぜ 遠のくのはお前自身」という一節が完全なるリアリティでもって、胸に刺さってくる。

 普段ヒップホップのライヴを観慣れない観客も多いであろうフロアの反応は、正直なところ固かったかもしれない。それでも社会への違和感、自己の痛み、音楽への愛を研ぎすました日本語にのせて吐き出さざるを得ない精神と、このステージでベストを尽くしたいという真摯な姿勢は、その場にいた観客ひとりひとりに届いたことだろう。

 それにしても、15年越しでジャンルを軽々と飛び越えて極東最前線のステージに立つ夢が実現するなんて、どえらい魔法だなぁ。実現したのは決して奇跡などではなく、彼が自ら引き寄せてつかみ取った努力の証と言っていいはず。ヒップホップ門外漢の私であるが、彼の特別な夜に立ち会えたことそのものが、なんだか嬉しかった。

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