スティーヴ・フォバート (Steve Forbert) @ クリークサイド・アット・ヒルトン・ガーデン・イン in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.15

名作『アライヴ・オン・アライヴァル』から35年、変わらぬ魅力に脱帽
フォト・レポート – スティーヴ・フォバート @ クリークサイド・アット・ヒルトン・ガーデン・イン in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.15

Steve Forbert
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 デビュー・アルバム『Alive on Arrival(アライヴ・オン・アライヴァル)』でちょっとしわがれた声を持つこのシンガー&ソングライター、スティーヴ・フォバートに惹かれて、続く『Jackrabbit Slim(ジャックラビット・スリム)』でメロメロになったのはすでに35年ほど前のこと。いつかチャンスがあったら、ぜひライヴを見たいとずっと思っていた。なんでも33年前に彼の来日があったらしいんだが、タイミング悪く、その頃、日本を飛び出していたのが筆者。結局、生で彼を見ることができないままに過ごしてきたことになる。実は、06年に日本の三味線奏者をアメリカに紹介したツアーでシカゴに立ち寄ったとき、同じ小屋で彼が演奏したか、する予定だったかのポスターを見かけているのだが、わずかのすれ違いで見られずじまい。実に悔しい思いをしたものだ。

 その彼が3月29日から来日してツアー入りをするというニュースがどれほど嬉しかったか… 当然ながら、初日には取材させてもらって、速攻でレポートを書こうと思っていた矢先、今回のSXSWで彼が演奏することを発見。スケジュールを見ると、この日のこの会場の他、もう一カ所でもやっているというのでどちらを見るか悩んだのだが、あわよくば両方… と思って、ここに出かけたのが良かった。なんと、後半戦のもうひとつはビートルズのトリビュート・ライヴで本人の曲は演奏しなかったんだそうな。

 会場となったのはホテルの一角にあるパーティ会場のようなスペース。ステージには木の板、ギターが置かれていて、まるで昔のフォーク喫茶のような感じでテーブルと椅子が用意されている。照明は質素で、観客はまばら。かなり淋しい雰囲気なのだが、SXSWでは同時進行で無数のライヴが展開されているのでこんなも不思議ではない。ただ、同じテーブルのお客さんと話していると、彼も永年のファンで今日のライヴを楽しみにしていたとか。年齢層は… おそらく、筆者と同じ50代前後が中心だろう。見るからに、昔からのファン… あるいは、昔しか知らない人が多数派だったのかもしれない。

 ステージに登場したスティーヴはこういったことにも慣れているんだろう。「さぁ、みんな、前に来いよ」と声をかけながら、ライヴに突入。板を足で打ち鳴らしながらリズムをとって、高めに設定したマイクに向かって背伸びをするように歌い始めていた。確かに、年輪は感じるのだが、初期のアルバムのイメージとほとんど変わらず、声もそのまま。まるで同じ時間のなかをずっと生きてきたように感じるのだ。

 観客から飛び出してくるのは昔の曲へのリクエスト。おそらく、ここアメリカでも最初の2枚のアルバムのインパクトが大きかったんだろう。「What Kinda Guy?」といった声が聞こえてくるんだが、彼が歌いたがっているのは昨年発表した最新作『Over With You(オーヴァー・ウィズ・ユー)』が中心だ。3年ぶりとなるこのスタジオ録音作はベン・ハーパーがアルバム制作をしていたスタジオの空き時間を使って録音し、ベンのみならず、かつて彼のバックで演奏していたジ・イノセント・クリミナルズのkbdでナタリー・マーチャントやメイシー・グレイあたりとも活動しているジェイソン・イエイツも客演。アーティストとしては最新作を演奏したいのは当然だろう。

 それでも最近、1stと2ndが同梱された2枚組CDが発売され、一昨年から昨年と『Alive on Arrival(アライヴ・オン・アライヴァル)』や『Jackrabbit Slim(ジャックラビット・スリム)』のデラックス盤の発売が続いている。おそらく、彼の作品への再評価が始まっているんだろう。この日は前者のディスク2に収録されたトラックを披露して、50分弱のセットを終了。締めはリクエストにそって「What Kinda Guy?」となっていた。

 デビュー・アルバムから35年以上を経て初めて体験したスティーヴ・フォバートのライヴ、これで満足できるわけがないだろう。けっして不満という意味ではないんだが、SXSWのショーケースは実に微妙で演奏される時間は40〜50分。アーティストの魅力をコンパクトに体験することはできるんだが、ジックリと楽しむには「物足りない」のだ。逆に言えば、日本でそうやって彼の音楽を味わう下地ができた感じだろうか。おそらく、来日公演では33年のギャップを生める濃密な時間が待ち受けていると期待。特に初日の横浜は見逃せないと思うのだ。

ザ・フレーミング・リップス

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