チャラン・ポ・ランタン(Charan Po Rantan) @ コパ in サウス・バイ・サウスウエスト 2013.03.16

チャランポ土地を選ばず
テキスト・レポート – チャラン・ポ・ランタン @ コパ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.16

チャラン・ポ・ランタン

 4年ほど前、チャランポのアコーディオンを担当している小春のインストバンド、マイノリティ・オーケストラを見たことがある。ブタを小脇にかかえてオドオドする不思議ちゃんをステージに招き入れ、歌わせた。マイノリティの解散と前後してチャランポのヴォーカルとなる、ももちゃんだった。

 小春のアコーディオンは4年前から度肝を抜くものだった。現在に至るまでにももちゃんの歌唱力もみるみる上達して、小春の旋律の上で自在に舞うようになっている。姉の力量にかなう力をつけようと、努力してきたのだろう。そして、カナダツアーを敢行した時に、いずれSXSWに出てくることになるのだろう、と感じていた。

 この「コパ」のショウケースは、「ジプシーナイト」という銘がつけられた、チャランポ@SXSW’13最後のステージ。家族が夜なべして作った派手な衣装は人形っぽさをかもし、「日本=フィギュア」なオタク的側面でも支持されているようだった。派手好きなのは、小春のアコーディオンのきっかけが「サーカスを見て感動した」ことにも関連しているはず。道化のようなきらびやかな衣装をまとい、それがかえって異国の妖しさを浮き彫りとしている。もちろん見た目だけでなく、人が少ないと感じるや、機動力を活かして呼び込みを兼ねた練り歩きに移行したりと、期間中、臨機応変に攻め続けた彼女達の活動も大きな成果をあげていた。

チャラン・ポ・ランタン 今回のアメリカツアーは、ドラムが入ったトリオ編成だった。冒頭で触れたマイノリティ・オーケストラのリズムを一人で支えていたふーちんの参加は、チャランポを「ユニット」から「バンド」へと変質させていた。彼女のドラムは底抜けに明るい。一切の言葉は発しないものの、彼女と彼女が叩きだす地団駄のような打音が存在するだけで、暗い歌詞を覆い尽くさんばかりの、「陽」の雰囲気が満ちてくる。ふーちんと小春の、マイノリティ時代から続く長い付き合いは、ふーちんが小春というワガママかつ突出したレベルのアコーディオン弾きに対抗できうる技量の持ち主であったこと、そして、その「我の強さ」を受け入れて中和できる存在であったことが大きいと思う。もちろん、あくまで想像であり、本人たちのみが知ることではあるけれど。

チャラン・ポ・ランタン 小春のアコーディオンはキレキレで、ももちゃんのヴォーカルには深みがある。ちょいちょい顔を出す辛辣な歌詞は小春の手によるもの。ももちゃん自身はおっとりしていて、あまり人を攻撃する性格ではない。日本では、ステージから言葉を撃ちまくる小春、直接お客さんに絡んでゆくももちゃん、という「客いじり」の役割分担が出来あがっている。それがアメリカではうって変わって、ももちゃんが全てのMCを担当していた。英語で、「日本から来たチャラン・ポ・ランタンです。バーベキューが好きです、タコスが好きです…(以下飯ネタ)」とつかみを繰り出し、そのくだりが終わると、すかさず小春が背後に近づいてボソボソ。操られるかのように口を開いたももちゃんにより「CD売ってます、Tシャツ売ってます、手ぬぐい売ってます」と営業トークが続いた。ほとばしる若さの奥に見え隠れする、チャラン・ポ・ランタンのしたたかさとたくましさ。そこには相変わらずの「小春節」があった。

チャラン・ポ・ランタン SXSWで披露されたのは、震災を受けて生み出された”人生のパレード”や、人気者に群がるファンへのアンサーソング(もとい、報復”口”撃)”恋は盲目”などのオリジナル曲だけではなく、チャランポ結成当時に必ずと言っていいほど披露されていた”ムスタファ”(エジプトの曲)、”ハバナギラ”(イスラエルの曲)など、カバーの割合を増やしていた。着実に地盤を固めつつある日本とは違い、いちげんさんのままで終わらせまい、という意思が強く作用していた。チャラン・ポ・ランタンという種をまき、取り込んでいこうとする貪欲さがあったのだ。

 どこまでも貪欲に。愛想と笑顔を振りまくことでアイドルになりきり、音楽をかまして虜にする。入口は大きく開け放たれて、出口は狭い。「捕らえたら逃すまい」という姿勢は、日本であろうが海外であろうが変わらない。チャラン・ポ・ランタンは、世界を股にかけて、もっともっと大きくなってゆくのは間違いない。

–>オゾマトリ

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