レッド・バラート(Red Baraat) @ スピークイージー in サウス・バイ・サウスウエスト 2013.03.15

ブルックリンで最も熱いバンド
テキスト・レポート – レッド・バラート @ スピークイージー in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.15

Red Baraat

 会場は、いわゆる「ワールド系」を中心に集めていた、「スピークイージー」というハコ。入って一階にバー・スペースとステージがあり、階段を登ればボーリングのレーンとカウンター、ステージを上から見られる屋内バルコニーが設けられている。他にもステージがあるが、それは割愛させてもらうとして、レッド・バラートを見られるありとあらゆる場所が人で溢れかえっていた。

 彼らが拠点としているのは、ニューヨーク州のブルックリン。バンド名の由来となった、「バラート」とは、ヒンドゥー教の結婚式におけるパレードのことだそうだ。中心人物はドール奏者のインド系移民、サニー・ジェインで、ソロ作品もリリースしている。彼はボリウッドから、レッド・ツェッペリン、ジェネシスあたりに影響を受けているそうで、12歳でジャズを聴いていたらしい。彼の他にも、このバンドにはいかにも「インドな」雰囲気を醸すメンバーがいる。頭にターバンを巻いていたり、彫りが深くて肌が浅黒かったり。インド系だけではなく、黒人や白人、日系もいて、それぞれが持つ様々な背景が、インドという底なし沼のような摩訶不思議スポットに流れこんで、「ワールド・ミュージック」に収まることのない独特なうねりを生み出している。

Red Baraat 全てのリズムの根元を支えるのはドラム。そこに乗っかるソプラノサックス、トロンボーン、トランペット、あまり見る機会の無いバス・トランペットやベースの役割を担うスーザフォンといった、5種類からなるホーン隊が大きく膨らませ、さらに、ボンゴを中心としたパーカッションと、このバンドのキモとなる、ドールというインドの太鼓の音色が踊り出てくる。もっとも、ホーンの音色だけをとれば、ロマ(ジプシー)音楽や、ニューオーリンズの「セカンドライン・ファンク」の影響が見え隠れする。ロマの発祥はインドとされているから、あながち間違ってはいないはず。そのホーンの音の隙間を、ドールやパーカスが奇妙な旋律で埋めてくる。

「ドール」とは、エイジアン・ダブ・ファウンデーションの最前でプリトパル・ラジプットが乱打する両面に皮を張った太鼓、といえばわかる人もいるかもしれない。このレッド・バラートにおいて目立つのは至極当然で、バンドのテーマが「ファンク・ン・ドール(Funk N’ Dhol)」、読んで字のごとく、ドール(インド)を前面に押し出している珍しい編成ながら、キワモノとはならず、ADFと同じく、しっかりと「バンド」としての形を成している。煽りは「手を挙げろ!(put ya hands up!)」といった、ヒップホップやミクスチャーあたりの「MC」がよく使う言葉だったりして、ストリートを知っているかのような振る舞いが垣間見える。よくよく考えれば、打楽器とホーンのみで構成されているから、機動力は抜群。電源に頼らず、街角でライヴを行ってきたこともあるはずだ。

Red Baraat インドはパンジャーブ地方の言葉をお客さんに繰り返させるという無茶ぶりも容赦なく、こちらが早口すぎてついていけないことも熟知している。「ニヤリ」と笑いながら、ダレル・メヘンディのカバー曲、”Tunak Tunak Tun(トゥナク・トゥナク・トゥン)”へと移行する。オリジナルのMVが「ダサすぎる」と一部の間で話題になったこともあって、知っている人も多いだろう。「トゥルットゥル、トゥルットゥル、トゥルットゥルトゥ、ダーダーダッ!」と歌う奇妙なフレーズも、レッド・バラートの手にかかれば、お客さんが拳を挙げるきっかけや叫ぶポイントとなっていく。彼らの音は、様々なルーツを見せながら、とにかく「踊れ」という信号を発し続け、こちらに考えることを放棄させる。全編を通して見れば、まるで、渋さ知らズのような展開だった。

 序盤で「ゴーゴル・ボーデロを思い出した」と書いたが、もちろん音はまるっきり違う。だけれども、有無を言わさず押してくる力の強さは、肩を並べるほどだった。数年のうちに、フジロックあたりに名前が出てくるのは間違いないだろう。

–>レッド・バラート(フォト・レポート)

–>ディスクロージャー

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Text:
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