ジ・エナミー (The Enemy) @ ザ・ベルモント in サウス・バイ・サウスウエスト 2013.03.15

ロックンロールは、今、この瞬間に鳴り響いている!
テキスト・レポート – ジ・エナミー @ ザ・ベルモント in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.15

The Enemy

 ロックンロールは決して息絶えることはない。それは形を変え、これから先も永久に残ることだろう。その時代を生きている人たちに寄り添い、そっと背中を押してくれるのがロックンロールってもんである。ジ・エナミーのライヴを観たら、きっと、そんな暑苦しい想いにかられてしまうこと請負いだ。

 今年のサウスバイ・サウスウェスト(以下SXSW)も、早いもので4日目。楽しい時は、あっという間に過ぎ去ってしまう。SXSWに来ると、それをどうしても痛感してしまうのだ。この日の夜は、イギリス、コヴェントリー出身の3ピース・ロック・バンド、ジ・エナミーを観た。彼らは、良質なUKロック・バンドを多く輩出した、2007年のデビュー組で、アークティック・モンキーズや、ザ・ビュー、ブロック・パーティー、クラクソンズなどと同期のバンドである。オアシスやザ・クラッシュから最も影響を受けたと公言しているとおり、キャッチーで、シンガロングできるとっつき易いメロディと、労働者階級の生活をテーマにした歌詞で、ワーキング・クラスのプライドを鼓舞し、一躍イギリスで最も愛されるバンドのひとつとなった。筆者は過去2回、サマー・ソニックで彼らのステージを観ているのだが、いずれも文句なしに素晴らしく、今回も、もちろん間違いなく盛り上がるだろうと軽い気持ちで会場へ足を運んだ。いやはや、その想像をはるかに超えるステージとなり、彼らの熱過ぎるド直球ロックンロールに、感動しっぱなしだった。

 SXSWのメインストリート、6thストリート沿いにある会場の、”ザ・ベルモント(The Belmont)”に着いた時には、イギリス、リーズ出身のザ・シェヴィン(The Chevin)がラストの楽曲を奏でていて、そのステージが終わろうというところだった。オーディエンスは想像していた以上に少なく、簡単にステージ最前列を陣取れた。定刻10:15PMで、ジ・エナミーが颯爽とステージに登場。フロントマン、トム・クラークのギターに、白のテープで<SXSW>と、何とも雑に、だが誇らしげに見せつけていた。その不器用な様が、何ともらしくて実にいいのだ。セットリストのトップバッターは、前のめりに突っ走る、最新作『ストリーツ・イン・ザ・スカイ』からの「ギミー・ザ・サイン」だ。

 トム・クラークはギターを、アンディ・ホプキンスはベースを、ともに、弦をかきむしるといった表現がベストだろう。のっけから完全に本気モード。それに呼応し、ただただ、自然と腕を振り上げ、頭を振る、自分がいた。そのまま、デビューアルバム、『ウィール・リヴ・アンド・ダイ・イン・ジーズ・ダウンズ』のファースト・トラック、「アグロ」へなだれ込み、チープで、ダーティーなロック談義で、その場が盛り上げた。その後も、間髪なくガンガン、次の曲をブチかます。う~ん、かっこいい。それ以外の感想が、全然思いつかない。気がついたら、サマー・アンセムの「サタデイ」をシンガロングして、隣りのオーディエンスと肩を組んでいた。

 スタッフから「Two Songs left(残り2曲)」との紙を渡されたトムは、「あと、たったの2曲かよ!」と叫んだかと思えば、「ウィール・リヴ・アンド・ダイ・イン・ジーズ・ダウンズ」を豪快に響かせた。今回は、彼らの初期衝動を復活させるべく、披露したステージだったのではないかと思う。だからこそ、スタジアムロック・ナンバーの多かった、2ndアルバム、『ミュージック・フォー・ザ・ピープル』からは1曲のみで、主にデビュー・アルバムからの楽曲で構成されたセットリストだったのではないだろうか。
 
 とにかく、ジ・エナミーは、今、この瞬間を全力で駆け抜けている。そんな突き抜けたポジティブさを、まざまざと見せつけられた感動的なステージだった。また是非、近いうちに来日して、爽快で突き抜けた風を吹かせて欲しい。

- set list -
Gimme The Sign / Aggro / Had Enough / Saturday / Be Somebody / This Is Real / Away From Here / This Song / We’ll Live And Die In These Towns / You’re Not Alone

Text by Takafumi Miura

The Enemy

–>レッド・バラート

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Photos:
Miyuki "Sam" Samata
sam@smashingmag.com

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Text:
Takafumi Miura
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