ビリー・ブラッグ (Billy Bragg) @ セント・デヴィッズ・ヒストリック・サンクチュアリ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.13

風格と貫禄を感じさせる闘うシンガー&ソングライター
フォト・レポート – ビリー・ブラッグ @ セント・デヴィッズ・ヒストリック・サンクチュアリ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.13

Billy Bragg
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 これまでの長い取材活動で最初にインタヴューをしたのがビリー・ブラッグだった。おそらく、1984年ではなかったかと思う。彼が背中にギター・アンプをしょってNMEといった音楽メディアに乗り込んでいた頃。シンガー&ソングライターであっても、あくまでロッカーだと、彼がワンマン・クラッシュと呼ばれていた時代だ。「ザ・クラッシュの『白い暴動』コンサートを体験して、『音楽で革命ができる』と確信した」と語ってくれたあの出会いから、すでに30年弱が過ぎている。

 その年輪はこの写真を見ていただければ充分わかるだろう。ここ1~2年のことではないかと思うのだが、髭を蓄えた彼の表情が実に渋い。歌いっぷりも、曲も雰囲気も、実に渋いのだ。そこにかつてのワンマン・クラッシュのイメージをダブらせることはできない。あの当時、どこかで『若く、腕白で一直線に闘うフォークロッカー』的なイメージを感じていたのだが、この日のライヴで感じたのは貫禄だった。数年前に、同じオースティンのSXSWで彼のライヴを見た時に、ニューヨークからやってきていた知人のミュージシャンが『ビリー・ブラッグはカリスマよ』と語っていたのが気になったんだが、確かにそうなんだろう、ここでは。彼の放つ歌、言葉の一字一句までを真剣に耳を傾けようとしている人たちの姿が印象に残っている。

 静かなタッチの曲が多かったのが気にはなる。ライヴの途中、MCで『別れ』があったことを口にしていたのもそれが理由だろうか。それがたまたまだったのかもしれないんだが、いずれにせよ、かつての『吠える』というイメージを完全に払拭し、ジョー・ヘンリーの協力の下で録音された最新作『Tooth & Nail(トゥース&ネイル)』の円熟した渋さがそのまま表れたのがこの日のライヴだった。

 が、彼がその本質で何も変わっていないのは言うまでもないだろう。MCで語られる政治のことのみならず、彼が今も闘う社会主義者であることはに微塵の疑いも感じない。そのピークは『聞けば聞くほどに今の時代を物語る』と語って演奏に入ったウディ・ガスリーのカバー「I Ain’t Got No Home(この世に住む家とてなく)」。日本では高田渡のヴァージョンで有名だが、ビリー・ブラッグのこのヴァージョンはハートにずしんと響くのだ。彼の口から出た「1%が富を牛耳り、99%が搾取される」今をこれほど的確に歌い当てている曲もないだろう。それを彼が歌うと一段と響くのだ。

 30年ほどのキャリアを通じて、今回のこのアルバムこそが最高傑作ではないかと思う。前作『Mr Love & Justice(ミスター・ラヴ&ジャスティス)』でも、同じような感慨を持ったんだが、年を重ねるごとに渋さを増すビリー・ブラッグに、確かに『カリスマ』を見るようになってきた。80年代の来日公演ではステージに通訳を立たせていたんだが、すでにその必要はないだろう。彼の歌からは「言葉」を超えた『音楽という言葉』が突き刺さってくるのがわかるのだ。

–> スイセイノボアズ (テキスト・レポート)

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