マイク・スコット (Mike Scott) @ セント・デヴィッズ・ヒストリック・サンクチュアリ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.13

ひさびさに聴く名曲「The Whole Of The Moon(ザ・ホウル・オヴ・ザ・ムーン)」に脱帽
フォト・レポート – マイク・スコット @ セント・デヴィッズ・ヒストリック・サンクチュアリ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.13

Mike Scott
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 昨年急逝したSXSWの主催者のひとり、ブレント・ゲルケへのトリビュート・ライヴを確認したあと、大急ぎでこの会場に向かう。といっても、けっこうな距離があり、まさか見られるとは期待していなかったのがこのマイク・スコットだった。実際のところ、狙っていたのはこのあとに出演するビリー・ブラッグ。が、これが『嬉しい誤算』となる。

 83年に結成され、3枚目のアルバム『This Is the Sea(ディス・イズ・ザ・シー)』で一気にスターダムに上り詰めたのが、基本的にはマイク・スコットそのものと言っていいだろう、ザ・ウォーターボーイズというバンドだった。その当時に彼らのライヴを見ているのだが、劇的な曲調に感情をむき出しにしたようなマイクのヴォーカルが重なって聴くものの胸を締め付ける… 彼らのライヴにはそれほどまでに壮絶な迫力を感じたものだ。

 あの当時、アイルランドからUKのバンドに絶大な影響を与えたのが彼ら。が、『Fisherman’s Blues(フィシャーマンズ・ブルース)』でケルティック・フォーク色を前面に出したアルバムを出すなど、徐々にスタイルを変遷させていった。90年代にはマイク・スコットのソロ・アルバムも発表されて、来日もしていたように記憶しているんだが、ここ10年ほどだろうか、彼やザ・ウォーターボーイズが大きく話題になることはほとんどなかったようにも思える。

 会場に足を踏み込むとすでにステージが始まっていた。とはいっても、演奏ではなく、彼が本を片手になにやら話しているのだ。最初は詩の朗読でもやっているんだろうかと思ったのが、どうやらその本を読んでいるらしい。彼がロックを始めた頃の話、教会で大きな音を出さないという嘘をついてライヴをやったことや、最終的にこの日、ひさびさに聴くことになった名曲「The Whole Of The Moon(ザ・ホウル・オヴ・ザ・ムーン)」(『This Is the Sea(ディス・イズ・ザ・シー)』収録)がきっかけで、ボブ・ディランから声がかかり、彼と一緒に曲作りをした話… 結局最後には「その曲、持ってっていいから」とディランに言われたことなどが語られていた。おそらく、そんな話がこの本『Adventures of a Waterboy(アドヴェンチャー・オヴ・ア・ウォーターボーイ)』に書かれているんだろう。

 ライヴは彼が世界で最も優れたロック・ヴァイオリニストと呼んではばからないSteve Wickham(スティーヴ・ウィッカム)とのデュオ。彼はザ・ウオーターボーイズでずっと一緒に演奏してきた要のようなミュージシャンなんだが、昔の写真を見るとかなり年齢を重ねてきたのがわかる。当然ながら、マイク・スコットの印象も昔とはずいぶん違って『年期』を感じさせる。おそらく、この時かけていためがねは老眼鏡だろうし、実を言えば、あまりに老けて見えるので使わなかった写真もある。曲間で「昔はギター・テックがいて、ピックもマイク・スタンドにくっつけてくれてたんだけど…」とぼやきのようなものが口をついて出てきたり… と、時間の流れを感じざるを得なかった。といっても、そりゃぁそうだろう。まだ、彼が20代後半だった時代から30年弱が過ぎ去っているのだ。無理もない。

 が、がつんと殴られたような衝撃が最後の最後に待っていた。それが前述の名曲「The Whole Of The Moon(ザ・ホウル・オヴ・ザ・ムーン)」。たった二人のステージなんだが、まるでバンドの時に見た光景が重なってしまうような迫力。ついさっきまで感じていた30年ほどの時間が消え去って、当時と微塵も変わらない歌とアーティストの力をまざまざと見せつけられたように思えていた。今度はこういったショーケース的なものではなくて、ジックリと楽しめるライヴに足を運びたい… と、そう思ったのがこの時。これもSXSW独特のリアクションなのかもしれない。

–>ニック・ケイブ・アンド・ザ・バッド・シーズ

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