ジェイク・バグ (Jake Bugg) @ レディオ・デイ・ステージ in サウス・バイ・サウスウエスト 2013.03.13

英国印のふてぶてしさ
テキスト・レポート – ジェイク・バグ @ レディオ・デイ・ステージ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.13

ジェイク・バグ

 サウスバイ・サウスウェスト(以下、SXSW)2日目、時刻は16時をまわったところだ。今、巷で最も話題のシンガー・ソングライター、ジェイク・バグのステージがもうすぐはじまろうとしている。

 ジェイク・バグと聞けば、世界中の誰もがアルバム・ジャケットのあの不敵な顔を思い浮かべることだろう。2011年のグラストンバリー・フェスティヴァルにおいては、新進気鋭の才能あふれるアーティストが輩出されるBBCイントロデューシング・ステージに立ち、その異彩を放つ。ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズや、ザ・ストーン・ローゼズのサポート・アクトに抜擢され、とんとん拍子で大ブレイクを果たす。ノエル・ギャラガーをはじめとした大物ミュージシャンからのラブコールも多く、若干19歳ながら貫禄あるミュージシャンズ・ミュージシャンというポジションを確立しつつある。SXSWにおいても当然話題で、かのローリング・ストーン誌では今年のSXSWで観るべきマスト20アーティスト/バンドの一人として堂々ランクインしていた。

 ライヴ会場は、SXSWのメイン会場であるコンヴェンション・センターの4階にあるレディオ・デイ・ステージだ。この会場は、ほど良く冷房が効いていて、椅子やカウチも多く備えられていて、居心地の良いところ。実際、開演前だからということもあるが、会場のフロアに寝転んで爆睡しているような輩まで散見される。

ジェイク・バグ このようなリラックスムードの漂う会場では、オーディエンスからの大きなレスポンスは期待できないだろうし、若手のジェイクにとっては少々きついかなと思ったのだが、それは単なる杞憂に終わった。「カントリー・ソング」の静かなアコギのフレーズに、あの鼻にかかったユニークな声が加わり、会場に響き渡れば、そこは、”ザ・ジェイク・バグ”と呼ぶべき唯一無二の世界と化す。「スライド」や「ブロークン」といった、前方をまっすぐに見据えて、歌い上げるバラード曲は、ゆったりと漂う空気と相まって一段と心に響く。ギターを、グレッチに持ち替え奏でるカントリーロック調の楽しい「ケンタッキー」や、ジョニー・キャッシュを思わせる哀愁ロックンロールチューンの「トラブル・タウン」を披露するとオーディエンスも自然と熱を帯びてくる。3ピースのバンドから繰り出されるストレートなロックンロールの心地よいリズムに、ステージ前方に設けられた席に座ってメモをとっているようなプレス関係のオーディエンスも、ひたすら体を揺らしている。

 ジェイクの奏でる音は、米国産のフォークやカントリーの影響が色濃いが、彼の歌にはどうしようもなく英国っぽさを感じてしまう。コックニーなまりのラップが新鮮だった、ザ・ストリーツことマイク・スキナーに通じる英国っぽさを感じるの私だけだろうか。そして、MCをほとんど挟まず、ステージアクションもほぼないに等しいが、臆することなく堂々と歌い上げるこの英国印のふてぶてしいパフォーマンスも多くの人にとってツボのはず。自分の愛する音楽を堂々と、ストレートに表現しているアーティストは、いつ観てもかっこいいと思わせられてしまう。ジェイク・バグは間違いなくその類だと断言できる。このステージのラストは、音源に較べ、一段とギターのカッティングを効かせた、疾走感あふれる「ライトニング・ボルト」で爽快にしめくくった。

 レコード屋で、初めて「ライトニング・ボルト」のイントロに打たれた瞬間にも感じたことだが、今回のライヴを観て改めて、どえらい新人が出てきたなと再認識をした。その歌の表現力や想像以上にテクニカルなギター、単純だが深みのある詩の世界観、この末恐ろしい才能がこれからどう化けていくのか楽しみで仕方がない。なにせまだ19歳である。

 つい先日、今年のサマー・ソニックへの出演に先駆け、5月にアコースティック・ギグという形で日本初上陸を果たすことが決定したばかりだ。この飛ぶ鳥落とす勢いの時代の寵児は、ここ日本でもふてぶてしくもかっこいいステージを見せつけてくれることだろう。

Text by Takafumi Miura

ジェイク・バグ

–>フォト・レポート or ブレント・ゲルケ・トリビュート

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