ショーン・ラウ (Sean Rowe) @ セントラル・プレスビテリアン・チャーチ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.12

渋さが際立つ孤高のシンガー&ソングライター
フォト・レポート – ショーン・ラウ @ セントラル・プレスビテリアン・チャーチ in サウスバイ・サウスウェスト 2013.03.12

Sean Rowe
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  巨大な十字架の前で歌うというのはどんな気持ちなんだろう… しかも、このひげ面がどこかで見たようなキリストに重なってしまう。と、そんなことを頭に描いてしまったのは後方から撮影していたときだった。おそらく、本人は気にもしてはいないんだろう。「数あるライヴからこの場所を選んでくれてありがとう」といった感謝の言葉から演奏が始まっていった。

 オーディエンスにとって嬉しいのは、外部からの音が紛れ込んでこないこと。この教会の外に出ると、あちらこちらで進行しているライヴの音が全方位から聞こえてくるんだが、この中にいる限り、外の喧噪がまるで嘘のように静まりかえっている。ジックリと音楽に耳を傾けたければ、教会のライヴに行けばいいというのがSXSWの常識のひとつと言っていいだろう。

 ショーン・ラウ(と発音するよう)はニューヨーク州中部のトロイ出身のシンガー&ソングライターで、初めて彼を知ったのはNPRミュージックの『ファースト・リッスン』。ここでセレクトされた新譜を全曲試聴できるようになっているのだが、そこで取り上げられたのが昨年暮れに発表されたショーンの最新作『Salesman & the Shark』だった。それで恋に落ちた… と言ったらいいだろうか。どこかでジョニー・キャッシュやジョン・マーティンあたりを思わせる苦み走った声が、心のひだに触れるタイプ。しかも、NPRミュージックが今年お勧めの100アーティストの100曲を無料DLで提供してくれたんだが、そこに収録されていたトラック「Joe’s Cult」に感じたのはトム・ウェイツ的なニュアンスと、それがきっかけで覗きに行ったという感じだろう。

 おそらく、それほどのバジェットが与えられていないんだろう、ステージにはショーンが一人。生ギターで弾き語りをするというもので、実にシンプルなのだが、逆に彼の声が沁みる。この時点で唯一覚えていた曲、「Joe’s Cult」ではギターのサウンドホールをなにかでカバーして、弦をミュートさせながら、バンドでしか表現できないのではないかと思っていたニュアンスを見事に伝えてくれていたのに驚かされる。なにはともあれ、いいメロディといい歌に沁みる声といったシンガー&ソングライターに必要とされるその全てを兼ね備えているアーティストではないのかと思えるのだ。

 ちなみに、ライヴの途中で「CDを売ってるから…」と本人が語っていたのだが、どこで売っているのか見当たらず、ライヴの機材を片付けている本人に尋ねると「片付け終わったら、自分が売るから」とのこと。SXSWではよくあることなんだが、あのあとご本人から直接CDを購入。そのときに思ったのだが、どうやらかなりぶきっちょで山男のような人物という印象が強かった。あとで調べてみると、アウトドア派というよりはナチュラリストで、大自然のなかでサバイバルするといった方面でもかなり有名なんだとか。確かにそんな感じなのだが、歌は逆のようにも思える。壊れてしまいそうな繊細な感性を感じてしまうのだ。実に興味深い。

 なお、気に入った音楽はアナログで聞きたいと、このあと、を入手することになるのだが、CD同梱で、さらに加えて、そこには収録されていない3曲がボーナス・トラックとして加えられている。そのうちの1曲はR.L.バーンサイドというブルース・アーティストのカバー。もし、彼の魅力をジックリと堪能したければLPの方がお勧めですね。

–>ザ・ナインティーン・セブンティー・ファイブ

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