ライト(LITE) @ 名古屋アポロシアター 2013.06.28

充実の時
テキスト・レポート「充実の時」@ 名古屋アポロシアター 2013.06.28

 「何気に僕等も10年やってるんですよ。」

 ギターの武田の言葉通りに10年目を迎えた、日本のインスト・バンドのLITE(ライト)。彼等が2年ぶりとなる4thアルバム『Installation(インスタレーション)』を引っ提げての東名阪ツアー「Approaches 2(アプローチィズ)」を開催した。大阪から始まって2日目となる名古屋も久しぶりのワンマン・公演ということもあって、大いに盛り上がり、バンドと会場が一体となったライヴを見せてくれた。

 まずは、新作から順番通りに「Starry Morning(スタリー・モーニング)」「Echolocation(エコーロケーション)」を演奏し、四者の一糸乱れぬ絶妙なコンビネーションが会場を温めていく。「前作ではシンセを入れて詰め込める分だけ詰め込んだ作品だったんですね。今回はシンセとバンドの生演奏のバランスを取りまして。」と語っていたが、プログレッシヴなリズム・展開に、鋭角な音色やメロディが連なり、近年ではシンセとも完璧な融合を果たすことに成功。作品を出すごとに新しい刺激や要素を取り入れながら、自らの音楽をさらに広げ、高めていくライトの表現者としての姿勢に感服する。

 さらに今回は、ほぼ全曲で後方のスクリーンに映像が流れており、『インスタレーション』の曲ではジャケに登場する鹿が旅をしたり、鮮やかな模様が浮かび上がったりし、過去の楽曲では”LITE”という文字が音やリズム、盛り上がりに合わせて揺れたりしていた。ただ、武田からは「あまり映像を見過ぎないようにね。僕等も演奏してるんで(笑)。」という御達しもあったが。

 ライヴは当然ながら『インスタレーション』の楽曲が軸になってはいたが、過去の楽曲も半分以上を占めており、現時点での集大成ともいえるステージが繰り広げられた。新作からでいえば、都会の夜を思わせる静謐で煌びやかな「Between Us(ビィトウィーン・アス)」は鮮やかな映像の演出もあってハッとさせられたし、前作からの「Pirates and Parakeets(パイレーツ・アンド・パラキーツ)」では手拍子とコーラスで一気にハッピーな空間が広がっていた。

 「2008年に2ndアルバム『Phantasia(ファンタジア)』を出して、そこが4人の生演奏でできるひとつの到達点でした。それから1年ぐらいは何をやってもそのアルバムっぽい曲になってしまう苦しい時期を味わったんですけど、このままじゃ何も変わらないからシンセを入れることにして。(中略)でも、その当時に比べるとお客さんも増えていて、その選択も今では間違いではなかったと感じています。挑戦して良かったと本当に思います。」

 という終盤のMCでは、その場所で立ち止まらないバンドとしての積極性や強さを感じた人も多かったことだろう。そのまま続けて「古い曲、やります。」と雪崩込んだお馴染みの「Ef」、「Human Gift(ヒューマン・ギフト)」からは、切れ味鋭い音色とスリリングな展開に興奮を覚えたし、本編最後を飾った新作からの「Subaru(スバル)」では、色彩美に溢れたメルヘンチックな映像とゲーム音楽までをも包括する様な展開、叙情的なメロディが一体となって作り上げる世界がとても美しかった。

 アンコールでは、「こういう時(ワンマン)でしかやれない曲をやろうかなと思います。ライトが10周年ということで、10年前に僕等が初めて作った曲です。」と紹介し、1st EPに収録されている「Past Three Days(パスト・スリー・デイズ)」を最初に披露。当時のポストロック風のインストから、彼らしい小刻みなフックを入れながらダイナミックに展開していく。そして、重量感あるサウンドと煌びやかな電子音が昂揚感を生む「100 million rainbows(100 ミリオン・レインボウズ)」を演奏し、一旦はけていく。再びの大歓声に応えた2回目のアンコールでは、「Phantasia(ファンタジア)」を披露し、約2時間のライヴを熱く締めくくった。

 10年間は当然、順風満帆ではなかっただろう。だが、苦境をひとつずつ乗り越えていくことで、今では国内外で熱い視線を注がれるまでに成長を遂げた。そんな今のライトの充実ぶりを肌で感じる見事なライヴであったと思う。「この先、まだ10年あるんで」という言葉もあったが、彼等はこれからも貪欲に突き進んでいくはずだ。

 この夏には、フジロックやライジング・サンなどへの出演が決定。足を運ばれる方は、刺激に満ちたライトのステージを見逃さないように。

— set list —
Starry Morning / Echolocation / Alter Ego / Red Horse in Blue / Image Game / rabbit / Ripple Spread / Between Us / Duck Follows an Eccentric / Ghost Dance / Bond / Fog Up / Hunger / Pirates and Parakeets / Infinite Mirror / Ef / Human Gift / Subaru

— encore1 —
Past Three Days / 100 Million rainbows

— encore2 —
Phantasia

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Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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