ザ・ストライプス (The Strypes) @ 恵比寿リキッドルーム 2013.10.08

ステージで育ったバンド
テキストレポート「ステージで育ったバンド」@ 恵比寿リキッドルーム 2013.10.08

The Strypes 
 バンドには「スタジオで育ったバンド」と「ステージで育ったバンド」の2種類がある。このザ・ストライプス『ジャパン・ツアー 2013』初日、恵比寿リキッドルームのライヴを観たら、圧倒的に後者であり、この日もステージ育ったバンドであることの実力をみせつけたのだった。

 満員で暑いリキッドルーム、客層はバラエティ豊か。男がやや多め。できれば彼らと同世代の子たちに観てもらいたかった。ステージ背後には「THE STRYPES」とシンプルなロゴが飾られているだけ。でもそれだけでカッコイイ、と思わせる。19時9分ころ灯りが落ちてバンドが登場。ヴォーカル&ハーモニカのロス・ファレリーは4つボタンのジャケット。ギター&ヴォーカルのジョシュ・マクローリーはジャケットにリボンタイが特徴。ベース&ハーモニカのピート・オハンロンは革ジャン。ドラムスのエヴァン・ウォルシュはチェックのジャケット、と若さをアピールしつつ、カッコよくオシャレないでたちである。ミッシェルガン・エレファントにしてもザ・ボゥディーズにしてもやっぱりロックンロールにはこういう方面のオシャレが必要なんだと思える。

The Strypes 「ミステリー・マン」からいきなりキレ味鋭いロックンロールをぶちかます。ステージ前には、それに合わせて全身で歓呼の声で応える人たち。それを囲むように親のような視線で見守る人たちというフロアの分布だった。平均年齢16歳というのはさんざんいわれていることだけども、30代後半から上のお客さんはまさに親くらいの年齢であり、どうしても子どもたちの成長をみるという気持ちにさせてしまう。おそらくエルトン・ジョンが一番初めにそういう気になって契約したところから始まり、いろんな人にそういう気持ちにさせてしまうのだ。それを原石の魅力というのだろうけど、若いだけ、勢いがあるだけ、ルックスがいいだけ、曲がいいだけ、演奏が上手いだけでは、そこまでいかないのだ。おそらく、これからその魅力は何なのか、そしてその魅力が消えずに続いていくのかを、ファンを含め周りの大人たちと一緒に解き明かしていくことになるだろう。(だからこそ、むしろ彼らと同じ世代の高校生たちがストライプスを観て何を感じるのか知りたいと思う)。

「スタジオで育ったバンド」というのは、自宅など部屋に引きこもってデモを作り、それが評判を呼んでデビューとなり、人前で演奏するのが慣れてないので入念に準備したり、緊張を伴ったりする。それに対し、ストライプスはおそらく人前で演奏するのが当たり前の環境にあったのだろう。ステージ慣れしているし、少々のミスでは動じない。「ホワット・ザ・ピープル・ドント・シー」ではロスが冒頭の歌詞を忘れたのか歌えずにいて「これ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなら演奏を頭からやり直しだろー」とか思ったら、意に介さず他のメンバーは演奏を続け途中からロスが歌に入っていくという光景をみたとき、ミスのひとつやふたつで慌てふためくようなバンドじゃないんだ、これがステージで育ったバンドの実力なんだと思い知らされた。他にも「ん?」というような演奏の乱れはいくつかあったけど、全然関係ない、そんなことが重大な過失にならない、むしろそれが生演奏なんだし、それが味だろ? といわんばかりの堂々とした態度。これも彼らの魅力なんだろう。

The Strypes 中盤の「エンジェル・アイズ」でドロドロのブルーズまみれにして、「オマエラ本当は何歳なんだよ!?」と突っ込みたくなるほどの演奏を披露するかと思えば、「ホームタウンガール」や「ブルー・カラー・ジェーン」では若い勢いをみせる。一部の演奏にはジョシュが前回の来日時に購入したいうギターを嬉しそうに使ったり、ホントそういうところは可愛いよなと思う。

 そしてベースを弾くピートがハーモニカに楽器を持ち替えてのソロは圧巻だった。フロント3人に見せ場を用意するところもやっぱりステージでどうみせるのか考えられているバンドなんである。本編の締めはニック・ロウの「ハート・オブ・ザ・シティ」、ブルーズのスタンダードである「ローリン&タンブリン」のカヴァー2連発だった。それを引き継ぎ、次に伝える意思もあるんだろうけど、とにかく若さにまかせた演奏で、「俺ならこうするけど、何か?」といわんばかりの態度だった。

 あまり間髪をいれずに応えたアンコールは、チャック・ベリーの「リトル・クイニー」、そしてジャズのスタンダード・ナンバーであり、ローリング・ストーンズ、ドクター・フィールグッドなどもカヴァーした「ルート66」のこれもカヴァー2連発。さあ、これからツアーが始まり、朝霧JAMも含めて1週間以上日本に滞在する。テレビ出演もあるようだし、このバンドの飛躍する様子を見守っていきたい。

— set list —
 

Mystery Man / She’s so Fine / I’m a Hog for You Baby / What the People Don’t See / I Can Tell / Angel Eyes / Ooh Poo Pah Doo / Down the Road Apiece / Perfect Storm / What a Shame / Home Town Girls / Blue Collar Jane / You Can’t Judge a Book / I Wish you Would / C.C. Rider / Going Up the Country / Got Love if You Want It / Heart of the City / Rolling and Tumblin’
 

— encore —
 

Little Queenie / Route 666
 

The Strypes 

–>フォト・レポート

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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