ザ・ストライプス (The Strypes) @ 恵比寿リキッドルーム 2013.10.09

ブルース・ロックの星、ふたたび来日
テキストレポート「ブルース・ロックの星、ふたたび来日」@ 恵比寿リキッドルーム 2013.10.09

The Strypes

 4月の初来日では、骨太のブルース・ロックを真正面からぶつけ、その大胆不敵さを存分に見せつけたザ・ストライプス (The Strypes)。9月には初のフル・アルバム『スナップ・ショット』をリリースし、その日本ツアーとして今回は、東京での3公演の後に、朝霧ジャム、そして福岡、大阪、名古屋でのライブが予定されている。チケットは全てソールド・アウト。昨日もここ恵比寿リキッドルームで熱いパフォーマンスを繰り広げた彼らが、二日目も超満員のオーディエンスにいったいどんなステージを見せてくれるのだろうか。

 前回の初来日時には、オーディエンスの年齢層が高いと感じたが、今日は若いオーディエンスもかなり混じっている。とはいえ、開演前のフロアからは、「やっぱ最近いい音楽が無いと思っている人がこんだけいるってことよ!」と威勢のいい声も聞こえてくる。やっぱりビートルズやローリング・ストーンズ、さらにはそのルーツ・ミュージックに魅力を感じて止まないオーディエンスも多いようだ。

Mano Negra そんなオーディエンスで埋め尽くされ、熱気を帯びてきた中、19時9分に4人がステージに登場すると、ギターのジョシュ・マクローリーが黒のグレッチ・ダブル・ジェット・ギターを抱え、ノイズまじりのフィードバック音を出す。するとベースのピート・オハンロンとドラムのエヴァン・ウォルシュのリズムに合わせてデビュー・アルバムの1曲目でもある「ミステリー・マン」に突入。前回よりも太くなったように感じられるロス・ファレリーのボーカルがのるころにはオーディエンスのスイッチがすべてオンになっていた。

 今回はフル・アルバム発売後のツアーということで、演奏される曲もアルバムからのものが大半を占める。それでも、オリジナル曲「シーズ・ソー・ファイン」のあとに、ドクター・フィールグッドのプレイした「アイ・アム・ア・フォグ・フォー・ユー・ベイビー」をつなぐといったように、オリジナルの曲とカバー曲を織り交ぜながらオーディエンスを楽しませる。これらのオリジナル曲がカバー曲とともにまったく違和感無く演奏されるのを聴いていると、彼らのオリジナル曲がすでにロック・クラシックになっているようにも感じてしまうほどだ。「オリジナル曲をやるんだったら、カバー曲と同じくらいかっこ良くなければならない」という彼らの作曲精神が十二分に発揮されている証だろう。 

Mano Negra 中盤の「パーフェクト・ストーム」から、ジョシュが上着を脱いで演奏した「ホワット・ア・シェイム」と「ホームタウン・ガール」までの流れでフロアのオーディエンスは大きく揺れ、大満足の模様。そこから「ブルー・カラー・ジェーン」と、その後に突入した「ユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック」は、とにかく今まで聞いたどのバージョンよりも速くて力強い。さらに「ゴット・ラブ・イフ・ユー・ウォント・イット」では、ロスがギターを抱え、ジョシュがベースを演奏。ピートの狂ったように踊りながら熱演するブルース・ハープはもはや恒例といってもいいだろう。

 今回のステージでジョシュはグレッチのギターとともにストラトキャスター・ギターも使っていた。このギターは前回の日本公演の際にアムリタ・ギターズのオーナーから譲り受けたものだそうで、ジョシュはステージから感謝の言葉を送っていた。そのストラトキャスターを使って狂ったようなスライド・ギターを披露した「ローリン・アンド・タンブリン」が終わると、そのギターをステージ脇に放り投げ(スタッフの方がしっかりとキャッチ)、4人はステージをいったん後に。その後、1分ほどでステージに戻り、アンコールでは「リトル・クイニー」と「ルート66」を決めて舞台を去った。

The Strypes

 4月の初来日ライブに比べると、ひとまわり大きくなり、安定感さえ感じることのできた今日のステージ。前回同様に、最後までオーディエンスを飽きさせることは決してなかった。ただ、安定感と引き換えに、ロックンロール独特の、壊れてしまいそうな危なっかしさは控えめだったようにも感じた。とはいえ、まだノンアルコール・ビールしか飲んじゃいけない彼らの行く先には、ロックンロールの神様たちが通った道がまだまだ続く。彼らの音楽がこれから渋さと危なっかしさを増しながら熟成してゆくのか、それとも新しいブルース・ロックの境地を自らの手で開拓してゆくのか。今後も彼らから目を離すことができそうにない。

— set list (原文ママ)–
 
Mystery Man / She’s So Fine / I’m A Hog For You Baby / What The People Don’t See / I Can Tell / Angel Eyes / Ooh Poo Pah Doo / Down The Road Apiece / Bad Boys Bad Boys / Perfect Storm / What A Shame / Hometown Girls / Blue Collar Jane / You Can’t Judge A Book / I Wish You Would / C. C Rider / Going Up The Country / Got Love If You Want It / Heart of The City / Rolling and Tumblin’
 

— encore —
 
Little Queenie / Route 666
 

–>フォト・レポート

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Photos:
Koji Chikazawa

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Text:
Ryuichi Tanaka
ryuichi@smashingmag.net
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