朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2013.10.12 – 13

アウトロ – ふもとっぱらから変化と可能性を感じた今年の朝霧ジャム
特集 – アウトロ -「ふもとっぱらから変化と可能性を感じた今年の朝霧ジャム」朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ!@ 朝霧アリーナ 2013.10.12 – 13

 都心からの大渋滞を潜り抜け、やっとの思いで会場に辿り着く。車内からレインボー・ステージが見えてくるとフジロック同様、「今年も帰ってこれた」という思いで胸がいっぱいになる。キャンプをしながらのんびり過ごせるフェスとして愛され続けている朝霧ジャムが「今年は忙しい」と感じたのは私だけだろうか。

 2010年のひどかった大雨から雨や寒さをしのぐ重装備をこれでもかというくらいリュックサックに詰め込んでいる。しかし今年は、山のふもとという気候の変わりやすい環境や、この時期たびたび猛威をふるっている台風の合間に、日中は夏のような日差し、目の前の富士山は夜の闇でもくっきりとシルエットを現すほど天気に恵まれた幸運な2日間だった。Asagiri Jam 忙しない日常生活から離れ、豊かな自然の中でゆったりとした時間の流れが、昨日までの生活や仕事のストレスを一気に洗い流してくれる。そんなもんだから、 一旦テントを広げ、休憩がてらに乾杯し始めると、酔いも手伝ってか、到着までに綿密に練っていた頭の中のライブ・スケジュールはあっさり崩れる。朝霧の来場者の中には、バーベキューに没頭し、来る前から「ライブは見ないよ」なんて言ってテントから離れない人だっている。「勿体ないなぁ」と思いながらも、自分だって誰かのテントやステージ前での再会にほだされることは毎年のごとくなのだ。朝霧ジャムの自由な感じやゆるい雰囲気というのは、こういうことだ。

 「忙しい」予感がしたのは、9月下旬のアーティスト発表で見た豪華絢爛なラインナップだった。ライブの模様はここにまとまった朝霧ジャム2013年の特集でご堪能いただきたい。

 ここ2、3年で見ても完売することのなかった場外駐車券のチケットが、アーティスト発表を境に瞬く間に売り切れてしまった。今年から場外駐車場、本栖エリアが廃止されたこともあり、人の流れが変わったようにも思える。その変化は、開設から4年目を迎えたオートキャンプ場ふもとっぱらが初めて売り切れを出したことに表れた。「場所取り合戦が起きたらどうしよう・・・」ふもとっぱら住民にとってはうかうかしてられない事態だった。

 駐車券付きチケットが場内よりも3,000円も高い上に、会場までバス移動というハンデがあるためか、これまで踏み切れなかった人も多かったと思う。8月からのチケット争奪戦を尻目にあっさり確保ができ、テントの場所取り、隣近所の音問題などストレスを感じることなく過ごせるという知る人ぞ知る魅力的な場所なのである。2011年から利用している仲間内でも「ここ以外はないな」というほどすっかり定住を決め込んでいるだけに、今回初めてふもとっぱらを利用した人の中にも、この魅力に取り付かれてしまった人も少なくないのでは、と思うとそのうち場内駐車券並みの争奪戦が起こるかもしれないと危惧してしまう。

 そんなふもとっぱらも、今年はソールドアウトだけあって、場内のようにギチギチに隣り合わせになることはこれまでと同様にないものの、テントも人の数も明らかに増えていた。車を止めたその場所でテントを広げられる便利さから、食材や装備品などの持ち込みも次第に増えていく。ふもとっぱら住民の居住するところにはテント、タープ、大きなバーベキューコンロなどと揃いに揃ったアウトドアグッズが点在する光景もこのエリアでは当たり前のように見ることができる。しかしながら、仲間内で居心地の良さに浸っていると何か物足りなくなるのは不思議だ。

Asagiri Jam そこへきて、スマッシュ代表・日高氏の「ふもとっぱらで何かしたい」という構想が今年ついに実現した。朝霧の新エリアとしてできたのはピーターパン・カフェというものだ。フジロックではピラミッド・ガーデンをプロデュースしているキャンドル・ジュンが、オーガニックな雰囲気のデコレーションでふもとっぱらの平原の一部を演出している。このエリアも朝霧の雰囲気に反さず、実にゆるい空間だった。我々取材班も何度か訪れてみてはいるが、そこでのタイムテーブルはなく、ライブの開催はなかったようだ。私が訪れたのは、2日目の早朝だった。すでにカフェがオープンしており、ベンチがあり、時間を忘れてしまいそうな空間は、朝霧ジャムのメインエリアにはないホスピタリティを感じた。前日の夜にはキャンドルのイルミネーションが 点灯し、遠くのテントからも見ることができた。ライブが終わって戻ってくると、バーベキューで仲間と引きこもりがちになるこのエリアで、「何か出来たね。テントからちょっとでてみよう」と我々を外に連れ出してくれるような存在のようにも感じられた。

 朝霧開催中にヘアアレンジの出店をする青空美容室も同じく開店から4回目を迎えていた。店主に取材すると、「朝霧ジャムをきっかけに出会うお客さんとの繋がりが何よりも大事だ」と語ってくれた。

 「音楽を聞いて、みんなで食べて、飲んで、それから友達作って。そういう何日かの楽しい生活をトータルで過ごせる場所」がフェスティバルだとしたら、この新エリアが、来場者である我々に改めてフェスティバルの在り方を原点へと導いてくれているような気がしてならない。音楽をきっかけに出会った人たちが繋がりを広げていき、同じ場所で笑顔の絶えない空間を生み出していく。ライブに友人にキャンプにと、やりたいことを取りこぼすまいと疾走した2日間だったが、見逃してしまったものややり残したことは沢山ある。だから「来年もまた」と終わりのないフェス通いへと続いていくのだ。

Asagiri Jam

※写真は上部から順に、森リョータ、鈴木悠太郎、宮越まみこ、小西泰央の撮影によるもの。

–>イントロ – 今年は会場から速攻でお届け

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Text:
Hiromi Chibahara
tammy@smashingmag.net

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