イースタンユース @ 渋谷 ツタヤ オー・イースト 2013.12.14

祝福は、たしかに満ちていた
テキスト・レポート「祝福は、たしかに満ちていた」@ 渋谷 ツタヤ オー・イースト 2013.12.14

eastern youth

 終わりは必ずやってくる。まだ残暑厳しい9月下旬から始まり、北海道から沖縄まで。全国25カ所を巡ったイースタンユースのツアー。各地で鳴らされてきたSE、「365歩のマーチ」の軽快な歌声とともに彼らが登場するのも、この渋谷オー・イースト公演で最後となる。

 期待感と、研ぎすまされた空気がみなぎるの中での1曲目は「故郷」。直情が放たれ、二宮のコーラスが交わる。「夏の日の午後」のイントロが鳴れば、とどろく歓声。観客の合いの手がリズムの間にビシバシ決まって、気持ちがいい。コーラス部分ではボーカルの音量をしのぐ合唱がフロアに響く。ホーム・グラウンド、東京ならではの熱い反応。その熱は「今日」「泥濘に住む男」を経て、なお高いまま続く。

eastern youth ツアーで訪れたどの会場よりも大きなフロアが、観客で埋めつくされている。吉野は「こんな状況は久々で、ちょっと緊張しています」、各地を回った所感として「僕ら骨身にしみたんですけど、流行らねぇバンドだなあ、と」と語り、笑いを誘う。
 
 「だからこそ、みんな選んで来たんだなっていうか、自分が行きたいと思って来てる人ばっかなんだなって。そういう人ってどいつもこいつも地味な奴ばっかり。それがまた嬉しくてですね」
 
 「流行ってたって、流行ってなくたって、知ったこっちゃねぇ」と吐き捨てると、「そのとおり!」と言わんばかりの歓声が上がるのだった。

 怒濤の展開が続く。「無用ノ介」では仁王立ちで腕を目一杯天にかざし、「ソレガシ無用ニ御座候!」と我が身の程を叫ぶ姿が痛快。「矯正視力〇・六」の間奏では、田森のドラムを中心とした轟音がフロアを圧倒する。そのスケール感は、オー・イーストのように大きめの会場でこそ映える。「ギラリズム夜明け前」では空気が一変して緊迫。そして二宮のベースによって、おなじみのイントロが鳴らされた途端大きな歓声が沸き起こった、堂々の「青すぎる空」へ。

eastern youth 「スローモーション」からの曲間、不穏な響き。突如マイクを介さず「独り行く身がつらい日は、闇の彼方に俺を呼べ!」と肉声が響けば、「1、2、3、4」「ドン・キホーテ!」と観客が一斉に応じる。反応の素早さに、思わず感服。

 吉野は「『角が丸くなった』って。別に俺は丸くなってもいいと思ってるんですよね。人とフレンドリーに接したいし」と前置きした上で、

eastern youth「自分の力とか怒りを示すっていうのは、人より俺の方が強いんだってことではなくて、自分が理不尽だなと思うことに対して『はいそうですか』って諦めるか、諦めないか、っていうことが本当の戦いだと思ってる」
 
「今年は腹立つこといっぱいあってね。クソレイシストとかさ。クソ強引な、秘密ナントカ法とか」「『ふざけんじゃねぇ、俺は言うこと聞かないからな』っていう抗う気持ちだけは、大人みたいな顔してしれっと丸くしたくないって話」と語って「雨に抗う」が演奏される。

 今年のリリースは2008年以降に極東最前線で共演したバンドを網羅したコンピレーション・アルバム『極東最前線3』のみであった。このアルバムに収録されている同曲が、譲れない一線において、明確に反対の意思表示をする現在のイースタンユースを、端的に表している。

 本編最後は「荒野に針路を取れ」。清々しいポジティヴィティーがフロアに広がっていく。拍手が途切れることなくアンコールを求める手拍子へと続き、ふたたびステージに登場した3人。吉野がMCを「お願いします!」と指名した先は、いつもの二宮ではなく、田森であった。

eastern youth 前年のツアー最終日以来、1年ぶりに聞く田森のMC。第一声、「こんばんは」と挨拶する声がシブい。「潔癖性が入っていて、ホテルのお風呂に浸かれないんですよね」と意外な一面を語り、シャワーだけでは疲れが取れず、体調を崩してしまったとツアー中の悩みを吐露。この日ファンからバンドへ贈られた、結成25周年を祝う豪華なスタンド花のお礼を述べた。さらに、いつも名古屋でも花をもらうが、贈り主がわからない、とのこと。イースタンユースは、つくづく粋なファンに愛されている。

 ダブル・アンコールの前には観客に求められ、二宮が語る。ツアーについて「みんなが足を運んでくれて、いい時間を全国で過ごせたと思っています」笑顔と力強いガッツポーズ。あたたかい声援と拍手が向けられた。

 ツアー中、ステージ上でバンドが結成25周年という節目であることを華々しくアピールする場面を見ることはなかった。イースタンユースと、彼らを「選んで」ライヴに足を運んだ観客が、各会場で出会う。そのこと自体が素晴らしく、祝福に満ちていたはずだから。あえて言葉にする必要もなかったのかもしれない。

 この日最後の曲「夜明けの歌」を演奏し終えた3人に惜しみない拍手が送られるなか、吉野はステージ中央で深く一礼。こうして、3ヵ月近くに及ぶ全国ツアーは幕を閉じた。

 2014年のライヴ1発目は、1/19になんと台北で。2/21には渋谷クラブクアトロで極東最前線の開催が決定している。ゲストはスキルキルス(skillkills)。望むところである。

eastern youth

–>フォトレポート


— set list —
故郷 / 夏の日の午後 / 今日 / 泥濘に住む男 / 滑走路と人力飛行機 / 街灯に明かりが灯る前に / 無用ノ介 / 矯正視力〇・六 / ギラリズム夜明け前 / 青すぎる空 / スローモーション / Don Quijote / 雨に抗う / 荒野に針路を取れ

— encore —
寄る辺ない旅 / 街はふるさと

— encore 2 —
夜明けの歌


『極東最前線/巡業2013~スットコドッコイ漫遊記~』ツアー・スケジュール

2013/9/21 (Sat) 千葉 LOOK
2013/9/23 (Mon) さいたま新都心 HEAVEN’S ROCK
2013/10/12 (Sat) 横浜 F.A.D
2013/10/13 (Sun) 静岡 SUNASH
2013/10/14 (Mon) 京都 磔磔
2013/10/18 (Fri) 酒田 MUSIC FACTORY
2013/10/20 (Sun) 弘前 Mag-Net
2013/10/22 (Tue) KLUB COUNTER ACTION 宮古
2013/10/23 (Wed) 大船渡 LIVEHOUSE FREAKS
2013/10/25 (Fri) 仙台 CLUB JUNK BOX
2013/10/26 (Sat) いわき SONIC
2013/11/1 (Fri) 帯広 REST
2013/11/2 (Sat) 札幌 cube garden
2013/11/9 (Sat) 沖縄 OUTPUT
2013/11/13 (Wed) 新潟 CLUB RIVERST
2013/11/15 (Fri) 長野 ライブハウスJ
2013/11/16 (Sat) 金沢 vanvanV4
2013/11/18 (Mon) 岡山 ペパーランド
2013/11/19 (Tue) 松山 サロンキティ
2013/11/21 (Thu) 広島 ナミキジャンクション
2013/11/23 (Sat) 熊本 DRUM Be-9 V2
2013/11/24 (Sun) 福岡 DRUM Be-1
2013/12/7 (Sat) 梅田 CLUB QUATTRO
2013/12/8 (Sun) 名古屋 CLUB QUATTRO
2013/12/14 (Sat) 渋谷 O-EAST

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Text:
Keiko Hirakawa
keco@smashingmag.net
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