ウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson) @ 渋谷クラブクアトロ 2014.03.10

ウィルコは、生きるためにギターを弾いた
テキスト・レポート「ウィルコは、生きるためにギターを弾いた」@ 渋谷クラブクアトロ 2014.03.10

Wilko Johnson

 ウィルコ・ジョンソンは2013年に末期のすい臓がんと診断された。しかし、延命治療を拒否して演奏活動を続けることを選んだ。その年、まず1月に東京と京都のライヴハウスで演奏し、7月にはフジロックにも出演し、その半年後にまた来日である。その間も、地元・イギリスやフィンランドでライヴをしたようだし、ザ・フーのロジャー・ダルトリーとアルバムを録音している。まさに精力的という言葉がふさわしい活動をしている。

 渋谷クラブクアトロは満員だった。東京では、この10日も翌日の11日も17日の追加公演も全部ソールドアウトになっている。重度の病を押して日本にまで来てライヴをおこなうとなれば、どうしても「最後の」という言葉を使いたくなる(なんせ病気でもなく、健康そのものになったローリング・ストーンズですら「最後の」といわれるくらいだ)。ロックンロールの伝説的な存在であるギタリストが「最後」となれば、会場に足を運びたくなるものだろう。

 お客さんは年齢層高め。仕事帰りとみられる人が多い。ルースターズ、ミッシェルガンエレファント、ザ50回転ズあたりが敬愛しているのを知り、興味を持ったと思われる年齢の人たちも多そうだ。

Wilko Johnson 開演予定時刻の19時30分きっかりに登場する。拍手と歓声の熱が通常のライヴと違う。ウィルコがあのカクカクした動きでステージ上を左右に動き、テレキャスターをマシンガンのように構えるだけで、さらに歓声は上がる。ピックなしでギターをかき鳴らし、リズムとリードを同時に弾く奏法は健在。ベースのノーマン・ワットロイとドラムのディラン・ハウがきっちりとウィルコを支えてグルーヴを作り出す。

wilko Johnson  ライヴは「エヴリバディズ・キャリング・ア・ガン」から始まった。「ドクター・デュプリー」ではレゲエのリズムに乗せて円熟したギターを聴かせてくれるし、「ロクセット」はやっぱりカッコイイし、「ドント・レット・ユア・ダディ・ノウ」ではいつものようにメンバー紹介にそれぞれのソロコーナーがある。ウィルコは、ときおり笑顔、ときおり苦悶と思われるような表情を浮かべるけど、本当のところはどうなのかわからない。「もともとそういう顔で演奏する人だよ」といわれればそうかとも思う。ただ、いつものように、目を見開き、口を大きく開ける『Stupidity』(邦題だと『殺人病棟』)とジャケット写真と同じく驚いたような顔をしていた。

「バック・イン・ザ・ナイト」、そして加速がついて「シー・ダズ・イット・ライト」でフロアを湧き上がらせて本編を締めくくる。バンドが去っていくも、すぐにアンコールを求める大きな拍手があって、そんなに間を開けずに3人はステージに戻ってくる。そして「バイ・バイ・ジョニー」。会場は「バイ、バイ」の大合唱だ。充実した1時間15分をやり抜いた。再びアンコールを求める声が5分くらい続くも、残念ながら客電が点いて終了のアナウンスが流れた。それにしても、ウィルコのギターを聴くと、これがさよならなのだろうかと思う。お客さんたちは最後のつもりで会場にきているけれども、ウィルコはあくまでも生きるつもりでギターを弾いているのである。そうでないと、こんなキレ味鋭いギターを弾けないだろう。「バイ、バイ」といいながら湿っぽいところがなく、また来日するのではないか、また会えるのではないかと思わせる。どうなるのか未来はわからない。そもそも2013年初頭に余命数ヶ月といわれたのに、まだ元気にみえるのだ。

Wilko Johnson

–>フォト・レポート

Share on Facebook

Information

Photos:
Taio Konishi
taio@smashingmag.net
Web Site / Facebook /instagram
Taio Konishi's Works

Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
nob@smashingmag.com
Facebook
Nobuyuki "Nob" Ikeda's Works

Write a comment