サウスバイ・サウス・ウェスト2014 @ オースティン、TX 2014.03.11 -16

イントロ – 音楽が奏でる点と線、そしてその彼方に見える希望
特集:イントロ – 「音楽が奏でる点と線、そしてその彼方に見える希望」サウスバイ・サウス・ウェスト2014 @ オースティン、TX 2014.03.11 -16

SXSW 6th Street

 サウス・バイ・サウスウェスト(以下SXSW)の開催地であるテキサス州オースティンのバーグストロム国際空港に降り立つやいなや、この地に縁のあるジャニス・ジョップリンのポスターが目に飛び込んでくる。地元の名物音楽系テレビ番組のオースティン・シティ・リミッツのオフィシャル・ショップではオルタナティヴなカントリー・ミュージックが軽快に流れ、出口付近にあるレストランではバンドが、T・ボーン・ウォーカー直系のブルージーなフレーズを奏でていた。”ライヴ・ミュージックのキャピトル”は空港からこのお出迎えである。そう、そこは”音楽”で溢れているのだ。来訪者の内なるワクワク熱をじんわりと高めてくれる。

The Austin Convention Center 今年のサウスバイ・ミュージック・フェスティヴァルは、3月11日から16日の6日間に渡って開催された。オフィシャル情報によると、総勢2000を超える有名、無名、雑多なジャンルのアーティスト/バンドが、オースティン市内の93の会場で連日連夜ショーケースを繰り広げたようだ(非公式なものまで含めるとなると、その規模は検討もつかないほど巨大なフェスだ)。

 今年は昨年のような、かのプリンス殿下が公演の3日前にいきなり出演を発表したような大きなサプライズこそなかったものの、往年の豪華ミュージシャンによるジミ・ヘンドリックスやルー・リードのトリビュート・ショーや、今年のフジロックへの出演が決定しているシル・ジョンソンやボビー・ラッシュが出演したハイ・リズム(Hi Rythm)という、かつてアル・グリーンといったメンフィス・ソウル・レジェンドのバックを務めたハイ・レコーズのスタジオ・バンドによるプレミアショーなどをはじめ、今年も実にサウスバイらしい通好みなカラーは健在だった。もちろん、まだレコード会社と未契約のこれからの未来を感じさせる初々しい才能も散見され、毎年宝探しの感覚でサウスバイを堪能している私のような音楽ファンにとっては、相変わらず唯一無二であった。今年も、音楽を愛するものによる音楽を愛するもののためのフェスであったことは間違いない。6日間に渡り昼も夜も行き交う老若男女は皆、流れるご機嫌な音とビートに体を揺らし、幸せな笑顔で紅く染まっているのだ。

The Austin Convention Center SXSWの魅力はそんなショーケースだけにとどまらない。ニール・ヤングといった有名ミュージシャンのインタビューやトークショーや、音楽業界関係者向けの様々なセミナー/パネル・ディスカッションといった比較的シリアスなものもあれば、「ギア・エクスポ」という楽器の見本市、「フラットストック・43」という80を超えるアーティストによるロック・ポスター展、そして音楽本の作者とのトーク&サイン会なども行われている。音楽をこよなく愛するものにとってどの入口から入っても楽しめるフェス、それがSXSWなのだ。

 そして、今年の一大事件としてサウスバイに影を落とした12日の夜に起きたあの悲惨な事故のことも書いておかないといけないだろう。ザ・モホークというライヴ会場の外で会場入りを列をなして待っていたファンに警察からの逃亡車が突っ込んで死者3名、重傷者22名を出したあの事故である(現在も入院中の被害者が数名いるようだ)。事故発生当時私は前記会場内で伝説のLAパンク・バンドのエックスを観ていてなんとか難を逃れたが、ほんの1時間ほど前に同じ場所で同じように列をなしていた自分としては本当に他人事ではない。SXSWでこのような痛ましい事件が起きてしまったのは本当に残念でならない。翌日にはSXSW事務局により犠牲者とその家族のためのファンド「サウス・バイ・サウスウェスト・ケアーズ・ファンド(SXSW CARES FUND)」が立ち上がり、あらゆる会場で開演前に犠牲者に対する黙とうが捧げられた。

 スタッフの間で当初、「今年はゆったりとサウスバイを楽しみたいね。」などと語っていたのだが、やはりそこは大の音楽ファンの集まりである。いざ現地に着いてみれば、それぞれあちこちの会場に散り散りとなり、連日可能な限りのステージを堪能していた。今回は通常のフォトレポやテキストレポに加えて、映像スタッフ陣による映像レポもアップ予定だ。サウスバイの生々しい熱量をお伝えできるはずである。こちらも是非とも楽しみにしていただきたい。

Butler Park

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Text:
Takafumi Miura
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