リーヴ・ゼム・オール・ビハインド(leave them all behind 2014) @ 代官山ユニット 2014.07.12

破格の轟音と共に
テキスト・レポート「破格の轟音と共に」 @ 代官山ユニット 2014.07.12

Jesu

 国内外のヘヴィ・ミュージックの猛者達が集う轟美重音の祭典、”リーヴ・ゼム・オール・ビハインド(leave them all behind)”が約2年ぶりに開催された。2009年4月に第1回が開催されて以降、これまでにアイシス(Isis)サンO)))(SUNN O))))ゴッドフレッシュ(Godflesh)といった世界を震撼させてきた精鋭たちが次々と出演。毎回、そんな唾涎もののラインナップが揃うために、数多の人々から熱い支持を受けている。

 ついに4回目となる今宵は、前回にゴッドフレッシュとして日本の地を踏んだジャスティン・K・ブロードリックが、別プロジェクトのイェスー(jesu)として約7年ぶりとなる再来日公演を行う。また、ヘヴィ・インスト・トリオとして世界で高い評価を受けているアメリカのバンド、ロシアン・サークルズ(Russian Circles)が日本初上陸を果たす。この強力な海外勢に対し、日本からは第2回に出演経験のあるインスト・ロックの雄であるモノ(MONO)、注目のポスト・ブラック・メタル系トリオのコール(COHOL)が参戦。本イベントならではの4組が揃い、それぞれが孤高のパフォーマンスで魅了する。

COHOL

 これまで同様に満員に膨れ上がった会場を前に、トップバッターとして現れたのがコール(COHOL)。尖鋭的なブラック・メタルを掻き鳴らし、国内外で徐々に知名度をあげている期待の存在である。ライヴにおいても音の破壊力や苛烈さは尋常では無く、ひたすら冷徹で鋭いギター・リフ、高速のドラムがけたたましく轟く。ブラック・メタルを主成分にハードコアやグラインドコアといった要素も交えて培養し、鍛え上げたであろう攻撃的なサウンドは、ひたすら興奮を煽り続けてくる。中盤のMCでは、今冬に約4年ぶりとなる2ndアルバム『裏現』のリリースをいち早く報告。初っ端からギアが入りっぱなしの演奏で約30分を駆け抜け、会場を大いに沸かせてくれた。

Russian Circles

 続いて登場したのが初来日となる、ロシアン・サークルズ。シカゴを拠点とする轟音インスト・バンドとして世界で名を馳せ、過去にはトゥール(Tool)のツアーに帯同したこともある実力派である。昨年に発売された最新作『メモリアル』では、磨きのかかったインスト・サウンドもさることながら、本イベントの第3回に出演したチェルシー・ウルフ(Chelsea Wolfe)をゲスト・ヴォーカルに迎えたことでも話題になった。

 そんな彼等のライヴは、2ndアルバムに収録されている「ハーパー・ルイス」からスタート。プログレッシヴと表現すべき複雑な展開でありながら、タイトなリズムと重音リフで小気味よく攻め倒すサウンドに五感を持っていかれる。続いての「ジェネヴァ」や「カープ」の怒涛の進撃も迫力満点。絶妙なアンサンブルやグルーヴ感は、数多のライヴで鍛え上げられてきたことを物語り、全身にずしりと来る重厚さと音圧にしても、そんじょそこらのバンドとは一線を画すレベルである。彼等の音楽性を1曲に凝縮したような名曲「ムラディック」での締めくくりも見事で、約40分のステージはあっという間に過ぎ去った。終わってみれば、これまでに発表した5枚のアルバムからそれぞれ1曲ずつを披露。その実力を思う存分に見せつけてくれたのであった。

MONO

 3番手は、変わらずに世界の最前線で戦い続けているモノ(MONO)である。国内でのライヴは実に4カ月ぶりとなるが、この日は事前告知があったとはいえ、いきなり新曲を演奏した事には単純に驚いた。曲調にしても最近の曲で顕著なクラシックの趣よりも、初期のようにロックのダイナミズムを強く押し出したもの。10分以上かけてひとつのドラマを奏でていく彼等らしい楽曲ではあるが、後半の赤紫の照明を浴びながら激しい轟音を掻き鳴らす姿には、心に強く訴えるものがあった。また、WOWOWの連続ドラマ”かなたの子”のテーマ曲として書き下ろされた「カナタ(kanata)」は、ピアノとギターの美旋律の調和が素晴らしく、思わず涙腺を緩ませる。

 その後、「アッシーズ・イン・ザ・スノウ(Ashes In The Snow)」と「エヴァーラスティング・ライト(Everlasting Light)」を演奏し、約1時間のステージを終えた。雄弁で美しく、それでいて全てを打ちのめす激しさをも持つインストゥルメンタル。今宵もまた、その音に感動を大きな覚えるのであった。なお、本公演から3日後の7月15日には、約10年ぶりとなる名古屋公演を敢行。筆者はそちらも拝見したのだが、久しぶりの土地で鳴り響いた美しいサウンドに多くの人が酔いしれていた。

Jesu

 いよいよイェスーが降臨する。ゴッドフレッシュを始めとした数多のプロジェクトを動かす、ジャスティン.K.ブロードリックの現在のメイン・プロジェクトがこれだ。筆者は7年前の初来日公演を名古屋で見ているが、あの時の恍惚体験は今でも忘れられないものである。1stアルバムからの「ユア・パス・トゥ・ディビニティ」で幕開けしたライヴは、地鳴りの如き重低音の揺さぶり、メランコリックなギターと歌の融和が深い陶酔を誘う。

 世界一ヘヴィなポップ・ミュージックを標榜するそのサウンドは、ヘヴィロック+シューゲイザーと表現できそうな新しい音像を生み出し、後続に影響を与えてきた。その象徴ともいえるイェスーの転機となった「コンクエラー」「シルヴァー」といった甘美かつヘヴィな楽曲が続けば、自然と心地よさは増幅。7年前の公演と違って、ドラムのテッド・パーソンズ不在の2人編成で臨んだ公演であるため、打ち込みが占める割合も多くなっていたが、丹念に構築される音響は曇天から差し込んでくる光のようである。一昨年に体感したゴッドフレッシュとは、また別の世界がそこには広がっていた。

 ライヴはその後、「ルージング・ストリーク」、「バース・デイ」といった叙情的な楽曲が続く。アンコールではゴッドフレッシュからの連続性、そこからの発展性を感じさせる超重量級ナンバー「フレンズ・アー・イヴィル」を叩きつけ、終幕を迎えた。轟美重音の言葉のもとに集まった精鋭達の圧巻のステージの数々。それはスタートから実に約5時間にも及んだが、会場に集まった人々の心に色濃く刻み込まれたことだろう。そして、早くも次回開催への期待が膨らんだ。

— set list —

-COHOL-
回廊 (Opening SE) / 底知れず吠える軟弱 / 疎外 / 変わらぬ誤解変わる嘘 / 不毛の地 / 諦めに届かぬ反復行動 / 灰下に色付く記憶

-Russian Circles-
Harper Lewis / Geneva / Carpe / Deficit / Mladek

-MONO-
Recoil, Ignite(New Song) / Unseen Harbor / kanata(Album Version) / Ashes In The Snow / Everlasting Light

-jesu-
Your Path to Divinity / Conqueror / Silver / Everyday I Get Closer To The Light From Which I Came / Tired Of Me / Losing Streak / Birth Day / Comforter / en. Friends Are Evil

※写真はデイメア・レコーディングス(撮影:Miki Matsushima)から提供されたものを使用しております。

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Photos:
Official Photographer


Official Photographer's Works

Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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