ピーランダー・ゼット(Peelander-Z) 「進んだ先に何かがある!」

Part2:俺はベースを弾いて生きていく!
インタビュー「進んだ先に何かがある!」Part2:俺はベースを弾いて生きていく! 2014.08.22

Peelander-Z

 その男の名前は、伊藤顕央(いとうあきてる)という。食べるのが何より好きとのことで、通称イート・マンと呼ばれている。彼は、福島県郡山市出身で、その子供から思春期にかけての幼少時代について気さくに、語ってくれた。

「子供のころは、周りは田んぼばっかりの田舎だったので、ひたすら自然の中で遊んでいました。いなごだって食べていましたからね!(笑)中学生のころ、イカ天(伝説のオーディション番組”三宅裕司のいかすバンド天国”のこと)のバンドブームで、音楽に興味を持ちはじめたものの、楽器を手にするまでには至っていませんでした。」

 その後、彼は岩手県盛岡で、大学の卒業間近に運命的な出会いをすることになる。そう、ベースとの出会いだ。「大学のクラスメイトの誘いで軽音部に出入りするようになったんです。そこで、なんか楽器をやろうぜってことになって、ベースをにぎった瞬間に「俺はベースを弾いて生きていく!」と思ったんですよね。まったく根拠のない自信なんですけど(笑)」

Spanam これまでの人生がガラッと変わってしまうような出会いというものはうまく言葉に表現できるようなものではない。この出会い以降、幼少のころから続けて来た水泳や、大学で学んだ教員への道を捨て、ミュージシャン街道を歩んでいくことになる。
 
「大学卒業後は盛岡で仕事をしながら、大学時代に感じた周りとの差を埋めるためにベースの学校に通って基礎スキルをみっちり磨いていました。もちろんバンドにも所属していて、ヒゲ・ヤング(Hige-young)っていうメタルやハードコア調のはちゃめちゃなバンドにいましたね。楽器を入れると、もういっぱいいっぱいになっちゃうようなバンを買って東京へツアーに行ったりしていましたよ。」

 1995年に、2年間所属したヒゲ・ヤングと、仕事を辞め、一旗あげてやろうと上京することになる。そして、福島県福島市出身のボーカルの浅野昇建とともに、スペコンことスペース・コンバイン(SPACE COMBINE)を結成した。ファースト・アルバムの『20000cc』収録の「マーチング・ミント・フレイバーズ(Marching Mint Flavors)」をマキシマムザホルモンが登場曲として取り上げたこともあり、ご存知の方も多いことだろう(ちなみに、このファースト・アルバムはインディー・レーベル発にもかかわらず、約3万枚ほど売り上げている)。このバンドでは、日本中で年間約200本超えるライヴを繰り広げ、ツアーに明け暮れた4年間だったという。それにしても、スペコン時代は面白エピソードの宝庫だ。

「レコーディングの大事な機材だったギターで、ライヴでギター回しのパフォーマンスをしたら、ピンが抜けて、地面にたたきつけられてギターが真っ二つに折れました。それを見ていたKEMURIのフミオさんが「君たちロックだねー!」って(笑)。その後野外フェス出演に誘ってくれたりしましたね。」

Spanam バンドは順調だったものの、彼の中で、「日本に閉じこもらず、アメリカで勝負したい!」という気持ちがじわじわと高まってくる。それに伴う他のメンバーとの意見の食い違いから、スペース・コンバインは解散してしまう。その後しばらくの間、バンドで行けないならと学生ビザを取得しアメリカに遊学するようになる。それほどアメリカの魅力にはまっていたのだ。
 
 そんな折、スパナム(spanam)という米国のヘヴィ・ロックの影響を感じさせるバンドから誘いを受け加入することになる。しかも、バンドがメジャー・レーベルに入るという絶妙なタイミングでの加入だ。ドープ(Dope)やマッシュルームヘッド(Mushroomhead)の前座も務めたことのあるスパナム。年間70本ほどのライヴもこなし、音は米国のリスナーからも高い評価を受け”日本のデフトーンズ”と称されていたようだ。

「このバンドの所属していたレコード会社がメジャーだったこともあり、スタッフが百戦錬磨のプロなので、レコーディングに関してもツアーに関してもしっかりしていて意識的なものが磨かれたのが、このバンド時代の一番の収穫だったと思います。スタッフからの先を見越したアドバイスや、自分がトライして、それが評価されていくプロセスもあって、より自由になれた気がしますね。これをやれば、こうなるみたいなコツのようなものを体得できたと思います。」

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Portrait Photo by Rumi Maeyamada

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Text:
Takafumi Miura
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