セイホー (Seiho) @ 朝霧アリーナ 2014.10.11

情熱と踊る夜
テキスト・レポート:セイホー「情熱と踊る夜」 in 朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ!@ 朝霧アリーナ 2014.10.11

セイホー(Seiho)

 エロティック、そして洗練された都会的なサウンド。セイホーの楽曲や彼自身のイメージは、そんなふうに語られることが多い。実際音源を聴いていると、彼の音楽が渋谷・青山界隈の感度の高い若者たちに支持されているのもわかる。そんな彼のプレイが、イメージと正反対であるこの自然いっぱいの会場とどのように調和するのか、あるいは予想もつかないような化学反応を見せてくれるのか、期待を胸にムーン・シャインステージへ向かった。

 定刻15分前の17時45分、少し前までは薄明るかった空が、気づくと紺色へ向かって徐々に深さを増していた。気温も下がり始め、ステージ付近に集まったお客さんたちが上着を羽織り出す。そうして迎えた18時オンタイム。ステージに、長い髪を束ね白銀色のジャケットをまとったセイホーが現れた。いよいよライブが幕を開ける。

序盤から「ザ・セイホー・サウンド」とでもいうべきリズム・マシンと多重なレイヤーのシンセ音、リバーブのかかった女性ボーカルが会場に響き渡り、オーディエンスのテンションは一気に上がった。背後のスクリーンにはモナリザや幾何学模様などの映像が次々と映し出されていき、視覚的にも興奮が高まる。楽曲だけでなく映像のクリエイティブもこなす彼のマルチな才能がうかがえる。象や虎の鳴き声をサンプリングしたトライバルビートでは手拍子でオーディエンスを煽り、ひと際大きな歓声を浴びるセイホー。自身もキック音に合わせてパンチを繰り出したりと気持ち良さそうだ。

 「どうもセイホーです!寒くなってきたから踊ってあったまりましょ!」と楽しそうに笑って次の曲へ。続々繰り出されるきらびやかな電子音と、洪水のように流れ込む高速ビート、畳み掛ける重低音で、一瞬たりともオーディエンスに休む隙を与えない。時おりいたずら顔でコミカルなダンスを見せたりするものだから、こちらまで楽しい気分になって思わず同じ動きで踊ってしまう。ムーンシャイン・ステージは完全にセイホー・ワールドだった。

 こんなにも作品での表現やパブリック・イメージと実際のキャラクターにギャップがあるアーティストだったとは、と今夜のステージを見て驚いた。知的でクールなアーティスト気質の人という印象だったのだけれど、蓋を開けてみたら、茶目っ気たっぷりのダンスや関西人らしい笑いあふれるMCを存分に披露する、なんとも「開いた人」だった。おそらく今夜のムーンシャイン・ステージには、セイホーのことは知らなかったけれど、サウンドのクールさとパフォーマンスの熱さ、そして彼のキャラクターの魅力にハマって1時間踊り続けた人もかなりいたのではないだろうか。

 今夜のハイライトは、ラスト前にスピンされたキラー・チューン「アイ・フィール・レイヴ」だった。おなじみのイントロが流れると、あちこちから歓声が上がる。セイホー本人のテンションも今日一番で、DJブースからステージ前方に出てきて「もっともっと」と煽り、それに応えて両手を掲げて踊るオーディエンスは、まだまだいくらでも踊れそうな様子だ。アウトロで「ありがとうございました、セイホーでした!寒くてけっこうお腹が冷えました(笑)みんな風邪ひかんようにね」と締めのトークを挟んで、ラストは「コイ」の美しいメロディでキレイにフィニッシュ。…かと思いきや「みんなほんま風邪ひかんようにね!俺この服(ノースリーブ)しか持ってないねん(笑)誰か寝袋貸して!(笑)」と最後の最後まで笑いをとることを忘れず、笑顔でステージを後にしたセイホーなのだった。

–>フォトレポート:セイホー (Seiho) or フォトレポート:キャラバン (Caravan)

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Text:
Nozomi Yamamoto
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