浅草ジンタ @ 朝霧アリーナ 2014.10.12

富士山の麓で映える、浅草土着のハードマーチ
テキストレポート:浅草ジンタ「富士山の麓で映える、浅草土着のハードマーチ」 in 朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2014.10.12

浅草ジンタ

 2012年の朝霧ジャムではカーニバルスターに出演。今年は2日目にムーンシャインの2番手として登場した浅草ジンタ。浅草を拠点としてグローバルに活躍する、今年で結成10周年を迎えるハードマーチ・バンドである。

 スマッシング・マグには、2007年2009年に、米国のSXSWに出演した際の写真が残されている。2013年には、英国で行われる世界最大規模の野外フェス、グラストンバリー・フェスティバルの出演も果たした。同年のフジロック・フェスティバルの演奏も、記憶に新しい。

 台風19号の接近を控えた曇天の下、空気はひんやりとしている。正午過ぎにメンバーはステージに現れ、リハーサルを開始した。PAとやりとりしながら、「笑点のテーマ」を演奏。耳慣れたフレーズを聴きつけた観客が、続々とステージ前に集まってくる。

浅草ジンタ リハーサルを終え、定刻の12時15分を迎える。大きく「甚太」と和風のロゴがプリントされたフラッグを掲げたチューバ担当のやっさんが、威勢良くステージに駆け込んでくる。インスト曲「ゼロの空」でライヴは幕をあけた。

 メンバーは終始、観客をグイグイと煽っていく。1曲目からトランペット担当のシーサーが「まだ起きてないんスか、みんな!」と喝を入れれば、歓声は一段と大きくなる。2曲目の「蒲田行進曲」は、テンポも自在に浅草ジンタ流のアレンジで披露される。

 3曲目の「ドンガラガン」は、日本的なかけ声を交えた歌詞と、歌謡曲風のメロディーがキャッチーである。オショウのちょっとキザっぽい歌声も、曲調とよく合っている。歌詞は「富士よお前もわかるだろう これが我らの通り道」と、朝霧ジャム仕様に変えられていた。

 それにしても、一斉に挙げられ、左右に振られる観客の腕が壮観である。浅草ジンタは冒頭の3曲で、彼らをはじめて目にする観客の心までも、ガッチリと掴んでみせた。

浅草ジンタ

 タイトな演奏に、揃いのスーツに身を固めたメンバーの佇まい。前身バンド(デスマーチ艦隊〜百怪ノ行列)を観たことがある身としては、ずいぶんと昭和っぽい猥雑さが薄まったように感じる。

浅草ジンタ それでも、かつてと変わらず観客の目を惹き付けるのは、やはりオショウの超速スラップベースである。シーサーから「スラップが世界一速い! よく観とけよ!」の声があがると、オショウのスラップ奏法は、一段と速さを増す。速さを誇るだけでなく、ウッドベースを軽々と掲げて曲芸的に操ってみせれば、歓声もさらに高まる。
 
 かと思えば、MCでオショウは自らのズボンを指し、「なんかちょっと(ジャケットと)色違うでしょ。これ、ファッションセンターしまむら製だぜ。そこで買ってきたんだぜ」とおもむろに告白する場面も。そういえば、会場へ向かう道路沿いに、しまむらがあったっけ。最前列付近でお酒を飲んでゴキゲンの観客に、「浅草にはこういう人がいっぱいいます」と、声をかける光景も微笑ましい。

 演奏されたのは、全9曲。12月10日に新しいアルバムをリリースするという、スペシャルな発表もあった。新曲も披露され、12月に向けて期待が膨らむ。

浅草ジンタ

 ラストはスケールを感じる「百万光年彼方から」から、ムーンシャインに居合わせた観客全てを巻き込むような、「運命」へ。アップテンポで突き進み、「朝霧を楽しもう!」と言葉を残してステージを後にした。

 浅草ジンタの音楽は、ノスタルジーの体現にとどまらない。雑多なジャンルを飲み込んで、日本人として鳴らし得る音を突き詰めてきた、この10年。今や世界を股にかける、ゆるぎないオリジナリティーを確立している。(あいにく雲の彼方ではあったが)富士山を望む大地で、彼らのサウンドが高らかに鳴った45分間。堂々のステージだった。

–>フォト・レポート:浅草ジンタ
or フォト・レポート:ユアー・ソング・イズ・グッド(Your Song Is Good)

浅草ジンタ

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Text:
Keiko Hirakawa
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