モグワイ(Mogwai) @ 西九龍海濱長廊(香港) 2014.11.28

最高の都市型フェス!
テキスト・レポート「最高の都市型フェス!」@ 西九龍海濱長廊(香港) 2014.11.28

Mogwai
■今回のきっかけ

 遅い夏休みを取ることになり、ひさびさに香港にいきたいと思っていたので、先に旅程を押さえた。そして滞在中に何かライヴが観られないかなと、いろいろ検索しているときにこのClockenflap(クロッケンフラップ)というフェスティバルの存在を知った。過去はフランツ・フェルディナンドやプライマル・スクリームもでたことあるようで、なかなか面白そうだということで、いくことを決断。しかし、先に旅程を押さえたため、いけるのは金曜日のみ。その後、続々と出演者が発表になり、土曜日にオゾマトリやトラヴィス、日曜日にフレイミング・リップスなど、フジロックでもお馴染みのメンツが決まり、そっちも観たかった……とちょっと後悔した。

■現在の香港

 日本でもニュースを賑わせていたのは普通選挙を求める学生たちの運動。自分もいく前に周りの人からさんざん「大丈夫なのか?」と聞かれたけど、実際の香港は学生たちが占拠している旺角(モンコック)や金鐘(アドミラルティ)以外は通常営業だった。学生と警官隊が衝突した翌日の29日昼に旺角にいったら、街角にたくさんの警察官が配置され、「我要真普選」というスローガンが書かれた貼紙がちょっとみえるくらいで、通常の観光地としてお客さんがたくさんいた。

 ところで11月末の香港はすでにクリスマス・シーズンに突入していた。街のいたるところでクリスマスの電飾があった。それも店先にツリーが光っていますよ、程度の話でなく巨大なビルの壁面全部がクリスマスの電飾にになっているのだ。しかも繁華街のいろんなところでなのだ。この派手さは他にあるのだろうか。それでいて日中の気温が25度を超え、夜でも風が強くなければTシャツ、短パンで過ごせるくらいの気候である。日本の感覚ではまだ夏といっていい(しかし、地元の人にとっては寒いと感じる人もいるらしくダウンを着る人もいる)。

■究極の都市型フェス

Mogwai 会場のWest Kowloon Waterfront Promenade(西九龍海濱長廊)は、九龍駅から徒歩15分くらい。その九龍駅は香港島の中心部である中環(セントラル)からひと駅(乗車するのは香港駅から)で10分以内、、九龍半島の中心部である尖沙咀(チムサーチョイ)からはバスで10分~15分くらいである。つまり、香港島にしても九龍半島にしても市内中心部からドアツードアで30分以内で着くのだ。東京駅から京葉線で30分以上で、そこから15分くらい歩くとかでないのだ。

 西九龍海濱長廊はさまざまな文化施設が建設中であり、将来的にはアートや音楽の複合施設ができる。九龍半島先端の埋立地にあり、海に面している。海の向こうに香港島のビル群が眺められる。夜になるとビル群は輝きはじめ(先述のクリスマス・イルミネーションもあり)、周りはキラキラとしている。さらに九龍駅のうえにそびえる世界で4番目に高いICCビル(環球貿易広場)の壁面がLEDスクリーンになっていて毎晩巨大なイルミネーションのショーがおこなわれている。別に今回のロックフェスとは関係なくおこなわれているのだけど、音楽を聴きながらICCビルのイルミネーションを観ていると気分が上がってくる。この夜景に囲まれてフェスなんて本当に贅沢だ。

Mogwai 会場は埋立地ながらも芝生のところがわりと多く、足にやさしい。仮設トイレも多いし、飲食のブースもある。飲料水は無料で飲める機械が設置されている。ステージは大小いくつもあって(金曜日はまだ稼動してないところもある)、主なところでいうと、YOURMUM(ユアマム)ステージの金曜日はヘヴィメタルやハードロックのバンドが登場する。フジロックでいうとオレンジコートの大きさでフジロック2012にも出演経験がある台湾のバンド、ソニックが金曜日のトリだった。Replay(リプレイ)ステージはギターロックが登場。フジロックでいうとホワイトステージ。メインステージ扱いなのはHarbourflap(ハーバーフラップ)ステージで、こちらもホワイトステージくらいの大きさである。DJがプレイするダンステントであるElectriq(エレクトリック)ステージは、芝生の草の匂いといい、テントの形といい、ライジングサン・ロックフェスティバルのアーステントに雰囲気がそっくり。大きさはひとまわり小さい感じだけど、香港でライジングサンを思い出すとは思わなかった。

 あとは、サマーソニックにもあったサイレントディスコ(無線通信機が内蔵されたヘッドホンをした人たちが踊る)もあるし、ハーバーフラップのセットチェンジ中には隣のロボット・ステージのDJがプレイするとかある。22:30にステージが終わると、近くのホテルにあるクラブで一晩中DJが回しているようだ。これもイベントの一環のようだ。

 それと、フェスのお約束キッズエリアとか、キャバレーとかサーカスとか、映画の上映(土日のみ)、アートを展示するところがあったり、対戦型コンピュータゲームができたりいろいろある。ある程度コンパクトにまとまったところにいろんな楽しさがつまっている。

■お客さんたち

Mogwai 金曜日の開場が17時なので、慣れない場所でもあるし、1時間くらい前から会場あたりにいるようにした。入場を待つ人たちをみると、やっぱり企業などの駐在員なのか観光客なのかわからないけど、白人が目立つ。ジョイ・ディヴィジョンやモリッシーのTシャツを着ている人がいた。開門を待っている間に観察していたらインド系ぽい人やハングルを話す人もいるも、大多数は地元(中華系)の大学生ぽい人だった。

 そんなにフェスで浮かれまくった人もいないし(恐竜の着ぐるみがひとりいたくらい)、ファッションも大人しめ。ただマナーに関しては微妙で、モグワイの演奏中でもガヤガヤ話していたり、演奏が終わるとビールのコップがごみ箱がちゃんとあるにも関わらず散乱していた。

■「フェスごはん」は

Mogwai「香港にいく」というと「ああ、グルメとショッピングでしょ」という反応も多いわけで、街中の食は屋台から高級店までさまざまなレベルで満足できる。公式サイトもフードには期待してほしい的なことが書いてあったので、ある程度期待していた。まあ悪くはないけど、この程度なら日本でもあるよという感じだ。中華みたいなのもあるにはあったけど、ピザとかハンバーガーとかケバブとか街中のチェーン店が店をだしているのが多い。ただ、自分は金曜夜の一食だけだったので、3日間いていろいろ回ったら印象は変わったかもしれない。

Mogwai 自分が食べたのはバーガー・サーカスという店のハンバーガーで70香港ドル。別に安くない。他の店もだいたい同じくらい価格水準だった。お酒の方は充実していてビールもカールスバーグとクローネンバーグの2種類選べた。場内の飲食やグッズは現金は使えず、場内にいくつかあるブースでスイカやパスモのような電子カードを購入して、お金をチャージする。飲食の屋台や物販コーナーに設置されている読み取り機にカードを当てて支払う方式だ。これだと釣り銭に関するトラブルもないので、広東語ができず、英語も少しな自分にとってはありがたい反面、チャージ額を使い切ることが難しいので、地元の人にはいいシステムなのかどうか。

 物販に並ぶ人がほとんどいない反面、チャージするブースは長蛇の列ができていて、ビールを飲む人が多いのが印象的だった。

■最新型のモグワイ

 というわけで、短い時間でいろいろ観察していたので、まともに観たのはチャーチズ(Chvrches)とモグワイだけだった。チャーチズは80年代のエレクトロポップを思わせる音にローレン・メイベリーのキュートな声がキラキラしていてキラキラしているフェスにぴったりでよかった。

Mogwai モグワイは轟音の壁を作るのではなく、音の柔らかさや空間を生かすような演奏に変わっていったことを感じたライヴだった。容赦ない轟音は「モグワイ・フィア・サタン」や「バットキャット」くらいだった。お客さんの期待するモグワイと違うのか、元々あまり興味がなかったのか、同じ時間帯で別のステージでやってるザ・ヴァクシーンズを観たいのか、演奏中にどんどんお客さんが減り、ガラガラになってしまった。モグワイらしい轟音は終盤に聴けたので、もったいない気もする。このところの来日したときのライヴを観れば、確かに徐々に轟音から遠ざかり、音の美しさそのものを表現しようとしていることはわかるのだけど、今回それを研ぎ澄ませるようにしているのだと感じる。それが、もしかしたら今回のフェスのお客さんとは合わなかったのかもしれないけど、自分はモグワイの進化と捉えたい。来年3月に来日するので、ぜひ確かめてほしい。

 22時半にライヴは終わるも、公共交通機関が発達している香港では、まだまだ余裕で帰ることのできる時間である。今回のフェスで感じたのは「もっとこの空間にいたかった!」ということで、土曜日のトラヴィスは「ターン」や「ホワイ・ダズ・イット・オールウェイズ・レイン・オン・ミー?」をやったようだし、日曜日のフレイミング・リップスは「レース・フォー・ザ・プライズ」をやったようだし、あの場所で実際に観ることができた人は本当にうらやましいと思う。また、いけたらいいと思う。
Mogwai
モグワイ『JAPAN TOUR 2015』

〇 2015/3/9 (Mon) EX シアター 六本木

OPEN 18:00 START 19:00

〇 2015/3/10 (Tue) Nagoya CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 START 19:00

〇 2015/3/11 (Wed) Osaka BIG CAT

OPEN 18:00 START 19:00

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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