コーパス・グラインダーズ(Copass Grinderz, Co/SS/gZ) @ 名古屋ハックフィン 2015.01.17

最後の「7月」。歩みを進める意志
テキスト・レポート 「最後の『7月』。歩みを進める意志」@ 名古屋ハックフィン 2015.01.17

Copass Grinderz

 コーパス・グラインダーズの、復活後初となる名古屋でのライヴ。同じ会場ではちょうど1か月前に、昨年5月の復活ライヴを収めたDVD、『Co/SS/gZ “Live Aktion Document 5.25! “+ Fucking Live Archives!』の上映イベントが開かれたばかり。名古屋はとりわけ熱いファンが存在することで知られ、「聖地」と呼ばれている。

 対バンのディスコトーションが激情ハードコアを叩きつけ、ザ・原爆オナニーズがオーディエンスと息の合ったパフォーマンスのなか、ブラッドサースティー・ブッチャーズの「サイレンサー」を披露。すでに、大入りのフロアは熱気で満たされていた。

Copass Grinderz 突如響く、サイレン。そして、破裂音。ギター/ボーカルのゼロが、ステージから無造作に放った爆竹の火薬と煙のにおいとともに、コーパスのライヴは始まる。
 
 1曲目は、サイレン〜爆竹の流れから納得の、「メシ喰わせろ」。ゼロの音楽的ルーツであるザ・スターリンのカヴァーだが、オリジナルの歌詞が加えられていた。続く「ニールヘル」〜「コブラ」では観客が待ってました! とばかりにフロア前方に押し寄せ、キメどころではかけ声と拳がガッツリあがる。

 大地大介と境めぐみのコンビネーションが叩き出すビート。名越由貴夫の重厚かつ多彩なギタープレイ。ゼロの咆哮。絶え間なく鳴り響くギターノイズ。コーパスは、音圧、存在感ともに、やはり圧倒的であった。アルバム『クラッシュ!』と『ロックン・ロール』の収録曲が次々と演奏されていく様は、まさに問答無用。

 コーパス不在の長い間、残されたこの2枚のアルバムを聴き続けてきた人たちは、感無量だろう。実に17年ぶりの名古屋のライヴのはずなのに、フロアの反応はブランクを全く感じさせない。例えば「J」の間奏で、大地への声援がつぎつぎにかかるのも、「大地がここで何かやる」と知ったうえでの、愛あふれるリアクションなのである。

Copass Grinderz 演奏中や曲間、随所に趣向が凝らされる。機材とメンバー4人でギッチギチのなか、ラウンドガールのグラインダーズ(★GrinderS★)2名が曲名のプラカードを掲げ、踊り、ノイズと轟音にまみれたステージを彩る。

 中盤に設けられた一服タイムでは、「ワルキューレの騎行」が鳴り響くなか、ゼロが名越に向かって、

「貴殿は2015年1月10日を持ち50歳となり、第一次コーパス契約期間を無事に満了いたしました。年末には国民的歌合戦に1人黒組で出場し、2週間伸ばした無精髭を披露し、全てのコーパスアーミーを笑いと感動の渦に巻き込みました」

「本日、契約延長改め、コーパスグラインダーズ終身雇用契約を、此処に締結いたします」(原文ママ)

と、契約延長書なる書類を読み上げ、名越がサイン。名越の昨年末の紅白歌合戦出演(椎名林檎のバックでギターを弾いていた)を表彰しつつの公開契約更新に、フロアもドッと沸く。

Copass Grinderz

 後半は、ステージに加わった女性シンガー、美湖のコーラスが印象的な新曲、「フーリッシュソング」をお披露目。「パラノガン」では、お待ちかねのゼロと名越のギター正拳突きに目を見張る。これも、名越がサポート・ギタリストとして参加している、長渕剛のライヴ映像の「長渕による名越のギターへの正拳突きシーン(リンク先の動画では3分40秒頃)」が元ネタである。

 名越という超多忙なギタリストを擁するが故、ライヴの頻度が少ないことに、ファンは飢餓感を煽られる。しかし、このように彼の活躍がユーモラスにネタとして盛り込まれるのも、コーパスならでは。名越がコーパスの復活に応えてくれたことを、ありがたいと思う。

Copass Grinderz

 クライマックスは、ブッチャーズのトリビュート・アルバムにも収録されている、「7月」。スケールの大きさと疾走感に身を任せながら、どうしたって、この曲が鳴らされている経緯が胸をよぎる。演奏後、ゼロは「もう『7月』は今日で終わり」と言い残す。

 アンコール。ザ・原爆オナニーズのタイロウが登場し、ゼロの「いくぞ! 原爆グラインダーズ!」のシャウトからの「ゴー・ゴー・枯葉作戦」。この嬉しい共演に、フロアはモッシュとダイブの激しさを一層増す。

 ラストは、「マネー」。場内一斉の「金なんか無ぇー!」コールが、とどめのようにキマる。去り際にゼロは最前列付近の観客の顔面を次々と抱えながら、ガチのキッスを大盤振る舞い。フジロック・フェスティバルに出演したいと野望を述べるのだった。

 そんなことを言われたら、もし、ブッチャーズも’10年に踏んだホワイトステージに、コーパスが立ったら。と、こちらも妄想が止まらなくなる。最後の最後で、罪作りである。
Copass Grinderz
 コーパスは、活動休止前はバンド名の表記を何度かアップデートしており、復活後は「Co/SS/gZ」と書いて、コーパス・グラインダーズと読ませている。

 ハックフィンの入り口に掲げられていたのは、20年くらい前に使われていた表記である「COPASS GRINDERZ」だった。ゼロは、この表記を使用するのは、1月17日が最後であるとツイッターに書いていた。

 ’97年、吉村秀樹のコーパス在籍時最後のライヴの地となった、名古屋。’99年、コーパスは活動休止したが、’13年の吉村の急逝を受けて、復活。この日、17年ぶりに名古屋に戻ってきた。

 吉村在籍時に使用していた「COPASS GRINDERZ」の表記を最後とすること。それは、吉村がバンドを去った名古屋で再び演奏することをもって、吉村にまつわる脱退からの出来事の流れに、一区切りをつける意図があったようである。こうやってゼロは、「聖地」名古屋への落とし前をつけたのだった。

 「誰かがやりたいって言ったらやるかもしれない」とはゼロ本人の談だが、「7月」の演奏を封印するのも、「次のフェーズへ進む」という意思表示である。4月18日には、アストロ(ASTRO)+コーパス+グラインダーズの合体バンド「★As/SS/gZ★」(読めない!)と、ホワイト・ホスピタルの共演が、新代田フィーバーで予定されている。

コーパスの「次の一手」、どう出るか。心して待ちたい。

Copass Grinderz


— set list —
メシ喰わせろ / Ne/H/eL / COBRA / MONGOOSE / BAT / J / In ‘n’ Out of Grace / rock’n'roll / SILVER / Foolish Song / PARANOGUN / 7月 / 血まみれ / ANSWER

— encore —
Go Go 枯れ葉作戦 / MONEY

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